「俺は腕の自由が利かないし、克巳は俺の言う通りに動いて下さい。自制が利かなさそうだったから家に帰りなさいといったのに…」
「尾崎だったら…別に何されてもいい…」
「そういう事は言わない」
びしりと尾崎が克巳の言葉を遮る。
「とにかく着ている物を早く脱ぎなさい」
尾崎が無表情で克巳に命令し克巳はのろのろと自分の衣類を脱ぎ始めた。
「……あんまり見てるなよ」
「…ちゃんと見ないといけないでしょう?」
尾崎の視線が克巳の身体に突き刺さり、じっと克巳の事を凝視していた。
Tシャツを脱ぎ、カーゴパンツも脱ぐがそこで手が止まってしまう。
「どうしました?下着も脱がないとちゃんと身体洗えないでしょう?」
尾崎が見てる前で自分で着ているものを全部脱ぐなんて…。恥ずかしいに決まってるのに。しかも見ていられるというだけで心臓は変にドキドキしてるし、しかも尾崎が熱心な視線を向けるものだから仄かに中心に熱が溜まっている。
けど、包帯に巻かれている尾崎にやってと言えるはずもなく自分で下着に手をかけてそそくさと脱ぐと前を手で隠した。
「……見られてるだけなのにもうちょっと反応してるんですか?」
尾崎が感情のない声で克巳を揶揄してくる。
「うるさいっ」
小さい声で抗議するけれどそんなの全然威力などない。
「下は触られてない?ベルトは外されてましたけど…」
「……ない。ギリギリのとこで…来てくれたから…」
あそこで尾崎が間に合わなかったらどうなっていただろうか…?
ぞっとしながら克巳は風呂場に入った。
「ドア閉めないで下さいよ?」
尾崎をきっと睨んでから、それでも言うとおりにドアを開けたままシャワーのコックを捻った。
「触られたところを手で辿って見せて。あとでちゃんとそこを消毒してあげます」
尾崎に言われて自分の手で触れられた所を教えるように身体を辿った。
「…分かりました。じゃあボディソープつけて自分で体を綺麗にして」
尾崎の視線がねっとりと克巳の身体に注がれている。
「触れられた所は特に丹念にね」
くすりと尾崎が仄かに笑みを浮べながらそれでも視線は克巳から離さない。
「俺に見られてるだけで克巳は感じるんだ?」
「……」
かっと克巳は顔を赤くしながら片手でもじもじと前を押さえる。
「ちゃんと洗って?…克巳が出来ないならやっぱり俺も…」
「いい!出来る…。傷濡らしちゃダメって…」
「じゃあ手を離してちゃんと俺に見せて体を洗って」
尾崎に首から洗ってと指示されながらボディソープを手にとり自分の体につける。
「克巳の身体に触れてるのは俺の手だと思って…手下げて…そう…もっと下、はしたなく勃ってるとこも念入りにね?」
手の大きさが違う、と言いたいとこだけど尾崎の身体は濡らせないし無理もさせられない。
「後ろ向いて。後ろも綺麗にしないと。自分で広げて綺麗にして」
「や…っ!無理だ!別に触られてない!」
「そういう問題じゃないので。俺が触りたいのに我慢してるんですから、克巳が触って見せて」
そんな風にいわれたらどうしろと…と思いつつ自分の指を後ろに這わせた。じっと尾崎の絡みつく視線が克巳の事を見ているのを後ろからでも感じる。
「そう広げて…指入れて…」
「ん、んっ」
そろりと自分の指を後ろに這わせるけれどもどかしい。いつもはもっと大きい手で長い指が克巳の中を弄るのだ。
それでも尾崎の代わりに克巳はシャワーにうたれながら尾崎の言うとおりに動く。
自分の手じゃもどかしいだけだ。尾崎の手じゃないと快感なんて感じられない。今感じてるのは尾崎に見られてるからなんだ。
「や…もう…」
「克巳、あがって」
尾崎の声にシャワーを止めると尾崎がバスタオルを手にして脱衣所に戻った克巳の身体を受け止めた。
「克巳…」
バスタオルでざっと尾崎は器用に片手で克巳の身体を拭くと、克巳の手を取り自分の股間へ導いた。
「あ…」
「責任取ってくれます?キミの痴態にもうはち切れそうなんですけど?」
尾崎の中心はもう完全な屹立になっていてこころなしか顔も上気しているようだ。
「こんなに煽って…悪い子だ」
「それは…尾崎が…」
「そうですけどね。そんな素直に言う事聞くなんて思ってなかったから…」
かぁっと克巳が耳まで熱くさせると尾崎は克巳の身体を怪我してない方の肩に担ぎ上げた。
「ちょっ」
「おとなしくして。麻酔切れてきたんで痛みが出てきたかも」
「だ、大丈夫か…?」
「傷はね。今は前の方がつらい」
「…ぁ」
尾崎が軽々と克巳を担いで寝室に向かうとどさりと克巳をベッドにおろした。
「…いい?」
ダメなはずがない。
克巳は小さく頷いた。
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