昨日は疲れ果てたのか尾崎の体温に安心したのかあんな事があったのにぐっすりと寝入ってしまったらしい。
朝から携帯がうるさいと携帯の着信音で目覚めた。
尾崎の携帯らしく尾崎が電話を取っていた。
「もしもし……おはようございます……ええ…代わります」
尾崎もまだ寝ぼけ声で克巳はさらに目が開かないような状態だったのだが電話を耳に当てられた。
『今日は帰ってくるのか?』
響いて来たのは父親の声だった。唐突に用件だけが告げられた。
「ん~…いや、着替え取りには行きたいけど帰らない。尾崎が腕自由がきかないから」
『ああ…それじゃ車は克巳が使いなさい。尾崎くんは運転も無理だろう?病院なんかも行かなきゃないんじゃないのか?』
「ん。じゃ使わせてもらう」
『着替え取りに来るのは何時ごろだ?』
「どうだろう…?警察にも行かなきゃないらしいし…その前かな」
『じゃあお昼前にに家に来られるか?』
「多分大丈夫だと思うけど…?」
『じゃあ話があるから待っている。時間にあわせて車をそっちに向かわせる』
電話が切れて克巳は寝ぼけた頭を捻った。
「なんだって?」
「お昼の話あるから来いって。あ、あと迎えに車よこすらしい」
「……」
尾崎はもうすっきり目覚めているらしく目もちゃんと開いていたけど、克巳はまだ半分寝ぼけているような気がする。
目を閉じ尾崎の身体にしがみついた。
「…熱…下がった、かな…」
「ですね。元々頑丈なので心配ないですよ」
「心配するに決まってる…」
くすりと尾崎が笑いながら克巳の髪にキスした。
「あ…頭洗ってやる。あと身体もも一回拭く。熱で汗かいただろう?」
「……そうですね…。お願いしてもいい?」
「勿論」
尾崎に甘えてもらえるのが嬉しくて克巳は顔が緩んだ。
「……なんでそんなに嬉しそう?」
「え?だって俺がしてあげられる事があるって嬉しいから。いっつもは俺なんかなんも役立たないけど」
「なんか…って言わない事。…本当はキミにそういう事させたくはないんですけどね…大事に大事に仕舞っておきたいんですが、キミが嬉しそうなら…いいかな…」
「いいに決まってる。…言わなかったけど、看病を誰かにされたのも初めてだったし…昨日も看病した、ってほどじゃないけど、そういうのも初めてだから…」
「…初めて?」
尾崎が驚いた顔を見せた。
「そう。初めて。…なんでも初めてばっかりだ…アンタといると…」
照れ隠しでタオルケットを頭まで被ると尾崎が身体を起こしてその上から克巳をぎゅっと抱きしめてきた。
「困った子だな…そんな可愛い事ばかり言って…俺が動けないのに…」
「別に動けないのは関係ないだろ?」
「関係あるでしょう。怪我してなかったら朝から盛ってたとこです。凶悪的に可愛すぎる…」
「…それ絶対変だって。いいから、起きよう!髪洗って体!」
尾崎から逃げるようにベッドを降りると尾崎も仕方なさそうに起き出した。
それから洗面所で尾崎の髪を洗ってやり、体を拭いてやる。
…のはいいんだけど…。
「……少しは恥ずかしいとか…ない?」
堂々と裸体を晒す尾崎の前が臨戦態勢になってる。
「え?別にないですけど?…だって仕方ないじゃないですか。朝だし。克巳は挑発的な格好してるし」
「挑発的…?どこが…?」
「俺のシャツぶかぶかで着て白い足出して下何も穿かないで俺の身体拭いてるなんてそりゃね、もう…」
「もうじゃない!そこは自分で拭け!」
かっとして尾崎にタオルを押し付けた。
「出してくれなんて言いませんけど…素面だとまだ誘ってくるまではいかないか…。あ、克巳の着替え下着は一応買っておいたので、クローゼットの引き出しに入ってます」
ぶつぶつと尾崎が何やら言ってるが聞かないことにする。
「え?…俺の?」
「そう。いつ泊まってもいいようにね。俺のだとキミにはぶかぶかですから。服は買ってないけど…上は適当に俺の出して着て。少しここにも克巳の着替えの予備置いておいてください。いつ泊まってもいいようにね」
「………ん」
そうしたらいつでも何も持たないで来ても泊まれるか…と克巳も素直に頷いた。
「尾崎は?スーツ?」
「そうですね。克巳のお父さんに挨拶した後本庁に行かないと」
尾崎のクローゼットから服を適当に借りて着込み、尾崎の分の着替えも済ませた。
昼前に迎えに来るらしいので多分昼食は用意してくれるだろうと、中途半端な時間に起きた為朝飯は抜きにする事にして二人でニュースを見た。
詳細を隠したニュースは昨日の件を簡単に報道されただけだった。
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