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追憶の彼方から放されたい 123

 その前に尾崎が性犯罪とクスリは、って言ったけどどういう事だ?
 克巳は光流くんのお父さんと尾崎を交互に見て、そして山口さんも苦笑を浮かべているのを見た。

 「マジで昨日の尾崎さんはやばかったですよ」
 「山口…黙ってろ」
 尾崎が低い声で制止する。
 「だろ?いや猫被っておとなしいもんだと思ってたけど、そうそう本質ってのは変わらないからなぁ。まぁだやっぱりガキん時と変わらないかぁ…でも抑えられるだけ大人になったかぁ?」
 光流くんのお父さんが笑っている。

 「絶対尾崎さんはあの場で人殺ししちゃうかと思いましたよ」
 「……してやろうかと思ったけどな」
 え?と克巳は尾崎を見た。そしてガキん時と言った光流くんのお父さんを見た。
 「江村くんには言ってないのか?言えないか?」
 くっくっと光流くんのお父さんが笑えば尾崎が渋面を浮べる。

 「恥ずかしいよなぁ~?」
 にやにやと光流くんのお父さんは笑っていて尾崎はまたさらに眉間に深い縦皺を作っている。
 「前歴ないけどほとんど犯罪者だもんなぁ」
 え?とまた克巳は尾崎を見るが尾崎は否定もしない。
 「……今は一応更正してます」
 「一応っ!」
 声を出して光流くんのお父さんが笑い出し尾崎の怪我してない方の肩をばしばし叩いている。

 「…傷に響くんでやめてください」
 「何を殊勝な。江村くんコイツで本当にいいのかね?コイツのウラ取れたら江村先生に恨まれるぞ…」
 「今はウラなんてないです」
 克巳はきょとんとするばかりだ。
 「江村くんは分かってる…?」

 「え…?尾崎の事…ですか?…過去は知らないけど…でも別に過去知っても変わらないですが…?なんとなくは分かってますし」
 激情が隠れているのは克巳にも分かっている。それを隠す為に胡散臭くなっているのだろうから。
 「やっぱ江村くんの方が大物だよな」
 光流くんのお父さんが感心したように言って克巳の向いに座った。尾崎は克巳の後ろに立ったままで山口さんは少し離れて立っている。

 「江村くん、先に謝っておく。すまない。昨日の事は公にできないんだ」
 「…分かってます」 
 光流くんのお父さんが今までのふざけた口調を改め克巳に向かって頭を下げた。
 「だがすでに免職扱いになっているから安心してほしい。それと 佐竹の件は個人扱いになっているが、そこから 議員までいけるように今動いている。とはいっても…多分地検にいくようになると思うが…」

 「…そうなんですか…?」
 「ああ、くれぐれも他言しないように。ご家族にもね」
 「あ、はい」
 克巳は神妙に頷いた。
 克巳を信用して光流くんのお父さんは話をしているのだからそれを裏切ってはいけない。

 山口さんがコーヒーを買ってきてくれて克巳の前においてくれたので軽く礼をする。
 「バスジャックで活躍してくれたばかりなのにまた事件に巻き込んでしまって悪かったね」
 「いえ。今回のは雅彦が…親戚が、ですから。かえって尾崎にまで怪我させてしまって…」
 「そこは別に江村くんが気にする事はないでしょう」
 「ですが…」
 ちらと克巳は後ろに立つ尾崎に視線を向けると尾崎がこくりと頷いている。

 「克巳が気にする必要なんてないですよ。キミが怪我しなくて良かった」
 だから…克巳だって尾崎に怪我して欲しくないと思っているんだ、というのに…。全然分かってないのか?コイツは…。
 「病院に山口送ってやって」
 「はい」
 「あ、それと2、3日休んでいいぞ。来て内勤してもいいが」

 「休ませていただきます」
 尾崎がすらりと答えて光流くんのお父さんは苦笑している。
 「なんでどいつもこいつも内勤嫌うかな…それと江村くんの通帳に振込みされているから後で確認して」
 「振込み?」
 「そう。バイト代ね。バスジャックでも活躍したし」
 「…ありがとうございます」

 「いや、バスジャックの件は江村くんのおかげで解決したからね。その所為で今回の件にも繋がってしまった…というのも否めないが…」
 あの時に副総監に目をつけられたという経緯の事を言っているのだろう。
 それでも雅彦がいなければそうならなかったかもしれないわけで、どれが正しいかなんて誰にもわかりはしないのだ。

 「尾崎も江村くんも少しゆっくり休んで」
 はいと克巳は尾崎と顔を合わせて頷いた。こういう人もいるのだから…副総監の事を考えて警察全部を悪に捉えてはいけないだろう。
 克巳はこくりと頷いた。
 

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