「ま、…って」
「待ちません。ホント…怪我なんてするもんじゃないですね…おかげで毎日自分の首締められてる感じでした。克巳は安心してすやすや眠ってたようですけど」
「…そんなに…したかった…?」
「勿論。大事な好きな人と一緒に住めるようになって浮かれているのに好きにできないってね…自業自得ですけど。…克巳はしたくなかった?」
「…たかった…」
「本当?」
尾崎が克巳をからかうようにしながら確認する。
「傷……平気?」
「大丈夫。今は気にしないで…」
「んんっ」
尾崎の指が克巳の内襞を引っかき、中で指を蠢かす。
「ああっ!」
「ここですよね…いいとこ」
尾崎の声が嬉しそうだ。そして克巳の感じる所を指でくりくりと刺激してくる。
「早く中に入りたい」
欲情を含んだ尾崎の声にすら感じて克巳はぞくぞくする。
「いい…はや、く…」
自分からも尾崎を求めてしまう。ぐちゃぐちゃにしてくれればいいのに…。訳が分からない位。
それでも尾崎の傷の事は頭の片隅に常に入れ、傷に触れないように気を遣う。
「ダメですよ、煽っちゃ。克巳を傷つけたいわけじゃないんですから」
「どうして…尾崎なんだろう…?」
こんなに誰かを欲しいと思うようになるなんて思ってもみなかった。最初から特別だったわけでもないのに…。
「何が?」
なんでもない、と克巳は頭を横に振った。
理屈じゃないんだ。いつの間にかするりと尾崎は克巳の心の中に住んで存在を大きくしていった。
心配してくれて、守ってくれて、克巳の呪縛を取り除いてくれた。尾崎だけが力も父親の事も何も関係なしに克巳を克巳として必要としてくれ、そして大事にしてくれる。
「す…き…」
いつも眼鏡の奥に激情を隠している怜悧な男なのに克巳に関してだけ目に表情を浮べる男が愛おしい。
尾崎の熱い怒張が後ろに宛がわれた。
「すみません…ちょっとキツいかも…」
「いい…」
吐息が混じり熱い息が交じる。
「克巳…」
尾崎が貪るようにキスしながら克巳の腰を押さえ、中に入ってくる。
違和感と恥かしさ、それでも余裕のない情に衝かれるままの尾崎を見るのは好きだ。尾崎を取り繕っている仮面を外せるのは自分だけだと思えるから。
圧倒的な熱を孕んだ尾崎の中心が克巳の中に入ってくる。腰を自分から上げそして体を沈めながら尾崎を少しずつ受け入れていく。
本当は首にぎゅっと力任せに縋りたい所だがそれはまだ出来ない。傷が万が一開いたりなんかしたら大変だ。片手は尾崎の怪我してない方の肩に添え、もう片方の手は尾崎の足にかけている。
「ぎゅっとしてもいいですよ?」
「…バカ。しないよ」
尾崎が息をはっと短く吐き出しながら囁き、克巳は首を横に振る。
「治ったら…する…治るまでは…んんっ」
尾崎の大きな存在感が自分の中で一つになっていく。大きく広がっている後ろが克巳の奥までしっかり入り込む。
繋がったそこを尾崎がさわりと撫でた。
「痛くない?」
「…ん」
「気持ちいい…克巳…どうしよう…すぐ出そうなんだけど…?」
「いいよ。…俺も…」
こうしていられるだけで幸せだと思う。一緒に眠るだけでも幸せだと思うし、キッチンに立っているのも幸せだ。
ほんの小さな事が全部克巳にはなかった事だから、余計にそう思えてしまうのかもしれない。
「尾崎だけ…なんだ…」
「俺も克巳だけ。欲しいと思うのも、めちゃめちゃにしたいのも、優しくしたいのも」
ゆさゆさと尾崎が腰を少しずつ突き上げ、克巳の体を揺さぶってくる。
「いい…克巳…克巳は?」
「ん…ああっ…」
下から衝かれるたびに奥深くまで尾崎の熱く滾った熱の塊が克巳を官能の渦に巻き込んでくる。
「ああ…っ」
「く…締まって…すぐイっちゃいそう…」
「いい…早くっ」
克巳も自分からも腰を揺らし尾崎を促せば尾崎の息も荒く、さらに熱を帯びてくる。
「ゆ…すけ…っ」
短く尾崎の名前を呼ぶとどくりと尾崎の楔がさらにびくりと大きくなる。
「参るな…」
尾崎が小さく声を漏らし、さらに腰を下から激しく衝き動かしてくれば克巳ももう余裕などなくなってくる。
「ああぁ…」
短く声をあげ体を震わせ、喉を仰け反らせる克巳の体をぐっと尾崎が腰を抱きかかえさらに奥で迸りを放ち、どくんと熱の放出を感じれば克巳もまたきゅっと後ろを締め上げ、自分も真っ白に弾けた。
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