あけましておめでとうございますm(__)m
どうぞ本年もよろしくお願い致します^^
ライオン
「…夢?」
…じゃない。自分の手にはたった今穂波さんから渡された本を持っていた。
「…マジで?」
まさか突然の告白に、しかも男からの前置きも何もない行き当たりばったりの告白にOKをもらえるなんて思ってもみなかった。
でも想像してた口調よりもずっと捌けていた。自分の事を俺といった穂波さんが新鮮だった。
頬っぺたを抓りたくなってしまう。
白昼夢でもみたような気分だ。
物静かなイメージだったけどちょっと違う。だからといって崩れたというほどでもなくますます本当はどんな人なのだろうと興味が出てくる。
間近で目の前で見た穂波さんはやっぱり綺麗だった。
それに目元の黒子が色っぽくて視線が吸いつけられるようだった。
「やば…」
講義の時間に間に合うように道路向いの大学まで戻らないと。
呆然としていたが慌てて図書館の敷地を出て行く。
ふと後ろを振り返るが勿論穂波さんの姿が見えるわけではない。
それでも今日は大学を終わった後のバイト先にどうやら穂波さんが来てくれるらしい。それにその後どこかに行くらしい。
夜ご飯?それとも穂波さんの部屋?
いや、さすがに今日の突然の告白でそれは早すぎるだろう、と獅王は自分に突っ込む。
「…嘘じゃないよな…?」
こんなに浮かれていいのだろうか、という位に浮かれている。
でももしかしたらすっぽかされる可能性だって無きにしも非ずだ。
だって男からの突然の告白なわけで。でも穂波さんはちゃんと恋人として、って言ったはず。
どうにも夢見心地な気分だったので夢と現実の境目が自分でも分からない。
また足を止めてぼうっとしてたのにはっとして慌てて道路を渡って大学の方に向かった。
今日はどうした?と友達やら女の子達に声をかけられた。
誰の目からみても浮かれて見えたらしい。
しかし時間が経つにつれやっぱり夢だったんじゃないか、と思えてくる。
わざわざあの人が追いかけてきてくれ動揺した自分の告白にいいよ、なんて軽くOKしてくるなんてどうしたって夢だろう。
どうにも信じられないがとにかく夢見心地のまま講義を終え、バイト先に向かった。
その前に本当は図書館に寄って真相を確かめたい気もしたが夢だった場合には途轍もない打撃を喰らいそうだったので敢えてやめた。
あとはバイトしながら夢じゃない事を願ってあの人を待つだけだ。
カフェのバイトはただ時間があって暇だったから始めただけだ。遊ぶ金があってもいいな位の軽い気持ちでだ。なにしろ実家からの通いなので洗濯も料理も気にしなくていいのだ。
「レオ?今日はどうしたの?誰か来るの?」
一緒に働くやはり同じ大学の女子に声をかけられた。
貴重な女友達だ。高校から一緒で獅王に対しては本当にただの友達でちゃんと彼氏もいる。
「え?ああ…多分」
「多分?」
自信がないからそんな曖昧な答えになってしまう。
この日のシフトは夜八時までだった。それ位の時間に、と穂波さんは言ってたはず。
ひっきりなしに時計と出入り口をチェックしてしまう。
「レオくん?どうかした?」
店長にまで声をかけられてしまう。
「あ、いえ…なんでも」
焦ってしまった。
かっこ悪いな、ととにかく自分の仕事をちゃんとしようと入ってきたお客さんにいらっしゃいませと声をかけて席に案内する。
「レオくん来るようになってから売り上げがウハウハだわ」
店長がこそりと獅王に耳打ちして来た。
「だったら時給上げて下さい」
「それはそれよ?」
あっさりと却下されて苦笑してしまう。
こそこそと仕事帰りのOLのお姉さんなんかも獅王の方をちらちら見ている。
声をかけられないようにするには常に笑みを絶やさずに話しかけるなというオーラを纏う事だ。
ここは個人のカフェで雰囲気もいい。店長は女性でマスターと夫婦でやっている。午後からのバイトは獅王も含めて五人でシフト制。獅王はそれほどバイトに必死ではないのでどちらかといえば入れない誰かの代わりというのが多い位だ。
「いらっしゃい…ませ」
そろそろ七時半を過ぎたという時間、カランと店のドアにかかっているカウベルが鳴って目を向けると入ってきたのは穂波さんだった。
きょろりと店内を見渡している穂波さんに慌てて獅王は席に案内するために足を出すとすぐに穂波さんも獅王に気付きほっとしたように笑みを浮べた。
「この店入った事なかったんだけど…雰囲気いいね」
「ありがとうございます。あの…バイトまだ終わるまで時間が…」
「いいよ。コーヒー飲んで待ってるから」
ふわりと笑みを浮べる穂波さんに獅王のテンションが上がっていく。
来た!本当に!夢じゃなかったんだ!
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