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ライオンとウサギ 6

ウサギ

 獅王くんの心臓がどきどきしてる…。
 それに煽られるように雪兎の心臓までどきどきしてきた。顔も熱い。

 混んできた電車で人に押しつぶされるように獅王くんの身体が密着してくると獅王くんが雪兎を抱きしめるようにしてきて、自分もそれに素直に身を任せた。
 広い肩幅の中に納まるのが気持ちいい。
 年は下だけれど包まれている感じは悪くない。

 ぐっと力を入れて抱きしめられているわけではなくソフトにだ。
 でもそれだけでぞくりと欲情が湧いてくる。
 年下は趣味じゃなかったんだけどな…。
 「…雪兎さん…」
 小さく雪兎にだけ聞こえるような囁く声で獅王くんが呻くように雪兎を呼んだので顔を上げると上気した獅王くんの瞳と視線がぶつかった。

 …ノーマルだろうに、男の自分でも欲しいと思うのか瞳には劣情が浮かんで見えてさらに雪兎の身体は震えそうになった。
 誘いたくなったけどダメダメと自分に言い聞かせる。
 まずはちゃんと確認させてからじゃないと。
 辛い思いをするのはもう疲れたから…。自分を守る為にも先手で手綱を握ってからじゃないとダメだ。

 …それにしても近くで見てもかっこいい。
 美形だなぁ…と見惚れてしまいそうだ。
 外国人のモデルさんみたいだ。目の色が…こういうのがはしばみ色って言うのだろうか…?薄い茶色とグリーンが交じったような不思議な色だ。
 それに鬣の様な金茶の髪。
 本当にライオンみたい…。

 そして自分はウサギ?獲物として捕えられてしまったのかな…?
 だったらやっぱり食べられる…?
 身長差があるので上目遣いになると獅王くんが困ったような表情をしてさらに耳を赤くして雪兎から視線を外した。
 彼も欲情…してる…?
 早く食べられたいと身を任せたくなるけれどこんな事思うのは初めてかも。

 「えと…下りる駅まで…」
 「あと二つ」
 小さく雪兎が答えると獅王くんが小さく頷いた。
 「俺ん家雪兎さんの駅からさらに一つ先。…近いね」
 獅王くんが顔を近づけ雪兎の耳に小さく囁く。
 ぞくぞくと身体が震えて声だけではしたない事に中心に熱が集まってきそうだ。

 「…具合悪い?寄りかかっていいよ?」
 「…うん…。ありがとう」
 雪兎の身体が震えたのを電車が混んでて具合が悪くて、と彼は思ったらしく、支えるように雪兎の肩にぐっと力を入れた。
 力を抜いて素直にさらに獅王くんの身体に密着させると獅王くんは身体を硬直させている。

 …嫌なのだろうか?とちらっと獅王くんを窺うと顔も真っ赤になっていて視線が彷徨っていた。
 もしかして緊張してる?
 …可愛いかも…。 
 獅王くんの心臓がどきどきと脈打ってるのが雪兎にも聞こえてくる。
 うーん…やばいなぁ…。
 ちょっといつもとパターンが違う。そもそも年下という所から違うからな…。

 いつもだったらちゃんと遊びと分かって付き合うようなオトナとしか付き合わないし…。
 相手はノーマルなのにカッコイイから…つい雪兎もいいよなんて言ったけど…。
 自分が夢中にならなければいいだけの話だ、と自身に言い聞かせる。
 「雪兎さん…着いたよ?」
 「あ、…うん」
 すっと獅王くんが雪兎の肩を抱いたまま電車から人を掻き分けて駅に降り、雪兎もほっと安心した。

 「大丈夫?」
 「…平気」
 混んだ電車で気分が悪いと思ったのだろう獅王くんの気遣いに頷いて、行こうと先を促した。
 昨日買い物はしたから今日の分も何か作る分は冷蔵庫に入っているはず。何あったかな?と雪兎は冷蔵庫の中身を考えた。
 …ちょっと浮かれているのだろうか?頭の中も落ち着かない。

 「雪兎さん、寒くない?」
 「大丈夫」
 電車の中が暑い位だったのが駅の改札を通れば夜風でひやりと身体が冷えてくるがむしろ身体の熱を冷ますには丁度いい。

 それにしても…雪兎さん、だなんて名前を呼ばれるのは好きじゃないのに自然に獅王くんは呼んでいる。
 電車を降りて離れてしまった獅王くんの身体がちょっと惜しいな…とちらりと隣を歩く獅王くんを横目で見てしまう。
 並んでといっても獅王くんは背が高いので肩のラインが自分とはどうしてもずれている。それに電車の中での腕の中の感触を思い出すと自分から抱きつきたい衝動に駆られそうだ。

 ただ引っ掛けた相手じゃないんだからダメ。…と自分に言い聞かせながらマンションに向かう。
 「ちょっと歩くよ?」
 「はい」
 獅王くんがこくりと頷いているが獅王くんもどこか落ち着かないらしい。
 「…緊張する」
 バレてると思ったのか苦笑しながら獅王くんが素直に漏らした言葉に雪兎は可愛い、とくすりと笑ってしまった。
 
 
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