ライオン
マジで!?
雪兎さんのマンションの風呂場で念入りに身体を洗いながらも獅王はまだ夢心地だ。
だって今日の今日でセックスまで行くなんて誰が思う?
そりゃ大歓迎だけど!
きっと雪兎さんは綺麗でエロいんだろうな、と考えるだけで中心に熱が籠もってきそうだ。
肌が白くて肌理細やかで肌触りもよさそうだし…目元も口元もそこはかとなくエロい。
もしかしておとなしそうだけど本当はキツい性格なのかな?とは思った。再々獅王の事をちらりと睨んでくる。
けど…。
それさえも可愛く見えてしまうんだからもうメロメロといっていいかもしれない。
そのくせふとした瞬間に不安を浮べたような表情になってどこか弱弱しい印象も受ける。
どっちが本当の雪兎さんなのだろうか?
どこか虚勢を張っているようにも見えてしまうけれど…。
それにしてもウサギだから寂しいのはダメって…。
「…可愛すぎる」
くくっと獅王は口を押さえて笑った。
「ウサギさんはライオンくんに食べられてしまうのに…」
勿論食べて味わうのは雪兎さんの身体だ。
さすがに雪兎さんは大人だし自分が初めてでもないだろうとは思ってたけど相手が男でしかもそんなに相手がいたなんて思ってもいなかった。果たして見た目のわりに遊んでいない自分で満足してもらえるだろうか?という不安が過ぎる。
なるようにしかならないから開き直るしかない。
シャワーを止め雪兎さんに用意してもらったバスタオルで身体を拭き、用意してくれたバスローブに袖を通して風呂場を出た。
「上がりました。雪兎さん、どうぞ」
「…ああ」
雪兎さんがちろりと獅王の肌蹴た胸を見て仄かに頬を上気させたのを見逃さなかった。
…期待されてるのだろうか?
自分をウサギに例えた雪兎さんに性欲も、と話題を振れば否定しなかったのに少しばかり面白くなかった。
今までも何人もの男が雪兎さんの身体を味わったのだろうか?
電車の中でも煽るように身体を獅王に預けてきた雪兎さんを思うと複雑な気分になってくる。
ちらちらと雪兎さんの視線が獅王の身体に注がれるのが分かったが気づかないふりをしてソファに腰掛けると雪兎さんはそそくさとバスルームに消えた。
ここにも何人も男が来たのだろうか…?
でも洗面所にもどこにも雪兎さん以外の存在は微塵も感じなかったけど…。
歯ブラシなんかも一つだし、お揃いのカップがあるわけでもない。
そういった事はその内時間が経ってから確認していけばいい。浮気はダメ、自分もしないと言った雪兎さんだ。
ソファに座りながら獅王は自分の手を眺めた。
電車で雪兎さんの身体をそっと抱きしめたその肩も背中も華奢だった。黒い艶やかな髪にキスしたくて。赤い誘うような唇にも触れたかった。目元の黒子も獅王にキスを誘ってるみたいに思えて…。
「…んなわけないっつうの」
どうにもかなり気持ちが浮ついている。
早く風呂場から出てこないかな、いやむしろ覗き見たいという欲求まで湧いてきてそこはどうにか我慢する。
だってこれから自分に抱かれるために身体を洗っているんだろう?
…見たい、と思いつつ獅王は首を横にふる。
「ダメだ…」
どうにも想像するだけで正直な自分の身体は前が反応しそうだ。
「耐えろ」
いきなりキスもしてないのに反応してたらみっともなくて雪兎さんに笑われそうだ。
雪兎さんは今まで大人の男を相手にしてきたんじゃないのか?自分みたいな若造とというのは考えられないし、寂しくてなんて言う位だから甘えられる相手だったんじゃないだろうか?
それを考えれば見栄を張りたくなるし対抗心も芽生える。
みっともなくがっつかないようにしないと!
自分に言い聞かせて、頭の中で今日の受けた講義の事でも思い出して気持ちを落ち着けようと思ったのに、浮かれていた今日は講義が何一つ頭の中に残っていなかった。
変わりに浮かぶのは全部雪兎さんの姿だ。
告白の時の驚いた顔。電車の中での俯けた顔。食事の時の口元、さっきの獅王の身体を見て少し熱を孕んだ目。
「だからダメだって」
かえって獅王の身体に熱が集まってきてしまう。
早く上がって来い、と思いながらバスルームの方を見て雪兎さんを待った。
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