ライオン
「雪兎さん、朝は何時に起きる?」
「…六時かな…。洗濯しないと」
「………すみません」
剥いだシーツは獅王が洗濯機のある洗面所まで運び、そして今は獅王の腕の中には雪兎さんがいる。
もう眠くなっているのか雪兎さんの声がとろりとしている。がつがつと求めてしまって疲れたのだろうと思うと申し訳ない気持ちにもなるけど今は幸せだ。
明日はバイトもないし学校を終わったら先に雪兎さんの部屋に来て洗濯でもなんでもしておきます、と言いたい所だけど…まさかそれは図に乗りすぎだろうとも思うからなかなか言い出せない。
さらりとした雪兎さんの髪を撫でながら軽く頭にキスする。
腕枕とか!
いいけど、雪兎さんの裸体が目の前にあってまた性懲りもなく熱を持ってきそうになる節操のない自身を宥める。
くすぐったいのか雪兎さんがくすくすと笑って、それが可愛い。
「きみは講義…」
「明日は二時限からなのでゆっくりでいいんです」
「…それならいいけど」
雪兎さんは目をしばたかせていた。
「眠いんでしょ?寝ていいですよ?」
キスしたい。もっと触れたい。
欲求ばかりが獅王を渦巻くけれど必死にそれを抑える。
「…ん…」
もう瞼が開かなくなっているらしい雪兎さんを見て、もっと見ていたいけど…と思いつつ電気のリモコンで部屋を暗くした。
「おやすみなさい…。雪兎さん…」
「…お…やすみ…」
甘えるようにもぞもぞと雪兎さんが獅王の体に擦り寄ってきて、獅王はぐっと雪兎の体を抱きしめた。
やばい…。ホント可愛い。
こんなに誰かを可愛いなんて思ったのは初めてだったし、セックスした後だってこんなにべたべたしたのも初めてだ。
いつもセックスしてもこんなもんか、位だったのに。
「……くすぐったい」
小さい声で雪兎さんが囁いた。無意識に肌を撫で回していたらしい手をあ、っと思って止める。
動かしたくなる手を止めてうずうずしながら我慢してるとすぅすぅと雪兎さんの静かな寝息が聞こえ始めた。
もっと色々知りたい。話もしたいし触りたいし見ていたい。
でも明日は雪兎さんは仕事あるから…。
そういえば雪兎さんの休みっていつだろ?休館日は月曜日だから月曜は休みなんだろうけど…それだと獅王は大学がある。丸一日のデートなんか難しいのだろうか…?
平日もいつも今日位に終わる?
時間を合わせるのが難しいかな…?
好きだと獅王からは言ったけど雪兎さんからの言葉はない。そりゃ今日告ったばっかりだしそれで好きなんて言葉が欲しいのは図々しいと思うけど。少しでも知りたいし、自分も知ってほしい。それで雪兎さんからの言葉も欲しい。
「…欲張りだなぁ…」
今日、まさかこんな風に告ってすぐに先の先まで進めるなんて思ってもなかったからラッキーなのかもしれないけど。
…それにしてもエロかった…。
どこもかしこも綺麗でエロくてさらに夢中になってしまいそうだ。そして可愛いなんて犯罪だ。
「ウサギさんだもんな…」
くっと笑って雪兎さんの頭にキスする。
まさか名前がユキウサギなんて。
もう腕の中の存在に独占欲が渦巻いている。コレは獅王の獲物だ。誰にも渡したくない。
話した事もろくろくなくてただ見ているだけだったのに惹かれて…。今日だけでも今までの勝手に持っていたイメージががらりと塗り替えられた。
けど、全然それは悪くない。
今まで付き合ってきた女の子には幻滅したりした事があったりしたけれど、雪兎さんにはかえってますます夢中になるだけだ。
「いつか好きって言ってね…?」
どうやら元々ゲイらしい雪兎さんは身体だけでも、とでも思ったんだろうか…?
それはちょっと悲しいけど、それでも嫌われているわけではないらしいのでラッキーだ。
もし男相手に考えられない人だったらきっと抱く事なんて出来もしなかっただろうから。
最初は身体だけでもいいけどちゃんと好きになって欲しい。
獅王の全部を欲しがって欲しい。
人に褒められる外見に雪兎さんも少しは惹かれているのは分かっている。でも外見だけでなく中を分かっても好きと言ってもらいたい。
今まで付き合った子に思ってたのと違うと言われたのがほとんどだった。雪兎さんにはそう思われないようにしないと。
黒い雪兎さんの髪を梳きながら獅王も目を閉じた。
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