ライオン
よし!昼も一緒をゲットだ。
洗い物を済ませ洗濯も干して雪兎さんと一緒に部屋を出た。これから一回家に帰って着替えをしてから学校に行ったって余裕で間に合う。
本当は雪兎さんと一緒に電車に乗っていきたかったけど…。
絶対朝の電車は混んでるだろうし、痴漢なんかに合ってたら大変だ。
…だって気だるそうな雪兎さんからはエロい気がダダ漏れしてるようで心配すぎる。
絶対雪兎さんを目の前にしたらノーマルな男でもふらふらとしてしまう!
それ位今日の雪兎さんはフェロモン垂れ流しだった。
…それは自分のせいだろうけど、と思えば喜んでいいのか悪いのか。
雪兎さんが電車に乗るのを見送り、自分も一駅だけ電車に揺られて自宅に帰る。
「あ!」
そういえば携帯の番号聞いてない!
本当は昨日部屋に行ったら聞こうと思ってたのに舞い上がってて、しかもそのままなだれ込んじゃったものだから…。
なにしろ浮かれまくりだ、と苦笑してしまう。
家に帰って着替えをしてると階下から母親の声がした。
「レオ~?帰ってるの?」
「帰ってる。また大学行くけど」
「朝ごはんとかは?」
「食べたからいい」
会話しながら階段を下りていく。
「俺恋人できたからこれからちょくちょく外泊とかするかも」
「そうなの!?え?どんな子?」
「ウサギちゃん。じゃ行ってくる。一応メシいらない時はメールする」
じゃ、と尚も聞きたそうにしてた母親を振って玄関を出た。
雪兎さんは大丈夫だろうか?だいぶだるそうにしてたけど。
今日も泊まっちゃだめかな…それは図々しいか…。
いつもだったら一時限目がない時は図書館に行くんだけど、今日は時間が少しばかり中途半端でそのまま大学に向かった。
もう少し遅く家を出てもよかったんだけど、母親に深く追求されそうで逃げてきた為だ。
相手が男だとしても家の家族は気にしないだろとは思うけど、雪兎さんのところはどうなんだろう…?
大学の頃から一人暮らしって言ってたけど…。
まだ全然雪兎さんの事は知らないから、これから少しずつ知っていけばいい。
昨日までは心の中での呼びかけも穂波さんだったのに一日経っただけでこんなに変わった。
「レオ!今日は図書館行かなかったんだ?」
「ん?ああ」
構内に入ってすぐに高校から一緒でつるんでる林に声をかけられた。
成績も似た感じで背も獅王よりも少し低いけど大きいほうで飄々としてなんとなく馬が合ってよく一緒にいる事が多い。
「それにしても珍しいな?髪上げてないの。いっつも上げてるのに」
「ああ。今日は時間なくて」
「寝過ごした…わけじゃないだろ?まだ時間早いし」
「ん?ああ」
にやっとまた顔が弛む。
「なんだ?しまりねぇ顔して。…女子が色めき立ってるな。お前が髪下ろしてるから」
「関係ない。そんな事よりさ…」
昨日は夢じゃないかと思って胸に仕舞っておいたけど夢じゃなかったから言ってもいいだろう。
「恋人できた」
「まじか!?」
「マジ」
口元を拳で押さえながら林に言えば林がびっくり顔だ。
「なんだよ!図書館の穂波サンは諦めたのか?どこの女だ?」
「ああん?違う。女じゃないし、諦めたわけじゃない。彼女って言ってないだろ?」
「………チョット待て?男…?…ってもしかしてその穂波サン?」
「そ!そ!」
くっくっと獅王が笑いを漏らす。
「昨日本借りたときにたまたま1冊カウンターに忘れたら追いかけてきてくれてつい告ったらOKされた」
「………てめーは一回死ね。…顔がいいっつうだけでなんでもアリかよ?信じらんねぇな…夢みてんじゃねぇの?」
「俺も昨日は夢見てたんじゃねぇかと思ってたけど。だから昨日は何も言わなかっただろ?」
「…本当にマジか」
「マジ。今日もお昼一緒に食べに行こうって約束してる」
林とこそこそと顔をくっ付けるようにして話をしてると林が頭を抱えた。
「信じられねぇ…」
「別にお前に信じてもらわなくてもいいけど?」
「いや…かなり浮かれてるのは見て分かる。少し抑えろ。ばぁか」
「分かってるけど…無理!」
「ムカつく」
げし、と林が足で獅王を蹴ってきた。
「ふふん」
そんなの浮かれた獅王にとってはどうというものでもない。
「くそ…大声で男が出来ましたって言ってやりてぇ…そうしたら女が少しはこっちに回ってくるかも」
「言ってもいいけど?」
「…ムカつく」
もう一回足蹴にされるけどやっぱり獅王は笑ってるだけだった。
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