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ライオンとウサギ 24

ウサギ

 かっこいい獅王が自身にコンプレックスを持っていたなんて…。
 そして少しの弱味を見せられて雪兎の気持ちがさらに獅王に傾くのが分かった。
 だって…誰にも言った事ないとか…自分にだけ特別とか…そんな事言われたら…。
 最初からやっぱり獅王はその外見で目立っていて雪兎だって外国人の留学生かなとか思った位だった。きっとずっとそういう目で獅王は見られていたのだろう。

 そんな事が少し分かっただけでぐっと雪兎の心が獅王に近づいた気がしてしまう。
 そしてじっと獅王の視線が自分を見ているのが恥かしくて仕方ない。
 そして落ち着かなくなるんだ。
 このままだといけない…。
 ふと、そんな事を思ってしまう。自分が夢中になったら後で傷つくのは自分だ。

 「雪兎さん…今日も仕事終わるのって昨日と同じくらい?」
 「いや、もっと早いと思うけど。昨日は獅王に合わせたから時間つぶしで残業してただけ」
 「今日は俺バイトないんですけど…。雪兎さんのマンション行ってもいい…?昨日の今日で図々しいけど…」
 「ダメ。今日はゆっくり寝たい」
 冷たく雪兎が拒否すると獅王はがっくりと肩を落とした。

 「…ですよね…。無茶しちゃったし…」
 その獅王の項垂れぶりに雪兎がどきりとしてしまう。いいよ、と言ってしまいたくて。
 誰も今まで部屋に連れ込んだ事はなかったのになんで獅王は自分から入れてしまったのか…。

 今までは付き合うのは年上の人ばかりだったし、店で知り合ってがほとんどだったからホテルでが普通だった。プライヴェートの空間に男の影を入れたくなかったのに…。そうしないと自分が寂しくなるから。そう思って今までは上辺だけの付き合いにしてたのに昨日は雪兎も浮かれていたのかもしれない。
 なるべく獅王を自分の部屋に入れないようにしないと。

 いや、部屋だけでなく自分の中に入れちゃいけない。そうしないと自分が後で辛くなるだけだ。
 獅王みたいにかっこいい子が雪兎だけをずっと好きでいるなんてありえないだろう。女の子と付き合ってたと言ってた位で絶対その内に雪兎は捨てられてしまうんだ。
 公にも出来ない相手にいつまでも執着するはずがない。
 獅王みたいにかっこいい子と少しでも付き合って関係を持てるだけでもラッキーだと思っておかないと。

 「でも今日もお昼一緒できて嬉しい。また雪兎さんの意外な一面が分かった」
 「意外…?」
 「だってこういう店で定食食べるとか…失礼だから大きい声で言えないけど」
 獅王が顔を近づけてきて笑いながらこそりと告げる。
 「今度大学の学食来ますか?人が入り乱れてるから大丈夫ですよ?値段は安いけど味はイマイチな感じもするけどね」
 獅王が肩を竦ませる。

 「…おいしくないなら行かない」
 行って獅王といたら絶対人の目を集めるはずだ。こんな小さな定食屋で若い女性客でもないリーマンやタクシーの運ちゃんでさえもちらちらと雪兎と獅王を気にしているのに大学の学食にいったら絶対獅王との事を勘繰られるに決まっている。
 どういう関係?って聞かれたらどうするんだ?大学だときっと獅王の知り合いや友達は多いはずで、絶対そういう事を聞かれるのは目に見えている。

 「なんだ…残念。…でもお昼一緒に…これからもいい?だって会う時間少ないんですもん」
 「……一人の時なら。たまに同僚と一緒に出る事もあるから」
 「俺は昼は大抵学食なんで。雪兎さんの都合いい時メール入れてください。そしたら図書館に行きますから」
 「…わざわざ…」
 「俺が一緒したいの!雪兎さんの事を色々知りたいし、俺の事も知ってほしいから。……ウザイ…?」
 獅王が心配そうな表情で雪兎を見て雪兎はふっと笑ってしまった。

 「…ウザくはない」
 「よかった!」
 一所懸命になっているのは分かる。若いな…とも思う。
 もう何度も苦しい思いをしてきた雪兎は本気になるつもりがないのに…。でもきっとこんな一所懸命なのも今だけだ。そのうちに獅王も飽きるだろう。大体にして男同士でうまくいくはずなんかないのはよく分かっている。

 何度も期待して、何度も泣いて。…疲れた。
 男同士で恋愛なんて無理なんだ。体の関係だけでいいのに…。
 獅王は男相手にした事がないからきっと女の子と付き合うのと同じ感覚なのだろう。そんなのに期待しちゃ絶対壊れる。
 …分かっている。

 
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