ライオン
どうしようか…。
図書館行ったらウゼェかな…?
授業を終えて構内を歩きながら獅王は悩んでいた。
昨日の告白の前までなら確実に図書館に行っている。バイトもないし、何も予定はないから少しでも雪兎さんを見たくて。
でも今日は朝まで一緒だったし、昼も一緒だった。
夜もOKが出てるならおとなしく一旦帰るところだけど夜会うのは却下を喰らってしまった。
確かにすごく体が重そうだったし、我慢出来ずに何回もイタしてしまったから却下されても仕方ないとは思うけど…。
ただ一緒にいるだけでもいいのに…。いや、抱きしめたりとかキスなんかしちゃったらやっぱりスイッチ入っちゃうか…?
「うーん…」
思わず呻ってしまう。
「レオ、今日バイトは?」
「ない」
林が声をかけてきた。
「じゃレジュメ作り図書館でしねぇ?」
にやりと笑って誘ってくるのは雪兎さんを見たいという事か。
「…OK」
でも林がそう言ってくれるならば図書館に行く口実になる。
ついでに雪兎さんにメールすると言ってた予定表をレポートにでも書いて渡せば近づく口実にもなるかも、と勝手に獅王の中で決定事項にした。
「でも行ってもそんな話せるわけでもねぇけど?」
「いいの。見たいだけ。レオが夢中になってる人がどんなかな?と思っただけだから。まさか男相手にうまくいくなんて思っちゃなかったけどな…」
「俺も思ってなかったけど」
林の言葉に獅王も頷く。
「…お前も惚れるなよ?」
「ああ?ねぇって!」
つい林にも牽制してしまうとバカ?と笑われてしまった。
いや…あの人相手ならありえると思うんだけど。だって色気が半端ないと思うし。それともそれは獅王にだけそう見えるのだろうか?
そのまま林と道路を渡って向かいの図書館に向かう。
大学の向いに建っている図書館は大学生の利用者も多い。館内に入ると獅王は雪兎の姿を探すようにきょろきょろと視線を巡らせた。
カウンターに雪兎さんの姿を見つけると雪兎さんもはっとして獅王の方を見ていた。
「…あの人?」
林が獅王の耳に囁いて聞いてきて獅王は頷く。林は今まで市民図書館に来た事はなく、大学内の図書館で間に合わせていたから雪兎さんを見るのは初めてだった。
「そ。綺麗だろう?」
「…だな。…男だけど…美人さんだ」
「だろだろ」
声が大きくなりそうなのを抑える。
「俺のだからダメだぞ」
「……アホがいる」
空いてる席に林と隣り合わせで小さな声で話しながら講義のレジュメについて相談する。
…けど、その間もつい視線は雪兎さんの方をちらちらと見てしまう。
席は雪兎さんの姿が見える所に取ったからどうしてもそっちに視線がいってしまう。
いつものようにストイックで表情もない事務的な態度。ずっとそんな雪兎さんばかりをこうやって何ヶ月も眺めていたのだ。
キスしたい…。
もう雪兎さんの唇も体も知っている。
こんなに早くにそんな事が分かるとも思ってもなかったんだけど、知ってしまったらもっとと貪欲になってしまう。
泣きボクロももっと間近で見たい。
そう思うと昨夜の色っぽく目が潤み目元を赤く染め白い肢体を官能に震わせる雪兎さんを思い出してやばい、と獅王は頭を抱えた。
「…なんだ?」
「いや、なんでもない」
林が怪訝そうに獅王を見て獅王は慌てた。
「…ヤラシー顔してんぞ」
「…んなわけねぇ」
くっと林に笑われてばつが悪くなる。
「俺なんか本借りてこうかな…。もちょっと近くで見てみたい」
「いいって。勿体無い」
止めさせようとしたって無理で林は貸し出しの為のカードを作る申し込み書を取ってきて書き込み始めた。
その間に獅王はレポート用紙に自分のスケジュールを書き込んでいく。
「何書いてんだ?」
「俺のスケジュール。お昼とか一緒できる日したいし、俺のバイトの後とあの人の仕事後に時間合えば会いたいし」
「…マジだな。そんなマメ男だとは知らなかった」
「俺も知らなかった。今まで付き合った相手なんかどうでもよかったけど…」
「………サイテー野朗だな」
「分かってる。だからあの人だけ特別なんだ」
男だろうがなんだろうが関係ない。嫌われたくないし飽きられたくもない。
セックスは何度も雪兎さんもイったし合格しただろうか?…とは思うけど…。
今までの男の存在を考えれば嫉妬を向けたくなるが、これからは自分が離さなければいいだけだ。
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