※ こちらは「熱視線」のSSです。「熱視線」「熱吐息」をお読みになってからお進み下さい(><)
2月4日は明羅の誕生日だ。
さて今年はどうしようか…?
やっぱりサプライズで何か…。
明羅と一緒にいるようになってからコンサートの回数が増えたとはいえツアーを組んでもいない怜には時間が余っている。
それでもピアノの練習を欠かさないのは明羅に捨てられるのが怖いからだ。
明羅の存在に気付いたのはまだ明羅が小学校の時。それから10年も同じ時期にリサイタルを開いていたのはあの子供の為だけだった。
今年はあの睨みつけるようにしてステージを見ているあの子供は来るだろうか?
そう思いながら10年。
そして10年目でやっと捕えた。
いや…別に狙ってたわけじゃないけど。
捕えたのか囚われたのか…。
その後のピアノも全部明羅の為だけのものだ。
いや、今となってはピアノだけじゃなくすべてがだろう。
「怜さん、ちょっと宗んちに行ってくる」
「ああ?どうして?」
「瑞希さんがプレゼント用意してくれてるんだって」
どうやら誕生日当日を遠慮して先に明羅にプレゼントを渡されるらしい。
「こっちに来るんじゃないのか?」
明羅が自分でわざわざ取りに?
「なんか宗がちょっと風邪ひいて熱っぽいらしいよ?」
「宗が?そんなのほっといても平気だろうに。というか明羅にうつされたらどうするつもりだ」
「あのね…」
はぁと明羅が溜息を吐き出す。
「ちゃんと宗は寝室に寝かしておくって。だから平気」
「インフルエンザじゃないだろうな」
「………いってきます」
呆れたような目を怜に向けながら明羅はリビングを出て玄関に行ってしまう。
…ちょっと心配しただけなのに。
「あ、明羅、じゃ俺もちょっと出かけてくる。帰りに宗の所に寄るよ」
玄関まで追いかけて怜が声をかけると明羅が目を見開いた。
「分かった。…時間かかる?宗が具合悪いのに長居もね…」
「宗はどうでもいいが、瑞希くんが宗を心配するだろうからな」
宗の嫁はかなりの心配性だ。めったに風邪なんかひかない宗が寝込む位じゃきっと甲斐甲斐しく世話を焼くだろう。
「なるべく早く済ませる」
「うん」
ぱっといい案が浮かんだのだ。
明羅の誕生日に一泊で温泉だ。
両親は海外。明羅も小さい頃は海外生活が多かったらしいし、温泉になど行った事ないだろう。なにしろ海にさえ行った事がなかった位だ。
4日は平日だし直前でも部屋に空きはあるだろう。
離れのある風情ある日本庭園がある所がいい。
いい案だと一人でほくそ笑むと明羅が訝しい目で怜を見ていた。
「なんだ?」
「……なんでも?…あ、宗になんかお見舞い買っていった方いいかな?」
「いらんいらん。入院してるわけでもないしただの風邪だろ」
「…怜さんならそう言うだろうと思ったけどね。いってきます」
自分の弟なのに、と明羅がぶつぶついいながら出て行った。
さて、さっさと怜も用意をして出ないと。
ネットで調べてもいいが、旅行会社の方が情報も色々あるだろうし早いだろう。
怜もさっさとコートを着込み車のキーを持って出かけた。
確かいつも生方と打ち合わせするコーヒーショップの隣が旅行会社だったはず。
明羅の驚く顔が見たい。喜ぶ顔が見たい。
それだけだ。
いいけど4日が誕生日だから…前の日から一泊か?日付が変わると同時にお誕生日おめでとう、だろうな…やはり。
今週は明羅も何も予定は入っていなかったし…。
あとで一応3日と4日は空けとく様にと言っておいた方がいいか、と思いながらでもそれだとバレそうでもあるな…とも思ってしまう。
困ったな…。
何かいい案はないかと考えるが思いつかない。
その内に道路も空いていた車は到着し怜は迷わず旅行会社に飛びこんだ。
「温泉に一泊で行きたいんですが。近場で離れになって内風呂があって景色のいい所で料理の美味い所。ちょっと値が張るようなところがいい」
パンフレットを手に取る事もなく受付のお姉さんに矢継ぎ早に告げるとお姉さんが目を丸くしていたがすぐにはっとして対応してくれた。
店員のお姉さんと一緒にPC画面を見て確認しながら宿を決める。近場ならば車で行っていいし、その方が人の目も気にならない。
欲を言うなら本当は雪景色の綺麗な所と言いたいが、それはまた今度でもいいだろう。
…明羅が温泉を気に入ればだが。
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※ 坂崎 若様宅で 「月よ 星よ」 続きうpされてます^^
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今回はおまけつきで文字多めです~(^m^)
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