ガゼボにはベンチはついていたがテーブルはついていなくて、彰吾とホームセンターで小さなウッドテーブルを買ってきて設置したので、そこに酒を置く。小さなクーラーボックスには氷をたっぷりと入れてある。
それも彰吾が準備を完璧にだ。
夜はもう日中ほどだらだら汗をかくことはないが、それでもまだ暑い。
クーラーボックスに小さいグラスも突っ込んできたので、それに酒を注いで星空の下で彰吾とカチンとグラスを合わせた。
きゅうっと喉に酒が染み渡る。
家の中で飲んでもいいけどやっぱりガゼボで飲めば雰囲気もいい。
蚊取り線香の煙が穏やかな風に乗って辺りを漂っているのも夏という感じだ。
そこにリンリンと虫の音も響いてくる。
「まだ夏なのに虫の音?」
「夜は大分気温が落ちてくるようになりましたからね」
千聖と並んで座る穏やかな彰吾の声。
しばらく無言で星空を眺め、虫の音のBGMで酒を燻らせる。
「もうそろそろ始まりますよ?」
「どっち…」
方向を聞こうとしたらぱっと空が華やかに明るくなり、そしてドンという腹に響く音。
「おっ!でかい!」
「でしょう?」
ここ最近あちこちから花火の音はしていたが、本当に地域の小さな花火ばかりで今日も正直そこまで期待していなかったのだが、彰吾がわざわざ誘う位に今日は立派な花火だった。
千聖の右側に座った彰吾の腕に凭れながら花火を見て、そして酒の杯を傾ける。
ぱっと夜空が華やぎ時間差でドドンという音。
浴衣を着て酒を片手に隣には彰吾。これ以上ない至極の時間だ。
「すごいな…これ毎年してるのか?」
「そうですね。…子供のころからずっとですから…そういえばこんな風にゆっくり見たのって初めてかも。いつも大体祭に行ってて食い気ばかりで…。大人になってからはずっと手伝いばっかりでしたし」
「そうなんだ…?手伝い…今年はよかったのか…?」
千聖がいるからきっと断ったのだろうが…。
「いいんですよ。今までは断る理由もなかったから手伝ってただけですんで」
花火が上がると彰吾の顔がはっきり見える。じっとその横顔を見ていたらふいと彰吾が千聖に顔を向け視線を合わせると顔を斜めに近づいてくる。
千聖も睫毛をゆっくりと伏せキスを待った。
合わせるだけのキスから彰吾が千聖の唇を舐めていく。
「ん…っ」
もうそれだけでずくんと千聖の体は反応してしまいそうだった。
なにしろ彰吾の浴衣姿は本当にかっこいい。それに花火にガゼボにとシチュエイションは完璧だろう。
唇を啄ばまれながら彰吾がグラスを置き、そして千聖の手からもグラスを取り上げると千聖の体がさらに引き寄せられた。
「知ってます?」
「うん?…何が?」
彰吾の唇が千聖の唇をほんの少々離れるとはぁっと千聖から熱い吐息が漏れてしまう。
足りないな…ときっと彰吾を物欲しそうに眺めてしまったのか、彰吾がするりと彰吾に凭れていた千聖の着物の合わせに手を忍び込ませて来た。
「あっ」
肌にあっという間に触れ彰吾の器用な指先に千聖の小さく突き出した胸の尖りが引っかかるときゅっと摘まれた。
「んッ」
「ね?すぐに触れちゃう」
彰吾がくすりと笑いながらもぞもぞと千聖の胸元を弄り始める。
「な、に…が…?」
「着物は手を突っ込みやすいって事」
「………今までも…女相手にこんな事してたんだ?」
「してないですよ!」
女の子相手にもこんな事してたのか、と上気しているであろう顔を誤魔化すように言えば彰吾が否定してきた。
「…本当かな」
「本当ですって」
くっくっと彰吾は笑って余裕そうだ。千聖なんてもう彰吾に煽られてばかりいるのに。
「ずるい…」
「何がです?」
「彰吾はかっこいいし、花火だし、…こんな事してくるし…んんっ」
くりくりと胸を弄られれば声が漏れる。
「…前はこんなになってるし?」
くすりと彰吾が笑みを浮べながら千聖の浴衣の下ですでに反応している前に触れた。下着をつけていないそこはもう先が濡れている。
「感じすぎ」
「だって!彰吾が悪いっ」
「悪くないですけど?感じすぎでいいに決まってるでしょ?」
勃ちあがったそこが布地に擦れればさらに感じてしまう。
「外…なのに…」
「見えませんから」
そう言って彰吾が楽しそうに笑みを漏らしながら千聖の前に膝まついた。
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