ウサギ
「俺、別れるつもりないですけど?」
獅王が少しキツい口調でそう言った。
「…え?」
雪兎が顔を上げると獅王は憮然とした顔で雪兎を見ていた。
「どうしてそんな事言うの?」
「だって!先の事なんか分からないだろ?」
「分からないからでしょう?雪兎さんはさっさと別れたいの?」
「違う!」
首をふるふると泣きそうな顔で何度も横に振る。
「先の事なんか分からないけど、分からないから続けられるのも可能でしょう?…俺…告白は突然だったかもですけど、雪兎さんの事好きだって落ち着くまでに随分悩んだんですから…。何ヶ月もずっと見てるだけで…男なのに?ってね。でもやっぱり好きで、目が離せなくて…話した事もなかったのにですよ?」
獅王がゆっくりと言葉を紡ぎ、それに雪兎は耳を静かに傾ける。
「簡単に告白したつもりないですから。…まさかすぐにOKしてもらえるなんて思ってもなくて今は浮かれてますけど。もし雪兎さんに断られても諦めるつもりなんてなかったし」
「……え?」
「男相手に冗談じゃないって言われるかと思って。でももしそう言われたにしても嫌いだと思われないなら諦めないつもりでしたから」
……そんなに…?
「そんな…どこが…?」
「ん?」
獅王が首を傾げた。
「その…どこが…?そんな、に…?だって…話もした事もなかった…」
「そうですけど。いつも雪兎さんがカウンターにいる時にわざと本を借りてました。ちょっとの声が聞きたくて。だから普段はどんな話し方するんだろうとか…ずっと妄想の世界でしたけど?」
「……本…わざと…忘れた?」
「あ!違います!そこはマジで…。ああ…でも雪兎さんに見惚れてて…かなぁ?」
獅王が照れたように笑いを漏らすとかぁっと顔が熱くなってくる。
「だって目元のホクロが色っぽいなぁとか…肌が白くて綺麗だな、とか、唇が柔らかそうだな、とか…」
「ちょ…っと…」
「…すみません。キモい?」
「………いや」
そんなに気に入ってくれてる顔ならいいけど…。
「でも…話して…違うだろ?」
「何が?」
「その…イメージが…?俺は自分で分からないけど…よく言われた…」
「誰に?って聞きたいとこですけど、そこは置いておきます。嫉妬しそうだから。…イメージは…まぁね。おとなしそうかなとは思ってたけど。清楚とかそんな感じ?でもエロウサギさんだったけど」
どん、と獅王の胸を叩くと獅王がくすくす笑いながら雪兎の耳にキスしてきた。
「言ったでしょ?知れば知るほど好きになってますけど?大人な感じに思ってたのに…可愛いとことか、エロいとこも、照れ隠しにぶっきらぼうな言い方になるとこも好きです」
「……変わってる」
「そうかなぁ?…そんな事位で好きがなくなるって事はないですけど?もっともっと知りたいっては思うけどね。もっとエロいとこも可愛いとこも見たいし、もっと知りたいって思うから…。寂しいなら甘えて欲しいって思うし…そりゃ年も下で俺なんか頼りにもならないと思うけど…」
「……そ、んな…事はない」
年の差なんてあまり感じなかった。自分の方から甘えてる…という気がする。甘えるというか、甘えさせてもらってる、だろうか?
こんな風に腕に包んでくれたりとか…寝る時もそうだ。獅王はずっと雪兎を捕まえてくれている。
このまま…ずっと…と望みたくなる位。
そんな夢みたいな事、と自嘲を浮べる。
「雪兎さん…ちゃんと言って?その…俺にやなとこあるなら直すし…」
「……それはない」
そう…獅王に対して嫌だな、合わないな、と思った事はなかった。
「ヤなとこ…ない?」
「……いまのとこ…ないな」
「そうなんだ?」
獅王がにいっと笑顔を見せ雪兎に何度もキスしてくる。
「あとは…?全部、まではいいけど、思ってる事ちゃんと言って欲しい。雪兎さん言葉飲み込むでしょ?呑み込んで我慢してたら絶対雪兎さんが嫌になってくると思う。だからちゃんと出して?別れる前程でいつも雪兎さんは考えてるみたいだけど、どうして?それに怖いって、寂しいって…今までは?…間空かないくらい次々…いたの?…彼氏」
「いない!…そんなには…」
それにだいたい部屋になんか入れてないんだから。
「そんなには…?」
「いや…その…部屋には…誰も…入れてないし…」
「え?」
獅王が目を丸くしていた。
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