ライオン
「ウサギは臆病ですからね。俺も焦らないようにしないと」
「そのわりに手が随分動き回ってるけど?」
「エロに関しては別」
言葉の応酬が楽しい。
「でも本当に…中途半端な気持ちと勢いだけで告ったんじゃないですよ?」
「ふぅん?」
雪兎さんは信じていないのか鼻を鳴らすだけで分かってもらえないのがもどかしい。
「んッ」
手を雪兎さんの身体をなぞり這わせると雪兎さんが小さく色っぽい声をあげる。
目元が上気して瞳は潤み、ホクロが獅王を誘っているみたいだ。
捕まえた側の獅王の方が雪兎に捕まっているんだ、と獅王はくすりと笑ってしまうと雪兎さんがむっとした顔をした。
「何笑ってるんだよ…」
「笑ってません」
「笑ってた」
子供みたいに言い張る雪兎さんが可愛い。
「エロ可愛いなんてずるいです。俺ばっかり夢中になってくみたい」
いくら好きと言っても雪兎さんから返事が返って来ない。焦るつもりはないけど、嫌われてないのも分かるけど、上辺だけで返されても嬉しくないけれど、いつかちゃんと雪兎さんからも言って欲しいと思うのは当然だよな?
でも軽くその言葉を紡がない雪兎さんはその分ちゃんと獅王の事を考えてくれているはず、と思う事にする。
白い肌に舌を這わせて首筋をなめていくと雪兎さんの身体が震える。
「敏感なカラダ…」
誰にでもこんな反応をしていたのだろうか…?
ちょっと嫉妬が絡んで平べったい胸の小さなささやかなピンク色の突起を強めに指で摘むとびくんと雪兎さんの体が過剰に反応する。
「こんな…の…初めて、だ」
「…え?」
雪兎さんが顔を真っ赤にしながら小さく訴えた。
「部屋に入れたのも、こんなにイイのも、…初めてだ」
「………そうなの?」
雪兎さんはふいと獅王の下で顔を横に背けた。
「…こんなにカッコイイ相手も…初めてだ」
あれ…?
褒めてくれてるのだろうか…?
「…俺、雪兎さんの好み?ね…雪兎さんの好みってどんな?」
「……背、高くて…すっぽり………言わない…」
途中まで言った後に雪兎さんは言葉を止めてしまった。
「え~?聞きたい。…少しは雪兎さんにいい、って思われてるとこあるのかな?」
今は少しでもいい。それが増えていくならいいのに…。
雪兎さんがじろりと獅王を睨んできたけれど、威力は獅王を煽るだけだという事に雪兎さんは気づいてないのだろうか?
目を潤ませて睨まれたってそんなの誘っているようにしか見えないのに。
カッコイイとか、背高くてすっぽり、の後は腕の中に抱きしめてって事だろうか?
部屋に入れるのも獅王が初めてでそうしたらここでの雪兎さんの寝室でセックスするのも獅王が初めてという事。
けっこう獅王は特別待遇だったのだろうか?流れでそうなっただけかもしれないけれど…。
だから外で、と何度か言ってた?部屋に一人でいると寂しいから…?
「雪兎さんを抱きしめるのも好き」
ぎゅっと雪兎さんの体を腕に抱きかかえるとそっと雪兎さんが解いていた細い腕を獅王の首に巻きつけてきて、雪兎さんの仄かに赤くなっている耳を食んだ。
「んんっ」
また小さく雪兎さんが声をあげる。
感じすぎるのも獅王だから…?
そうしたら…結構好かれてるのだろうか…?
いくら欲求不満だってカラダは正直だから…。獅王だってそれなりにセックスはした事があったけれど、こんなによくて夢中になるのは雪兎さんだけで、雪兎さんも同じ…?
…だったらいいのに…。
怖い、と言っていた臆病なウサギだから好きって簡単に言えないのだろうか…?
問いただすのは簡単かもしれないけれど、雪兎さんから言って欲しいからそこは聞かない事にする。
「雪兎さん…」
余裕のない声で、熱が孕んでる声になった。
そして深くキスを交わす。
舌を絡めて口腔を舐り、濃密なキスを繰り返す。嚥下しきれなくなった唾液が雪兎さんの口端を伝い、それでもキスを貪った。
まだ雪兎さんが今まで色々な事をどう言う風に乗り越えて来たのかは分からないけれど、この先はできるなら自分が隣で全部受け止めたいと思う。
まだガキなのは分かっているけれど…。それでも別れた後が怖いと言う雪兎さんを幸せにしてあげたいと思う気持ちは本当だ。
安心して雪兎さんが全部を委ねてくれるようになればいいのに…。
そう思いながらキスを繰り返した。
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