ウサギ
なんか頭が飽和しそうかも…。
雪兎は獅王に体重を預けながら頭を抱えた。
なんで獅王はこんなにあっけらかんとしているのだろう…?
初めは悩んだと言ってた位なのに…。
雪兎は今まで女の子に惹かれた事は一度もなくて気になるのはいつも同性だった。自分はおかしい、変だとずっと思っていた小学校時代。
そして中学校位では自分は異性を好きになれないのだと悟った。それを人に知られちゃいけないと必死に隠したのに。
高校になって同級生を好きになって…初めて付き合った。幼いながらもセックスだって親のいない時を見計らってしたりした。今とは違って純朴で純愛だったと思う。
大学になってからはそういった同性のお相手を探せる場所を知って店に行くようになった。そこだったら自分も普通だったから。でもいずれも公にすることもなかった。友達という存在もなかったし、雪兎が唯一大事にしたかった母親は雪兎がカミングアウトをする前に鬼籍に入ってしまった。
隠れるようにこっそりと生きてきた雪兎にとって獅王の存在はどれもが予定外な気がしてきた。
身近な仕事場で告白され、自分の部屋のわざわざ雪兎自ら招きいれ、かっこよすぎで人の目を引く獅王が自分なんかを好きだと何回も言ってくれる。
…いったい自分なんかのどこが好きなんだろう?
色々可愛いとか言われても信用ならない気がする。
言葉遊び、もしくは社交辞令で好きとか言いながらセックスはしてたけど、獅王とはそうじゃないからそんな軽々しく好きだなんて口にできなくているのに…。
「雪兎さん…」
寄りかかっていた獅王をじっと上目遣いで観察するように見ていたら獅王が顔を近づけてきて軽くキスしてきた。
「……誘ってるの?」
「ち、ちがう!」
何をどうしたらそんな事になるのか!
「…なんだ…違うの?そんな潤んだ目でじっと見てるから…」
獅王が勘違いしたと思ったのか言い訳のようにして頭をかいている。
雪兎が髪を下ろした方がいいと言ってから獅王はずっと髪を下ろしている。ライオンの鬣の様に今はたててはいない。
「雪兎さん…好きです…」
今日も明日もと獅王が言った確認のためにだろうか…?獅王は言葉を口にしてそしてまたキスした。
「…濃厚キスはしませんよ?スイッチ入ったらまずいしね」
「昨日…あんなにしたのに…」
まだスイッチ入るのか…?
「いつでも雪兎さんが傍にいたらスイッチ入っちゃいますもん」
「ケダモノ…」
「ライオンですから」
しれっと獅王が答える。
「今日はしないですよ?さすがにね。雪兎さんが明日動けなくなっちゃうから。今日はただ抱きしめて寝るだけにします。…いい?」
……今日も泊まっていい?と聞いてるって事だろうか?
「………家に帰れば?親御さん心配するんじゃないか?」
「しませんよ!雪兎さんが寂しいって思わないように、ね。別にセックスだけがしたいわけじゃなくて雪兎さんと一緒にいたいんです」
「……」
いい、ともダメとも言えなくて雪兎は黙ってしまう。
「それにほら、雪兎さん動くの辛そうだし。そうさせちゃった責任とらないとね」
そうだ、動くのがだるいのは獅王のせいだ。だから。雪兎が動けないから……と雪兎は獅王が泊まる事に大義名分を与えて自分にも納得させる。
「俺は動かないぞ?」
「いいですよ?俺が全部してあげますから」
獅王が嬉しそうにぎゅっと雪兎を抱きしめた。
雪兎からお泊りOKが出たのを獅王もちゃんと分かっているが、獅王はわざわざそれを口で再確認はしない。
そんな所も雪兎にとっては助かるんだ。
自分から言ったんじゃない、そんなつもりじゃない、という言い訳が出来るから。
自分でも卑怯だと思う。でも雪兎にはそれが必要だった。自分から望んだんじゃないという言い訳が。
全部自分の保身のためだけにだ…。
獅王の顔が見られなくて雪兎は顔を俯けた。
そんな雪兎をそっと獅王が肩を抱いてくれる。
「俺…焦らないから…雪兎さんがちゃんと納得して信じてくれるまで。でも…なるべく早くに認めてもらえると嬉しいですけど…」
雪兎は自分に都合よすぎな事をしているのは分かっているけれど、やっぱり面と向かって獅王には何も言えないのだ。
それでも獅王はちゃんと言葉をくれるし雪兎の望んでいる事を察知してくれる。
甘えてる…。
とても7つも下だなんて思えない位に…。
※昨日通帳記帳してきましたが午後イチだったので^^;それ以降の方すみませんがお返事遅れます(><)
水曜日か木曜日に体調がよければ行きます~^^;もう少々お待ち下さい(><)すみません…
たくさんのポチいつもありがとうございますm(__)m
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