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ライオンとウサギ 63

ライオン

 雪兎さんに拒絶されるんじゃ、と一瞬思ってしまったけど杞憂だったらしい。
 ほっとして獅王はそのまま家を出た。
 一駅しか離れていなくて近くでよかった。
 時間さえ早く出れば出勤前の雪兎さんに会う事が出来る。

 腕に抱いてキスしよう。昨日は出来なかった分。
 声に張りがなくて頭痛がすると言ってたのが気になるけど、きっと二日酔いなのだろう。
 どことなく違和感を覚えながら自分のいいように解釈する。
 来た電車に乗り、またすぐに降りて走りながら雪兎さんの部屋に向かった。
 少し上がった息を整えてからインターホンを押すとすぐに雪兎さんが玄関を開けてくれた。

 「おは、よ…わ!…本当に顔色悪い…大丈夫?」
 雪兎さんは青白い顔をしていた。
 「ああ…」
 小さく頷いているけれど全然見た目が大丈夫そうじゃない。
 玄関を閉めてそっと雪兎さんの頬に手で触れた。

 丸一日ぶりの雪兎さんだ。
 そのまま雪兎さんを腕に抱きしめると雪兎さんもおとなしくされるがままになっている。
 「好き。…あ、昨日の分ね。今日の分はまた夜に。でも顔色悪いな…心配」
 「…大丈夫だ」
 少しだけ雪兎さんの声が明るくなる。そしてそっと雪兎さんが獅王の胸の辺りをぎゅっと握ってきて獅王は愛おしさが増した。

 寂しいと思っていてくれたのだろうか…?
 「雪兎さん…」
 顔を近づけキスすると雪兎さんから舌をつき出して来てその舌を捕え絡ませる。
 ちゅくちゅくと朝から濃密なキスを繰り返すと雪兎さんの白かった顔色に仄かに紅がさしてくる。
 可愛いなと思いながらもキスが止まらなくて角度を変えながら何度もキスを交わした。

 「ん…時間が…」
 「……ですよね…。足りないなぁ…」
 獅王はまだ少し時間があるけれど、雪兎さんは出なくてはいけない時間が迫っている。
 慌てて部屋に入り今日使う物を自分の鞄につめた。
 キスも応えてくれるし雪兎さんからもキスの最中に手を背に回されたし、なんだけど、なんとなく雪兎さんの様子が変な感じだ。

 「雪兎さん…何かあった?」
 「え?…いや?別にないけど?」
 「…そう?今日は仕事無理しないようにしてね。具合悪かったらちゃんと言って早退しちゃってくださいよ?あとしんどいようだったらメールでも下さい。迎えに行きますから」

 「…大丈夫だ。…今日バイトは?」
 「……ある」
 「…じゃあ帰りに寄るよ」
 「はい」

 いつもと変わりない…よな…?
 それなのにどこか雪兎さんが儚げに見えるのはどうしてなんだろう?
 気になって仕方ないけれど今は本当に時間がなくて結局そのまま雪兎さんと部屋を出た。
 部屋を出る前に短くちょんとキスするのは忘れないけど。

 もっと一緒にいる時間が多ければ色々雪兎さんを突き詰めて問えるのに時間が許してくれない。
 駅に一緒に歩きながら雪兎さんの顔色も窺う。まだ少し白い。
 「あ、そうだ…シフト決めるんだけど…どこか土日休みとれるけど…?」
 雪兎さんからの言葉に獅王は飛び上がりそうになった。

 「本当に!?やった!デートしましょう!車出してもいいし」
 「…車…持ってるのか?」
 「免許は持ってるけどさすがに自分の車は持ってないですよ。けど、親父のか姉貴の借りてもいいしね。姉貴は二台持ってるから」
 「……ドライブとか…いいな。した事ない」

 「マジで?じゃそうしましょ!」
 雪兎さんがちょっと嬉しそうにしててやった!と内心喜ぶ。
 「じゃあどこか休みにする。獅王の予定は?」
 「今月は予定入ってるけど来月だったら大丈夫かな」
 「分かった」
 こくりと雪兎さんが満更でもなさそうに頷いてよっしゃ、と獅王は嬉しくなった。

 どこか不安そうに見えたけれど雪兎さんから休みを作ってくれるということは獅王と休みを過ごしてもいいって事だろう。
 「休み決まったらどこ行くか予定きめましょうね!」
 「…ん」
 免許取っててよかった!と獅王はガッツポーズしたい気持ちを抑えた。ここの所ずっと運転はしていなかったけれど、雪兎さんとこうなる前は暇だったので一人でドライブなんかもしていたのだが、ペーパーじゃなくてよかった、とテンションが上がりそうだ。
 


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