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ライオンとウサギ 79

ライオン

 獅王のキーホルダーに鍵が増えた。勿論雪兎さんのマンションの分だ。
 そしてそれ以降自宅に戻る時は荷物を取りにいく時だけ。反対に雪兎さんの部屋の余っていた部屋に獅王の荷物が増えていった。

 気分は新婚薔薇色な感じで林には呆れられている。
 噂は相変わらず相手は沙羅になっているけど、大っぴらにそれを否定はしない。
 本当は獅王的には否定してもいいんだけど、雪兎さんの事を考えて、だ。
 真相を細かく知ってるのは林だけだ。
 勿論林は彼氏が出来たからといって態度が変わる事はない。

 「そんなにメロメロになるとは思わなかった…」
 ただそう呆れているだけだ。
 自分でもバカみたいに浮かれている自信はあるので言い返さない。
 
 カフェのバイトを辞め、本格的にモデルのバイトに入ったが、基本は姉の会社とだけの契約なので時間的にも難しい事もなく融通がきくのがいい。
 その姉に日曜に車貸して、というのと、雪兎さんを紹介するから、とは言ってあった。家にも。
 
 その日が近づくにつれ雪兎さんは緊張しているらしい。
 きっと色々マイナスな方に考えているんだろうな、と思いつつも放っておく。いくら口で言っても信じられないだろうし会ったほうが手っ取り早い。

 そしていよいよ明日ともなれば仕事も落ち着かなかったみたいだが、帰って来てからがまた大変だ。ずっと用もないのにうろうろしている。
 土曜に講義を入れてない獅王は休みで駅まで迎えにいって一緒に帰ってきたんだけど、途中飯でもと思ったが落ち着かなくてダメらしく、結局帰って来て獅王が簡単にパスタを用意していたのだがその間も雪兎さんは落ち着かなくて部屋を行ったりきたりしていた。

 「なぁ…本当に大丈夫かな…」
 そわそわと雪兎さんは本当に落ち着かなくて、それを宥めるようにキスする。
 「ああもう…よほど俺の事信用ならないみたいですね」
 じとりと雪兎さんを睨めばそういうわけじゃないけど…と首を竦める。

 荷物を取りに自宅に戻った時に簡単に雪兎さんの事情は母親に話しておいた。だから優しくしてやって?とは言ってたけど、その家族と縁遠い雪兎さんの境遇は母親の同情をおおいに刺激してしまったらしく、かなり会う前から好意的だ、というのはまだ雪兎さんには内緒だ。

 そして母親に話しておけば、自然に家族全員に話は通じていてすっかり雪兎さんは悲劇のヒロインみたいな扱いになってる、なんて思ってもいないだろう。
 ましてきっと雪兎さんの実物をみたらさらにきっと気に入られるに決まってる。

 なにしろ雪兎さんは純粋な日本人形みたいな容姿だ。
 黒い濡れた髪に黒い瞳。細い体にしとやかそうに見えるから。
 外国人の血が入ってるウチの人達にはきっと憧れの存在みたいに思うはず。
 本当にこんな人絶対いない、と獅王は思ってしまうのに雪兎さんはおろおろしている。

 「お菓子もいいかな?甘いの好きって言ってたよな?」
 「はい、皆好きですよぉ。外国のあっまーたるいのでも平気な人達ですからね」
 落ち着かない雪兎さんも可愛いのでそのままにしておく。
 「楽しみですねぇ」
 「…全然!胃が痛くなりそう…」

 大丈夫なのに、とぷっとふきだしてしまうと雪兎さんがむっとする。
 表情もかなりあけすけになってきたな…と獅王は笑みを浮べる。
 「はい、できましたからご飯にしましょう」
 「……ん…、あ、ごめん…全然手伝ってない」
 「いいですよ。落ち着かないの分かってますから」
 可愛いなぁ…と思ってしまう。七つも上なのに全然そうは見えない。

 それに結構不器用で一途だ。
 料理なんかも一つの事に夢中だし、司書の仕事も小学校の時に決めたらしい。
 色々な雪兎さんを見る度に可愛いと好きが増えていく。
 「なぁ?何着ていこう?スーツ?」
 「あのね!そのあとデートなんだからスーツはダメ。普段着でいいです!普段着で!それとも俺を下さいの挨拶だったらスーツでもいいですけど」
 「……」

 そんなのできないと雪兎さんがふるふると頭を横に振っているのを見ればウサギが耳を垂れてプルプルしてるみたいに見えてやっぱり可愛い。
 臆病ウサギさんだから仕方ないな…と獅王はくすりと笑ってしまった。
 

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