ライオン
「おい、いい加減にしろよ」
獅王はしなだれかかるクライヴに辟易する。
コンパに来たはいいけれど、酒を浴びるように呷り、ぐでぐでになっている金髪の又従兄弟に獅王は溜息しか出ない。
こいつがいなければ雪兎さんの所にいけるし、キス出来るし抱けるのに…。
もう何日も雪兎さんの肌に触れていない。
まさか浮気なんかしないよね?
…すぐにスイッチが入るとエロくなっちゃう雪兎さんを思い出して顔がにやけそうになるが我慢する。
どうにも日中にキスしてしまってかえって我慢できなくなってしまってる気がする。
会わなくなってもう少しで二週間位か…?一ヶ月と言ってたんだがらあともう半分位我慢すればこいつは何事もなく帰っていくはずなのだが…。その残りが途轍もなく長く感じてしまう。
何か引っかかっているのかクライヴが執拗に獅王の彼女の存在を探ろうとしているのが大学内でも分かった。獅王に聞かれても勿論雪兎さんの存在をクライヴに教えるつもりもないし、雪兎さんの存在は周りには知られていない。朝とか一緒にいる所を見られている事はあるかもしれないが今まで雪兎さんとの事はまさかそんな関係だとは思われていないらしく何も噂は出ていなかった。
もし出ていれば必ず確認に来る女子がいるのに雪兎さんに限っては聞かれた事もない。
…バレてもいいと思っている獅王にとってはちょっと複雑な気もするのだが…。
クライヴが来て早々にどうなってるの?クライヴとの仲を確認に本当に何人かから確認されたが勿論それには事実を教えた。
何もない。親戚だ、と。
外人顔の獅王が親戚と言えばなるほどとすんなり納得され、獅王も迷惑なんだけどね…と困った様に言えばすっかり信じられ、あっという間にクライヴとの事も知れたというのに。
雪兎さんとは…そういう雰囲気に見えないのかな?と恋人としてやはり年下だしと自信がなくなってきそうになる。
それでも雪兎さんも今日は職場でキスも拒まない位に獅王に飢えていたという事だよな…とまた思い出せばどうしても顔がにやけてしまう。
その顔にクライヴが怪訝にして見ていたのには気付いていたのだが、どうしても雪兎さんを思い出してしまうと獅王の顔は締りがなくなってしまうのだ。
だがクライヴが誰かに獅王の彼女の存在を聞いても噂に出てくるのは勿論ポルシェの女の存在で、それが姉だと知っているクライヴは違う!と癇癪を起こしそうな勢いだった。
まぁ、クライヴにバレないならとりあえず安心ではあるけれど。
それにしてもちらっと見た雪兎さんからのメールが気になって仕方がない。
高校の時の同級生と飲みに行くって…。
そんな事今までなかったのに。
ただの同級生だろうか?雪兎さんが一番初めに付き合ったのが確か同級生なはず。そしてきっとその相手が雪兎さんをあんなに臆病ウサギに変えてしまった元凶。
…その相手じゃないだろうな?…とどうにも獅王は落ち着かない。クライヴがいないならついていくのに!
…いや、ただ本当に友達で飲みにいくだけならそんな事しないけど…。でも気になるじゃないか!
もし酔っ払っちゃって雪兎さんが今のクライヴの様にしなだれかかってきたらノーマルな男だってくらっときてしまうに違いない。
なんといったって雪兎さんは色気がハンパないし、それが酔っ払っちゃリしたらホクロまで仄赤く染めて目潤ませて…。
ああ、ダメだと獅王は頭を振る。
考えただけでも誘われてると思えてきてしまいそうだ。
……………勝手に妄想してるだけだが。
でも雪兎さんはお酒にもそんなに強くないし、ちょっと飲んだだけでも顔が赤くなるし。
ああ…やっぱり心配だ。
「レオ!飲まないの?真面目か!?」
「飲んでも別に酔わないからね。意味ないんだよな」
「え~レオってお酒強いんだぁ?私はちょっと飲んだだけなんだけど酔っちゃったかな…」
「女!レオに近づくな!」
酔った…ふりだろうとは思うが、女子が獅王の隣にぐいと体を押し付けるようにして座ってきたと思ったら反対側にいたクライヴが顔を突き出し人差し指でその女の子を指差しながら注意する。
「レオは俺のだ」
「……お前のじゃねぇし」
クライヴにはうんざりするが女子避けには丁度いい。コンパに行けば自分が甘いケーキになったような気分だ。ハンターよろしく目を輝かせる女子の目が怖いが、今日は皮肉だが牽制役がいるからまだましだ。
…だからコンパなど出たくなかったのに。
そんな事より雪兎さんの方が気になって仕方ない。
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