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ライオンとウサギ 101

ライオン

 「雪兎さん!」
 電車の中でも獅王の手はずっと雪兎の体を離さず雪兎さんは仕方なくかどうか知らないけれど酔ったふりをして獅王にもたれかかっていた。

 今すぐキスして貪りたい。
 仄かに雪兎さんの肌は上気してるし、目も潤んでいる。獅王を見て誘うように口元がエロく見えてしまう。
 本当に何もされなかっただろうな、と確認を何度もしたくなったけれど、さすがにそれは…と自分を押し留めたのは上出来だ。

 まだ時間は早いし雪兎さんの仕事の終わる時間を考えればそんなに時間が経ってもおらず、あの出てきた店にしか行ってないだろう事は分かるし、雪兎さんの顔を見れば酔っていないのも分かるからグラス一杯の酒も口にしていないはず。
 分かっているのにあの男の雪兎さんを見る目や態度が気になって確かめたくなってしまうのだ。

 いくらか電車の中で雪兎さんがすぐ傍にいて、しかも同級生の男とも離れた事で獅王の心も落ち着いてくきて、さらに雪兎さんが照れくさそうにしながらも嬉しそうにして顔を俯け獅王に凭れている姿を目にすれば獅王は安堵した。
 仄かに上気している顔は酒の所為じゃない…。
 今度はずくりと下半身に直撃するような雪兎さんの態度に獅王は呻きたくなった。

 …なんでこんなに我慢が効かないんだろう…。
 雪兎さんの唇に視線が吸い寄せられて今すぐ塞いでしまいたい衝動を抑える。
 お願いだから雪兎さん黙っててね、と心の中で獅王は雪兎さんに頼む。今ここで獅王、なんてその唇が呼んだならば絶対にキスしてしまう。

 電車に乗っている時間がやけに長く感じられながらもやっと雪兎さんの利用する駅に到着。
 何も言葉も発せず獅王は雪兎さんの体をまるで抱きかかえるようにしながら電車を降り、マンションへと急いだ。
 雪兎さんも何も言わずに獅王のされるがままにしている。雪兎さんも同じように思ってくれている、と思っていいのだろうか…?

 足早に帰路を急ぎ雪兎さんも何も言わないで獅王にしがみつくようにしている。
 夜の街灯の下でも雪兎さんの白い肌と色っぽい目元が獅王を煽っているようだ。
 そんなの勝手に獅王が思っているだけだけど!
 誰にもこんな風にこんなに欲しいとも焦ることもないかったのに、雪兎さんにだけは我慢も利かないし自分がおかしくなってしまう。

 自分が望んでた事ではないとはいえ、獅王の都合で雪兎さんから離れていたのに理不尽に雪兎さんに当たってしまいたくなる位に。
 「雪兎さん…雪兎さん…」
 雪兎さんの部屋の前に着くと獅王はジーンズにつけていたキーチェーンを手に慌てるようにがちゃがちゃと雪兎さんの部屋の鍵を開け中に入った途端に雪兎さんの体をかき抱いた。

 「獅王…」
 雪兎さんからも熱い吐息と一緒に声が漏れればもう我慢は限界だった。
 何を言うよりもすぐに雪兎さんの口を塞ぎ、すぐに口腔に舌をねじ込むと雪兎さんを味わう。
 「んん…っ」
 雪兎さんも甘い吐息が漏れ、そして雪兎さんからも積極的に獅王の舌を捕えてくる。

 すでにジーンズの中でもう前が窮屈だと主張し始め、どれだけ飢えていたんだと思いながら前を雪兎さんに擦りつければ雪兎さんも声を喘がせながら腰を揺らし始める。
 「…雪兎さんももう勃ってる」
 「だ、って…っ!」
 かっと雪兎さんが顔を赤くしてるのが可愛い。

 もう一度キスしながら雪兎さんのコートを脱がし、スーツにも手をかけていく。上着をとり、ネクタイに手をかけながら靴を脱ぎ、寝室に行くまでに雪兎さんを剥き、自分も着ている物を脱ぎ捨てていく。
 「しお…」
 帰ってきても電気のついていない寒い部屋に毎日雪兎さんは独りだったんだ…。
 「雪兎さん…」

 寂しいと…ちょっといないだけでも寂しがるウサギさんは何も言わないで獅王を信じて待ってくれていたんだ。
 「雪兎さん…好き…前よりもずっと」
 「ん…おれ、も…獅王…いいから…早く」
 あちこち中途半端に脱がせてだらしなく着崩れていた雪兎さんを抱き上げて獅王はさっさと寝室に向かう。
 寝室まで向かえる余裕を自分で褒めたい位に切羽詰っていた。

 足りない…早く、雪兎さんの潤んだ目が獅王を見てそう訴えている。
 「雪兎さん…雪兎さん」
 何もいえなくてひたすら名を呼びそしてキスを深く交わしながらベッドに横たえた雪兎さんの残りの服を剥いでいった。


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