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ライオンとウサギ 102

ウサギ

 獅王の手がもどかしそうに雪兎の服を剥ぎ取っていく。そして雪兎も獅王の服を取っていった。
 肌が冷えた部屋に晒され少し肌寒く思えたがもう体は熱い。

 獅王が部屋にいる。
 それだけでも温かく思えるのだからどれだけ一人が寂しかったのか…。獅王の存在が出来るまではずっと一人だったのに…。でも獅王を信じられたから耐える事もできた。そしてこんなに獅王が雪兎を求めているのが分かる。
 あんな綺麗な従兄弟だとは思ってもみなかったのに、それでも獅王は雪兎を選んでくれて欲してくれている。

 「獅王…」
 好きだと満たされた心が訴え、そして溢れそうだ。
 雪兎からもキスを繰り返し、獅王が雪兎に覆いかぶさってくるとお互いを貪るように求めた。
 ずっと雪兎の心を占めていた過去の傷が獅王の存在によって氷解していたのがよく分かった。ずっと言葉と態度で雪兎を待ってくれて与えてくれていたのだ。臆病になって怖がって前へ進む事が出来なかった雪兎を獅王は変えてくれたんだ。

 言いたい事、伝えたい事がいっぱいあるのに…。
 深く絡まる舌に唾液が口端を伝って零れる。
 「んんっ」
 獅王の手が雪兎の肌を確かめるように動き、這う。
 雪兎も獅王の細いくせに綺麗に筋肉のついた身体を手で撫でた。

 「やべ…」
 獅王が口を離し、雪兎の口端をぺろりと舐めながらも屹立した互いの前を擦り合わせ腰を揺らしている。すでに感じやすいそこはもうとろりと透明な露を零しぬるぬるとして互いのモノはもう感じて快感を訴えているのだ。
 「でそ…うなんだけど?」
 「んっ」
 獅王が小さく雪兎の耳に囁き、雪兎も頷いた。

 「一回出しちゃっていい?そのほうが雪兎さんにも無理かからないかな…」
 獅王はまだ気遣う余裕があったらしく、それが悔しい。
 「なんでもいい」
 いいから早く。
 雪兎も自分から腰を押し付ければ獅王が手で雪兎と獅王のものを一緒に擦りながら腰を揺らし始めた。

 「あ、ぁ…んっ」
 「雪兎さんっ…」
 獅王の切羽詰った声に雪兎は舌を絡めながら快感を追った。余裕がある、と思ったけれど…そうでもない…?
 「獅王…獅王…」
 名を繰り返し、キスを繰り返しながらすぐに二人とも達してしまう。
 荒い息を繰り返しながらキスも繰り返しそして額を合わせながら獅王と笑った。

 「余裕なさすぎ」
 獅王が苦笑を漏らすが雪兎だって同様だ。
 「獅王はまだ若いからいいけど…俺なんてもう30の方近いのに…」
 「仕方ないです。雪兎さんはエロウサギさんだもん。放置しててごめんね…てっ!」
 ぺちっと獅王の額を雪兎が軽く叩くと獅王がまた笑った。
 獅王がいると心が満たされる。あんなに寂しいとか足りなかった思いが満たされてくる。

 「獅王…」
 息を整えながら獅王の首に腕を回しキスを繰り返していると獅王の手が今出したばかりの二人分の白濁を指に絡めて雪兎の後ろに向けられた。
 「んんッ」
 「早く雪兎さんの中に入りたい」
 「ん…っ」
 雪兎だって…今のでも勿論気持ちいいけれどもっと獅王を感じたい。

 「あ…ちょっと期間空いちゃったから…後ろキツくなってる…?」
 「ばかっ…あ、あぁっ」
 「雪兎さん自分でしなかった?自分で出す時後ろも弄るの?」
 「し、ない…っ」
 「嘘…だって足りないでしょ?」
 獅王がキスを繰り返し、首筋や鎖骨ににもキスを繰り返しながら声を囁き息が雪兎の肌に甘い刺激を加える。

 「雪兎さん…足りなかった…結局我慢なんて…二週間だけか…」
 「俺は…ちゃんと我慢できてたっ」
 「え?そう…?雪兎さんつれないなぁ…俺なんかイライラして…キスしたくて触りたくて傍にいたくて電話なんかじゃ全然足りなかったのに」
 「…それは…そう…だけど…」
 勿論雪兎だってそうだった。

 「寂しい思いさせちゃってて浮気されちゃったらどうしようかって思った…」
 「獅王っ!」
 そんなに信用されてなかったのか!?
 「だって雪兎さん一番初めに言ったでしょ?ウサギだから寂しいのもダメだって」
 「……言ったか?」

 「言いましたよ!もう俺気が気じゃなかった。今日だって友達と飲み行くとかメール入っててやばいって!…あの怒んないでね。信じてないんじゃなくて勝手に俺が一人でやきもきしてるだけですから」
 …なんだ…獅王だって余裕があるわけじゃないのか。
 「バカ…!寂しかったけど…電話も言葉も貰ってたし…それに俺はもう…獅王だけしかいらない…」
 「雪兎さん…っ」
 獅王が嬉しそうに何度もキスを繰り返した。

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