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ライオンとウサギ 106

ウサギ

 「でもすっきりしたんだ…」
 「それはよかったですけど」
 風呂場に連れて行かれて甲斐甲斐しく獅王が雪兎の体の外も中も綺麗に流して湯船で雪兎の体を抱きしめている。
 「俺はすっきりしたんだけど…獅王は?あそこにいたのが例の親戚の子だろう?…大丈夫なのか…?」

 「…どうでしょう?でも絶対雪兎さんには迷惑かけないようにしますから」
 「………もう別にどうでもいい。迷惑とかそういうので離れてるよりも一人を我慢するのと…俺じゃない子が獅王にくっ付いてるの…が…いやだ」
 「雪兎さんっ」
 ぐっと獅王の雪兎の体を後ろから抱きしめる腕に力が入った。

 「……綺麗な子だったけど…?」
 「え?そう?ああ…そうかな?見た目はね!でも雪兎さんの方が美人さんですよ?可愛いし。エロいし」
 「…エロいはどうか知らないだろ?……した事あるのか?」
 「ないです!怖い事言わないで!雪兎さん以外は男は無理ですってば!」
 「…じゃあオンナだったらいいんだ?」

 「そういうことじゃなくて!もうっ…今は欲しいのは雪兎さんだけだっててば!」
 わざとそんな事を言ってみれば獅王が慌てている。誤魔化すように後ろから項や首筋にキスを繰り返しているのがおかしい。

 こんなに…獅王がいるだけで心が温かくなる。部屋も昨日までは寒々と感じたのに今日は獅王がいるから全然そう感じないし寂しくもない。
 「……明日も…帰ってくる?」
 「勿論。雪兎さんの帰り部屋で待ってますね!電気つけて温かい部屋にしときますから」
 「……ん」

 帰ってきた時の暗い部屋と寒い部屋を獅王も分かってくれたのだろうか…?今まで雪兎はそれが普通だったのにすっかり獅王が住まうようになって変わってしまった事を。
 「さびしんぼウサギさんですからね。寂しくて他の男の所にふらふらとついていくし」
 「ついていってない!」
 むっとして言い返す。

 「それを言ったらお前だって他のヤツを腕にいっつもぶら下げてるって!」
 「え…?」
 獅王が驚いた声を出した。
 「なんで?」
 「女の子達が言ってた!金髪の綺麗なこがいっつも獅王の腕にくっついてるって!俺だってそんなの聞いて面白くなかったし!」

 「……」
 獅王が静かになってん?と雪兎が後ろを振り返ると獅王が嬉しそうに口元を歪めていた。
 「嫉妬してくれるんだ?」
 「当たり前だろう!獅王は俺のだって言ったじゃないか!」
 「いえ…そうですけど…俺だけじゃないんだ?嫉妬すんの…」
 だから!普通…だよな…?

 「普通しないのか?…ああ…そういえば…あんまりした事ないかも…」
 いつでも雪兎は諦めている側だったから、他に好きな女が出来たと別れた男にだってあ、っそうで、終わっていたはず…。
 「…あれ…?」
 自分でもわけが分からなくなって雪兎は考え込んだ。
 「雪兎さん?」

 「…うん…なんか…やっぱり……獅王だけ…特別、かも…?」
 「…え?」
 「どうしてだろう…?」

 今まで誰に対しても自分の気持ちとか欲求とか素直に出せていなかったんだ。自分から諦めて自分を出していなかった。市原には一応好きとは言った事があったけどそれを返してもらってなくて、それでフェードアウトされそのあと大学の時にちょっと付き合った相手は好きだと言われたけど雪兎が返せなくて…。遊びの相手には軽く言った事もあったけど遊びだったから普通に通り過ぎて…ちゃんとした気持ちの確認というのは獅王が初めてなのか…。
 臆病になっていた雪兎を獅王が待ってくれたから…。

 だから雪兎の傷がいつの間にか癒えて市原に会っても普通でいられたし、獅王が欲しいと、いないと寂しい、と自分が出せる…?
 獅王はちゃんと雪兎を見て言ってくれて受け止めてくれて出してくれるから…?
 どうして…といえばやはり家族にまで雪兎を紹介してくれた、というのが獅王を信頼することに繋がっていたのか…?

 だって雪兎はもう家族はいないと言っていい位なのに、獅王の家族は雪兎を見ても嫌悪感もなく雪兎を見てくれたから…?
 家族という存在に縁薄い雪兎には獅王の家族を憧れる部分があるのかもしれない。放任で個人主義だと獅王は言うけれど、根底に獅王を信じている家族がいるから…だから獅王は真っ直ぐなのだ。

 雪兎に足りない部分を獅王が全部埋めてくれる…きっとそんな風に思っているのかもしれない…。


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