ライオン
気が焦る中やっとクラブに着いて林に電話した。
「レオ!」
音が激しく鳴っている中、林と合流する。
「雪兎さんは!?クライヴもいるって?」
「ああ。いたんだけど…今連れて来た女の子が見ててくれてる」
入り口まで来た林と話をしながら中に入った。
まだ雪兎さんとは会えてはいないけれど近くにいるらしい事にほっと安堵した。
「ちょっと!林くん!彼達やばいかも!」
林の連れらしい女の子の所まで行くと女の子が慌てた様子を見せていた。
「ちょっ…何か!?」
獅王も慌てて女の子の肩を掴んだ。
「うあ…何?すっごいいい男…かっこいい!外人?」
女の子が目を大きく見開いて獅王を見ていたがそんな事より雪兎さんだ。
「やばいって何が!?」
切羽詰った獅王の声に女の子もはっとした。
「さっきまであそこらへんにいたんだけど…金髪の子が酔ったか具合悪くしたみたいで黒髪の人が付き添うようにした手を振り払って問題ある奴等の方にトイレつれていかれたよ」
「トイレだな!」
すぐに行こうとした獅王に女の子が獅王の服を掴んできた。
「あいつら最近ここから外に連れ出して…ドラッグとか吸わせてからヤってポイとからしいって。女の子とか綺麗系の男の子もって…ここ辺りに出入りしてる子は皆警戒するようになってきてたんだけど。奴等の中のお父さんがどっかの金持ちだとか、ヤクザと繋がってるとか、なんか色々噂あるみたい」
「…ありがとう」
女の子はここいらに詳しい子だったらしく獅王は礼を言う。
「俺も行く」
獅王と一緒に林もついてきてくれた。
「女の子はいいのか?」
「あ?いいよ別に」
「悪いな」
「ラサ-ルイの服で手を打つ」
「姉貴に言っとく」
やり!と林が指を鳴らして喜んでいるが獅王はフロアに溢れる人の間を縫って男子トイレに向かった。移動の間も声をかけられるがそこは無視。そんなどこじゃない。
「お前本当にあの人好きなんだな?そんな必死な顔初めて見た!」
林に言われて獅王は苦笑が出た。
確かに…クライヴだけだったらこんなに焦らないだろう。心配はしてもこんなに切羽詰った感じは覚えないはずだ。それが雪兎さんが一緒だというだけで色々最悪の事とかまで考えてしまう。
でも何があったとしても雪兎さんは離さない。散々雪兎さんを見てるだけだったときに悩む事は終わってるんだ。男なのにとか過去とかそういう事も全部手に入った瞬間からどうでもいいことになってしまっていた。全部…雪兎さんの今と今から先を全部自分だけが独占したいんだ。
「そうだな」
広いフロアの人の波間を縫いやっとトイレに駆け込んだ。
「雪兎さん!?クライヴ!いるか!?」
個室にでも入れられてはないかと声を出す。
だがそこには本当にトイレに用事がある人しかいないらしく便器から獅王の方を驚いたように見る顔しかなかった。
個室も全部ドアは開いていた。
「いない!?」
「ちょっと…もしかして金髪の外人の子探してる?」
手を洗っていたピアスをいっぱい開けた奴が声をかけてきた。
「知ってるのか!?黒髪のスーツの人もいたか?」
「いたよ。なんか金髪の子が具合悪そうにしてて黒髪の人が介抱してやってたみたいだけど、連れの奴等とちょっと前に出て行った。…けど奴等評判よくねぇから…」
「サンクス!」
出て行った!?どうやらほんの少し前の事らしいが…一歩遅かったらしい。
獅王はもう一度フロアに戻り横切って出入り口に向かった。
「林くん!」
林の連れの女の子が獅王と林の姿を見つけて携帯を手に追いかけてきた。
「すぐ近くのホテル入っていったって!」
「!」
「やばいよ!」
「どこの!?」
女の子はツイッターかLINEかでやり取りしていたらしい。携帯を見ながらだ。
「悪い!警察電話して!危ないかもって言えばさすがに警察も来るだろう!そのホテルの場所は!?分かる!?」
「ここの裏のお洒落な外観のラブホ」
獅王はもう一度ありがとうと警察!と叫んで外に出て、続いて林も追いかけてきた。
「部屋は!?教えて貰えるのか?」
「しらねぇ!」
けど、警察が来るまでただじっと待ってはいられない!
裏まで人にぶつかり謝りながら走っていけば周りがどうした!?という目で見てくる。
そんな事どうでもいい。雪兎さんが無事なら…!
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