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太陽と月の欠片 答え6

 リスク。
 杉浦は何度もリスクと言った。
 どういう事だろう?
 きっかけは去年。
 決定はいつの間にか。
 それはまるきり大海も同じ…?
 という事は答えも一緒…?
 大海は杉浦が好きだ。杉浦も…?
 まさか、と大海はふっと笑う。
 でもリスクってなんだ?
 答えは違うのか?
 
 
 大海の頭がぐるぐるする。
 ベッドで横になって寝ようとしても考えるのは杉浦の事だ。
 今頃もう杉浦は寝ただろうか?
 メールしてみようか?
 でも携帯の字も見づらいらしい。
 字をかなり大きく拡大するんだと言っていた。
 いつだかプリントを持って職員室に行った時もプリントの字が小さすぎて見えなくて拡大してもらいに行ったらしい。
 それを考えると何も用事もないのに…と思ってしまう。
 その時携帯が鳴った。
 メールの音。
 何の気なしに見れば杉浦からで大海はがばっと起き上がった。
 <もう寝た?>
 そう入っていたのにまだ寝てないと返す。
 自分もメールしていいかと思っていた所にメールが来て嬉しいと思わず心が浮き立った。
 <答え、急ぐ必要なんてないから>
 少し大海は考える。
 今の自分の気持ちはもうすとんと杉浦が好きなのだと納得していた。
 認めてしまえば簡単な事だった。
 今まで誰にもこんなに一つ一つがドキドキした事などなかった。
 心配で仕方ないのも、わざわざ遠回りまでしてるのも全然自分がしたいからだ。
 

 急いではないけど、もう答えは出てる。

 これを送信したら杉浦はどう思うのだろう?
 そう。もう出ている。
 好きなのだ。
 自分で気付くより先に周りから旦那呼ばわりには頭が痛くなるけど。
 送信…。
 杉浦がどう返信してくるだろうかとどきどきと待つ。
 でも大海の出した答えと杉浦の答えがまるきり違うものだったら…?
 そりゃ笑うしかないだろう。
 携帯が震えるのにすぐにメールを開いた。
 <本当に…?ちゃんと考えた?>
 考えた?
 考えてない。だって考えたって仕方ない。
 どうしたって心が杉浦に反応してしまうんだから。
 

 考えてない。でも間違ってないから。

 自分の打ったメールを眺める。
 そう間違っていない。もう認めてしまったこの気持ちは止まりそうにないと思う。
 きっと夢もまだ無意識だった大海の心が欲望となって見せたんだ。
 思わず杉浦の顔と唇を思い出してしまう。
 夢の顔と実際の顔。
 
 また明日な。おやすみ

 そう付け加えて杉浦に送信するとおやすみとすぐに返事が返ってきた。
 携帯を枕元に置いて電気を消す。
 夢の杉浦を思い出したら髪を結ぶとこから着替えをするのにシャツのボタン外すとこまでエロモードの杉浦が次々思い出されてきて熱が籠もってきた。
 やばいかも。
 そう思いながら大海は目を閉じた。

 
 「…うっす」
 「おはよ」
 なんとなくメールの内容を思い出して気恥ずかしい。
 答えは?と問われたらどうしようと思ったけど杉浦は何も言わない。
 そういえば自分からは決して言わないとも言ってた事を思い出す。
 でも今は練習試合が先だ。
 「杉浦。練習試合終わってから」
 「…え?」
 「答え」
 「あ、…ああ。いや、別に急がなくていいって」
 「急いでないけど?」
 「そ、う…?」
 「ああ」
 歩きながら言えば杉浦は顔を俯ける。
 その背中をぽんぽんと叩いた。
 やっぱ可愛い…んだよなぁ…。
 なんで男が可愛いに見えてしまうのか謎だ。
 でも吉村だって他の奴らだって杉浦が綺麗だとは言ってたから別に違和感はない、はず。
 「…練習試合の相手って…?」
 杉浦が話題を変えるためにか、バレーの話を持ってくる。
 「キャプテンが言うにはいつも同じくらいの成績で練習試合も何回もしてるって」
 「……じゃあ永瀬がいるし余裕で勝てるかもしれないな?」
 「どうだかな?」
 それからはずっとバレーの話だけで学校に向かった。
 杉浦はやっぱりバレーが好きなんだ。
 だからこそ葛藤があるだろうに、杉浦はそれを見せない。
 それが大海の心にいつも引っかかっていた。
 
 
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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