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太陽と月の欠片 大会2

 どうしよう…。
 杉浦に触りたくて仕方ない。
 それでいて触ったらもう止まらないかも、と大海は頭を抱え込みたくなる。
 おまけにエロい。
 何が、って別になにしてるんじゃないのに。
 大海が勝手にそう見えるだけだ。
 もう口元見ただけでキスしたくて仕方なくて、いつでも出来ないのにまた悶えそうになってくる。
 抱きしめたいし押し倒したい。
 ダメだろ…。
 大海は頭を振った。
 「ただいま~」
 家に帰って荷物を片付ける。
 いつでも杉浦が来てもいいようにと部屋は綺麗を維持していた。
 「風呂いってくる~」
 汗かいてるのですぐに風呂。あがってくるとだいたいいつも杉浦から家に着いたとメールが入る。
 そういえば杉浦も泊まったんだから風呂使ったわけで…。
 思わずまた杉浦の脱いでいるシーンが思い出された。
 かっと身体が熱くなってくる。
 シャワーで身体を流しながらどうしても意識は杉浦に向いてしまって熱は治まりそうにない。
 杉浦とのキスを思い出し、身体を思い出しながら大海は大きく主張してる自身に手を伸ばした。
 あの顔で、声で喘がれたらきっと持ちそうにないと思う。
 杉浦だって男で自分と同じコレを持っているはずだけど、全然違和感など浮かばなくて、自分は男が好きなのか?と一瞬思ったけど、どう考えても杉浦以外は無理だ。
 絶対杉浦限定だ。
 杉浦の唇を思い出す。声も。全部欲しい。
 なんでこんなに欲しいと思うのか。
 何からも守ってやりたい。
 泣くのもいつだってついていてやりたい。
 自分を出さない杉浦だけど、自分に吐露してくれたのが嬉しかった。
 キスして足りない、と杉浦が言った。
 そう、足りない。
 …杉浦もそう思ってくれてたんだ。
 唇を舌を全部覚えている。
 倉庫でのキスも全部。
 

 なんとなく疚しい。
 そして吐き出した白濁を流すのは物悲しい。
 はぁ、と大海は溜息が漏れてしまう。
 考えるのはインターハイの予選だろ、と思いながら考えるのはどうしても杉浦の事ばかり。
 男同士のもちょっと調べて…。
 生生しいことだけど…。
 杉浦にする…?
 考えればまた熱が籠もってきそうで考えるな、と頭を振った。
 ………というか、自分が抱く側でいい、んだよな?
 大海は首を傾げた。
 杉浦は嫌じゃないのだろうか?
 キスは足りないという位だし、自分からもしてくれる時がある位だけれど。
 未だ杉浦は答えをはっきりと言ってくれない。
 何かに杉浦は不安なのだろうか?
 信じていないわけじゃないとは言うけれど。
 でも杉浦も大海の事は好きなはずだ。好きでもないのにキス出来るか、と言った言葉を思い出して顔が弛む。
 ただ単に付き合うとか、杉浦に関してはありえないだろう。
 隣にいるのが当然のような感覚。
 焦るな、大海は自分に言い聞かせた。


 最後の追い込み練習を終え、インターハイ予選。
 抽選で対戦するのはほどほどの所からでくじ運もよかったらしい。
 中学の時以来久しぶりの試合に大海はわくわくしてくる。
 開会式に出れば、さすが高校生で、大海位の身長の選手の姿もある。
 スパイクが決まるのは勿論嬉しいことだが立ちはだかるブロックの壁を越えて決まった時は格別で、中3の頃には壁がほとんどなかった大海にとって高校の試合となればやはり燃えてくる。
 それにしても思うのは杉浦とフルで出たかったという事だ。
 きっとそれで負けたなら諦めもつくだろうけれど杉浦なしで負けたら絶対に杉浦がいれば、と思ってしまうはず。
 でもそれは言えない。
 そう思うのが一番強いのが杉浦本人なのだろうから。
 ほんの少しだけ漏らした杉浦の言葉が大海に突き刺さっている。
 だからこそ大海は頑張らないといけないのだ。
 開会式の挨拶が続く中、大海はぐっと握りこぶしに力を込めた。

 初戦。
 緊張の中始まった試合。
 始めはぎこちなさがあったが試合が進むにつれそれは解れていき難なく勝利を納める。
 午後からの2回戦目も体が解れ、吉村のリベロが相手のスパイクをことごとく拾いまくりそれが勝利に繋がった。
 やっぱり試合はいい。
 しかしベンチにいる杉浦がもどかしい。
 誰よりも綺麗なトスなのに。
 誰よりも完璧なトスなのに。
 それなのに…。
 
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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