今までの分を取り返すように何度も何度も、夜もキスを交わして照れくさくなる。
でもどうしようもなく離れたくなくて。
試合からの興奮をずっと引きずっている。
「杉浦…」
「うん?なに?」
電気も消して杉浦はベッドの上だけど…。
「こっちこねぇ?」
「は?」
「俺でかいから狭いけど」
杉浦が何も言わないでそろりと動き出したその身体を大海が引き寄せて抱きしめた。
「……暑苦しい」
そう言いながら杉浦は大海の服を掴むのが可愛い。
「口と態度違いすぎ」
「………」
杉浦は黙って頭を大海の首元につけた。
その頭にキスするとシャンプーの匂いが鼻をつつく。
自分も使わせてもらってるので杉浦と同じシャンプーの匂いなはず。
う~……離れたくなかったから声をかけたがやばいかも、と大海はちょっと後悔した。
下半身がまずい事になってきた。
気付かれないように……。
「…………永瀬…」
杉浦がそっと手を這わせてきた。
「ちょ、っと…まずいって」
「…なんで?いいよ…出してやる?」
「ぅ……杉浦…だからエロいって…」
「だめか?」
「だめ、じゃないけど…」
耳元で囁く杉浦の声聞いてるだけでやばいかも。
「な、永瀬っ」
大海も杉浦に手を伸ばせば同じ状態だ。
「なんだ…お前も?」
「……ったり、まえ…だ……けど……俺は、いい、から」
「なんで?いいだろ」
大海が杉浦のウェストから手を忍び込ませた。
「杉浦もやって?」
杉浦は黙って大海に触れる。
「う…やばい…」
杉浦が自分のを触ってるというだけで達きそうになってしまう。
「杉浦」
唇を貪るようにキスした。
舌を絡めて吸い上げて、手で杉浦を追い上げ、杉浦に追い上げられて。
「あ……永瀬…も、う……」
「ああ、…俺も…」
自分の手しか知らないそれに杉浦の手は感じすぎる。
「よ、すぎる…杉浦…」
「あ、ぁ……」
互いの息が上がってくる。
「なが、せっ…っ!」
さらに手を上下に動かしてやると杉浦は大海のものを扱きながら身体をこすり付けてきた。
「杉浦…好きだ」
「俺……永瀬…っ!ぁあ…っ」
杉浦が大海の手の中に欲を吐き出すのを感じて大海もまた杉浦の手に白濁を放った。
「う…悪い」
「……謝らないでよね」
杉浦は電気をつけてティッシュを取り出す。
その顔は耳まで赤くなっている。それが可愛くて思わず耳にキスした。
「な、なに?」
「いや?可愛いなぁと思っただけだけど」
自分からしてきたのに慣れてないのが見て分かってしまう。
真っ赤になりながら電気の下で互いのものを初めて目にすれば目が回りそうになってくるけど、杉浦のを拭いてやって、杉浦が手を伸ばそうとするのを断り、自分のは自分でする。じゃないと、絶対またマズイ事になる。
そうしてもう一度杉浦が電気を消すと暗くなったからか何となく落ち着いて杉浦を抱きしめた。
いたたまれない気持ちと照れくさいのと満足なのと気持ちがごちゃごちゃに入り混じっている。
「うざくねぇ?」
「……ない」
小さく杉浦が答えたその返事に大海はほっと安心する。
「…ならいいけど。……おやすみ」
「……おやすみ」
まだ疼く。本当はもっと先がしたい。
我慢だ、我慢。
ぎゅっと杉浦を抱きしめながら大海は目を閉じた。
「なんでっ!」
「だめだ」
キャプテン青山と大海は顔をつき合わせた。
「お前は先がある。だからダメだ。今は無理すべき時じゃない」
翌日先生が迎えに来てくれて試合会場入りした大海に青山が下したのは大海をスタメンから外す事だった。
「大海は杉浦と一緒にベンチにいろ」
「キャプテンっ!!!」
青山は大海を見て微笑んだ。
「俺らがここまでこられたのもお前達のおかげだ。その将来を潰す可能性があるかもしれないのにダメだ。これがインターハイ出場を決める決勝ならば勿論止めやしない。でもまだベスト8だ。そして俺達ではお前の力になれないのも分かっている事だ。これ以上無理をして万が一インターハイに行けたとしてもその時お前の足の状態はどうなっている?よくなっている事はないだろう。お前達はまだ先がある。焦ることはない」
2年生と3年生が頷いている。
どうやら2、3年で話し合ったらしい。
大海は唇を噛んだ。
「そこで悔しがっていろ。そして杉浦が毎回どんな思いをしてるかも味わえ」
はっと大海は杉浦を見た。そうだ、いつも杉浦はこういう思いをしているんだ。
キャプテンの顔はもう決定している顔で大海は何も言えなくなった。
「…っす。分かりました」
大海は歯を食いしばりながら頷いた。
今日勝てばベスト4。
けれど大海を欠いてはイコール得点の決定力を欠く事になって、相手も勿論甘くはなくあっけなく試合は負けた。
高校1年のインターハイをかけた大会はあっけなく幕を閉じてしまった。
テーマ : 自作BL小説
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