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太陽と月の欠片 問題3

 「身体大きいけど何部?」
 休み時間になって転校生の方から大海に話しかけてきた。
 「あ?バレー部だけど」
 「あ!俺も入るからよろしく!」
 「そうなのか?ポジションは?」
 「俺はアタッカー、宙はセッター」
 「そりゃいい!杉浦っ」
 大海は転校生の腕を掴んで杉浦の席まで連れて行く。
 「これ、アタッカーだって。もう一人がセッターだと」
 杉浦が目を丸くした。
 「本当に?」
 「らしい」
 「…彼もバレー部?」
 「そう」
 「よろしく、杉浦です」
 「あ、俺は永瀬 大海。名前でいいぞ」
 「俺も光でいいよ。どうせ宙も一緒だから苗字だと分かんなくなるし」
 「……名前、大海に光に宙って…」
 杉浦がふっと笑った。
 その杉浦をじっと転校生、光が杉浦の顔を覗きこむように見ていた。
 「ええと、杉浦?ってちょー綺麗じゃない?」
 大海はむっとする。
 そんな事知ってる。
 危険人物?ちらっと大海は転校生、相澤光を見た。
 「光…でいい?身長いくつ?」
 「185」
 杉浦は転校生の言葉は何事もなかったようにスルーして質問している。
 「今日部活来る?」
 「行く」
 転校生がにこにこと頷く。
 女子が光をチラチラと見ている。見てるのも分かる、と大海は思わず光をみて納得した。


 「これ宙(そら)」
 「……似てるじゃん」
 「けど見分けはつくでしょ」
 「まぁ」
 身長も光と同じ位。でも雰囲気は光の方が人懐こくて宙の方が無口な感じだ。
 宙は吉村と同じクラスで吉村も入って4人で一緒に部活に向かった。
 「杉浦?ポジションは?」
 宙が聞いてきたのに杉浦は大海と顔を合わせた。
 「…一応セッター、だけど…。俺は出られないから」
 「出られない?」
 光と宙が声を揃えた。
 「そう」
 「いいけどさ~…杉浦、こいつらと一緒にいるとすっげ背縮んだように感じねぇ?」
 「……感じる」
 吉村と杉浦が頷いている。
 大海がほぼ190、二人が185。
 杉浦だって173だけど肉が薄いからか吉村と変わりないように見える。
 「お前らでかすぎ~」
 「でもそうじゃないと」
 杉浦が言えばまぁね~と吉村も頷く。
 「でも集まるとウザ~イ」
 「それ言ったら部活なんてヤローの集まりだ。ウザいに決まってる」
 大海が言い切る。
 「うざくないの俺と杉浦だけだぁ」
 「お前は煩いからウザい」
 「大海ひでぇ~~~」
 「仲いいね~」
 光がにこにこしている。
 「前んとこは殺伐としてたけど」
 宙も頷いている。
 「そう?ウチわりと先輩達もユルイよ。杉浦が監督かコーチみたいなもんだし、大海は自由だし」
 吉村が笑いながら光の背を叩いた。
 「…そうなの?」
 「そうそう!」

 皆に転校生二人を紹介して早速アップしていつもの様に練習を始める。
 杉浦もいつもアップとか途中途中の練習は一緒にする。レシーブなどはどうしてもキツイらしいから抜けるけれど。
 セッターの宙は渡辺とペアになってボールのパスしてる。
 光は吉村とでこぼこコンビになっている。
 「いい感じかも…渡辺さんには悪いけど」
 杉浦が大海とパスしながら宙のオーバーを見て言った。
 「コンビがどうだかな?」
 「そうだね」
 でも確かに見た目は光よりも無愛想に見えるが上げるボールは柔らかだ。
 「……多分光の方も相当、かな?」
 大海は顔が弛んでくる。
 「かもな」
 杉浦も仄かに満足そうだ。
 アタック練習で最初は渡辺が上げて、後から宙に変わってみた。
 杉浦ほどではないけれど渡辺よりも打ちやすい。
 「宙!いい!」
 大海が宙に声をかけると宙がどうも、と頭を小さく下げた。
 「…大海ってなんでここいるの?」
 光が怪訝そうに声をかけてくる。
 「お前、絶対全国区だろ」
 「そう?どうも」
 「………むかつく」
 光が大海の背中を小突く。
 「なぁ、なんで杉浦って練習入ったり抜けたりするの?」
 「ああ、ちょっとな。後で話すよ」
 大海が答えた。今では杉浦の目の事は知れ渡っている位だ。
 その杉浦が宙と並んで喋っている。
 なんかむかつく…。
 大海は熱心に話をしている杉浦をじっと見ていた。
 「永瀬、コンビ宙に見せるから…。いい?」
 杉浦が大海の方を見て声をかけてきたのに大海は頷く。
 「ああ」
 「吉村」
 「はいは~い」
 毎度の事なので吉村も心得たものだ。
 
 
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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