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太陽と月の欠片 解決3

 「いいよ!」
 「でも」
 杉浦が顔を背けた。それが耳まで赤くなっていて無理しているのが見える。
 「いい、んだ…」
 大海は手を離させて杉浦をただ抱きしめるだけにする。
 だってそんな事されたら絶対に止まれないはず。
 したいけど、今日はいい。
 せっかく杉浦が言ってくれた日だから。
 「こうしてるだけでいい。…今日はな。もっと話してくれ」
 「でも…」
 「ん~~~…気にしないで?」
 大海は苦笑した。
 「……するに決まってる」
 「でもいいんだ。本当に…こうしてるだけで満足だ。あとキスはするけど」
 「…ん」
 小さく顔を紅潮させたままの杉浦が可愛くて可愛くて…。
 その頬にキスした。そして唇にも。
 何度も何度も。
 「俺…お前だけ、だから…」
 杉浦が唇を離した大海に向かって小さく言った。
 「……ずっと離れないけど、本当にいいのか?」
 「いいよ」
 大海はくすくす笑った。
 「離れらるのが考えられない。まじで一昨日はずっとぼけっとしてた。全部がつまんなかった」
 大海は自分で呆れるよな、と苦笑をもらす。
 「杉浦は色々考えてるんだろうけど…でも俺、やっぱりお前特別だ。こんなに一人を気になった事なんてないし、こんなにその…大事に、したいって思った事もないし…俺は難しく考えたりしないけど、それでも中途半端はしないつもだ。だから…今度は一人で考えないでもらえる?俺…結構、いや、かなりキツかったんだけど…?」
 「うん…ごめん…」
 杉浦が素直にこくりと頷いた。
 可愛い過ぎると思うのは大海だけだろうか?
 「杉浦…」
 どうしようもないくらい温かい気持ちでいっぱいになる。
 ぎゅっと思わずまた力を入れてしまいそうになって大海はもどかしい気持ちになる。
 この思いをどこに出せばいいのだろうか。
 大きな声で叫べといわれたらいくらでも喚けそうな気がする。
 「永瀬?どうかしたのか?」
 く~~~っと大海が顔を顰めたのに杉浦が不思議そうに真っ黒の瞳を向けてきた。
 「……可愛すぎる」
 「………あのさ、それ、意味わかんないだけど?なんかたまに永瀬言うよね。俺だって身長173もある男だけど?」
 「分かってるよ。でも可愛いんだから!……俺が勝手にそう思ってるだけだから杉浦は気にしないで?」
 「……だから気にしないはずないだろ」
 ふいと杉浦が照れたような顔を見せるのがまた大海のツボに入る。
 普段は冷徹といっていいくらいの表情の変わらなさなのにこの違い。
 だから可愛いんだ、と思うんだけど、杉浦は分かっていないのか?
 「173あったって俺より大分小さいしちょうどいいだろ」
 「まぁ、だろうね…。永瀬でかすぎるし、身体も俺と違いすぎる。なにこの腕?これで高校1年ってありえないと思うんだけど」
 杉浦が大海の二の腕を掴んだ。
 「お前も筋トレしたら?」
 ぷっと笑って大海が言えば杉浦がむっとした顔をする。
 「別にいいです」
 「うん。俺もお前はそのままでいいと思うけど」
 さらりと杉浦の長い前髪を手でかきあげてやる。
 その額にキスして瞼にキスする。
 「……恥ずかしいですけど?」
 「ん~~~だってしたいし。杉浦だって足りないって言うだろ」
 「……言わない」
 「嘘だ」
 つんと杉浦が顔を背けるけれど、それでも大海の腕からは離れようとはしないのだ。
 だから可愛いって。
 ツンデレってやつだろうか?
 「ああ~~~~杉浦ぁ」
 「何?」
 大海は杉浦の肩に顎を乗せた。
 「好きだぞ」
 ぱっと顔が朱に染まる杉浦の顔に大海はだらしない笑みが浮かんでしまう。
 「永瀬って恥ずかしい奴」
 「うん。そうみたい…。だって止まんねぇんだもん。もう杉浦の全部にキスしまくりたい気分」
 「……………ど?」
 「ん?」
 何かをものすごく小さく杉浦が言った。
 聞こえなくて聞き返す。
 「別に、いいけど…?止まらなくても、いいし……」
 いや、だから、なんでまたそういうことを頬染めながら言うかな…。
 「でもいいの。今日は折角杉浦が言ってくれた日だからそれで満足。進むのはまた今度にする」
 「………だ?」
 また杉浦が小さい声で何かを言った。
 「ん?ちゃんと言って?聞こえない」
 「……もし、永瀬が、心変わりしたら、…どうするんだ?」
 がくりと大海は肩を落とす。
 「あのね、なんねぇから」
 「分からないじゃないか」
 むっと杉浦が口を引き結んだ。その唇に大海は軽くキスした。
 

 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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