side 悠
苦しい。痛い。
でも嬉しい。
永瀬が夢中に自分の身体を求めているのが分かった。
ずっとする気なんかなかったんじゃないかと思ってたけど、全然違った。
こんなにも…。
痛さと熱さ、もう何もかもが入り乱れて声はずっとあがったまま。
みっともない、と悠は自分で思うのに、反対に永瀬は夢中にキスを貪り中を穿ってくる。
それを感じれば永瀬が悠の事をみっともないと思っていない事も分かったし、幻滅もしてない事も分かる。
嬉しい。
こんな自分を欲してくれている。
今まで誰にも心惹かれた事などなかったけれど、今はこんなにも夢中だ。バレーだけじゃない。全部。
器の大きい所も、名前の通りに大きく包んでくれているのも分かる。
そんな永瀬が自分を選んでくれたなんて未だに信じられない。
「杉浦ぁ……大丈夫か…?」
心配そうに永瀬に覗き込まれたのにはっとした。
「…え?」
はぁ、と安心したように永瀬が溜息を吐き出してそして抱きしめてきた。
「……もしかして気、飛んでた…?どのくらい?」
「そう!悪い!!まじで…ああ、どうしようかと思った…ほんの少しだよ」
よかったぁと永瀬が泣き出しそうな勢いで言った。
悠を抱きしめる永瀬の髪をよしよしと撫でた。
本当犬みたいで可愛い。
かなり身体大きいからドーベルマンか?いやでも強面でないし。レトリバーか?人懐こいし。
でももっと大きいよな。なんだろう?
「杉浦?」
「え?あ、何?」
犬種を考えてたなんて永瀬には教えられないけど。
「だいじょぶ?」
「ええと…うん。多分」
身体はだるしい、後ろに疼痛も走るけどまぁ、思ったほどじゃない、かな?
「そうだ!永瀬……その、それ、どうした、の…?」
ベッドに転がっていた潤滑剤を指差した。
「ええと…準備、して、ました」
しゅんと耳を垂れたようにして永瀬が正座した。
「……光に用意してた方が、いい、って、聞いて……」
「…………………いつかの光との内緒話、って、もしかしてコレ?」
「はい」
小さく永瀬が頷いた。
それにもう恥かしいのか、可笑しいのか、照れくさいのかわけ分からない。
そりゃ、悠には言えないわけだ。
そういや悠が困るだろうから、と言ってたのを思い出す。
確かに困ってしまう。
くすくすと笑い出した悠に永瀬がさらにしゅんとする。
「怒ってない?」
「怒る?なんで?怒んないよ…恥かしい、けど」
「全然っ。俺、夢中になりすぎて、本当に大丈夫…?」
「大丈夫だけど…。永瀬」
とんとんとベッドの脇を叩いた。
なんで正座なのか。
隣にいないのが寂しい。
「隣、いて、よ」
すぐに永瀬が悠の身体を抱きしめた。
「杉浦、もうやだ、とかいわない?」
「…言わないけど?永瀬こそ……胸もないヤローだけど?」
「そんなの関係ないし。杉浦、全部綺麗、可愛い、好きだ」
恥かしいやつ。
顔中にキスしてきて永瀬の手がまだ火照ってる悠の身体を伝っていく。
「…だめ」
動く永瀬の手を止めた。
また耳が垂れた感じだ。
「……さすがに…無理みたい…」
身体が泥のように重い。
「うん。しない、から。触るのもだめ?」
「ダメじゃないけど……」
仕方ないな。
「いいよ。触られるのは嬉しいけど…でも…」
「分かってる。ちゃんと待て、できっから」
永瀬の言葉にぶっと笑うと後ろに引きつった痛さが走る。
「っつ…ぅ……」
思わず身体を縮こませて顔を歪めれば永瀬がおろおろする。
「大丈夫だって」
ふぅと深呼吸するように息を吐き出す。
「杉浦…」
永瀬の身体に抱きついた。
身体が汗でべとべとだ。
「シャワーしたいけど、動けない…」
「明日の朝、する?ちゃんと俺責任持って入れてあげるから」
「……ん。永瀬……」
暑いのにぺたりとくっ付けば永瀬が安心したように息を吐き出して太い腕を回してくる。
「杉浦。好き…寝ていいよ」
「ん……おやすみ」
とろりともう瞼は重くなってきた。
ちゃんとできてよかった…。
永瀬の手が優しく背中を動いていたのにひどく悠は安心して眠りについた。
結局翌日はあまり悠が動けず、家で大人しく過ごし、三日目はちょっと出かけて、大海は祭に行く事も考えてたらしいけど、悠がまだキツそいうだからとそれはやめて、結局また永瀬を受け入れて。
その繰り返しで1週間はあっという間に終わってしまった。
テーマ : BL小説
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