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副会長はいじっぱり 7

7  敦(ATSUSHI)


 やった!解禁だ!
 敦は図書委員になってよかった!と心底自分を誉めた。
 これで学校でもあそこにいれば如と会える。

 敦は機嫌よく家に帰って来て、窓から隣をちらちらと眺める。
 如は役員会だと言ってたからまだ帰っては来ないんだろう。
 キスしても怒るけど嫌がってはないし。
 帰ってくれば思い切り抱きしめられる。
 キスしてる最中の如の息が漏れるのも、後の真っ赤な顔もどれも綺麗で可愛い。
 表情ない時の如だって勿論綺麗だけど、あんな顔は誰にも見せてないはず。
 口調もそうだ。
 いつも外では丁寧な口だけど自分にだけは違う。
 ぷぷっと思わず笑いが漏れる。
 「敦、お風呂先入ったら~?」
 階下から今日は仕事が早く終わって帰って来てた母親の声が聞こえたのでまだ如も帰ってこないみたいだし、と先に風呂に入る事にした。
 
 濡れた頭で急いで二階に上がるとすでに隣の家の如に部屋の電気がついていてすぐに窓を開けて渡っていく。
 夜になってたからカーテンは閉まってたけど鍵は開いていた。
 「ゆきちゃんっ!」
 「………開けたけど?」
 「んっ!」
 制服を脱ぎかけてた如に抱きついた。
 「お前、髪濡れてんだろ。座れ」
 ベッドを指差されて大人しく如のベッドに座ると濡れた敦の髪をゆきちゃんが首に巻いてたタオルでごしごし拭き始めて、その目の前に立っている如の身体に腕を回した。
 もうずっと自分より細い体になってる。
 小さい時はずっと敦の方が小さくて痩せっぽっちだったのに今は腕の太さとかも敦の方が太い。
 「お前部活入んねぇの?」
 「え?サッカー?入んない」
 「…なんで?」
 「だって如いないし」
 「なんでそうお前はなんでも適当なんだぁ?勉強だってちゃんとすりゃもっといいはずだろ?」
 「……すればね。する気ねぇもん」
 はぁ、と如が溜息を吐き出す。
 「サッカーだって俺よりずっと上手いくせに!ムカつく!」
 ごんと頭を叩かれた。
 「終わりだ。制服脱ぐから手離せ」
 脱ぐ、と言われたらそりゃ手は離すでしょう。
 敦の手から離れてシャツのボタンを外していく如をじっと見つめる。
 「……………お前なにガン見してんだ?」
 「当たり前だけど?」
 「はぁ?」
 如は肩を竦めてシャツを脱ぐ。残念な事に下にTシャツ着てた。
 ズボンにも手をかけて躊躇もせずに如が脱ぐのにそれには思わずさらに敦はガン見する。
 パンツ姿なんてそれこそ何度も目にしてるし今更だけど、それでもキスしてからこんな姿は初めてでちょっとドキドキしてしまう。
 「如」
 「………呼び捨て微妙にムカつく」
 「じゃ、ゆきちゃん」
 「……それも人前じゃ恥かしいだろ」
 「じゃやっぱり如で」
 「…仕方ねぇな」
 着替え終わった如に敦は立ち上がってもう一度抱きついた。
 腕の中にすっぽりと納まってしまう。
 
 「ねぇ、如。俺好きって言ったの、ちゃんと分かってる?」
 「ふざけて…」
 「ねぇよ。ずっとゆきちゃんだけだから好きなの。じゃなきゃこんな事しねぇし」
 敦は如の顎に手をかけてキスした。
 「や、め……」
 如が制止の声を上げるけれど逃してなどやらない。
 如が口を結んでいるのをこじ開けるようにして舌を差し込む。
 逃げようとする如の舌を掴まえて絡めた。
 もう我慢なんか出来るはずない。
 ずっとこうしたかった。
 味わうように角度を変えて何度も貪るようにして舌を絡めて吸い上げる。
 「あ、つしっ!」
 どん、と如が敦の胸を押して離れようとするけど離さない。
 その如が敦の腕の中で真っ赤な顔して唾液のつたった口を拭ってるのがエロい。
 「如…」
 ずくんと下半身に熱が集まってくるけどさすがにこれ以上はいくらなんでもダメだと分かってる。
 「…このまま、で…ゆき…」
 抱きしめたまま如の首に顔を埋めれば如は黙ってさせてくれる。
 ほら、如は嫌がってるわけじゃない。
 そこにほっとする。
 「ゆきちゃん…如……」
 何度も名前を呼ぶと如の手がそっと背中に回ってきて背中をとんとんと叩いてくれる。
 きっとこれは如の中でずっと小さい頃からの条件反射みたいなものかもしれないけれどそれでも拒絶されていない。
 受け入れられなかったらきっと如は容赦なく拒絶するだろうから早くそこを認めてもらわないと敦は困ってしまう。
 絶対に。

 
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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