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副会長はいじっぱり 22

22  如(YUKI)


 如の中の敦の印象が塗り返されていく。

 如はノートをとりながらも頭の中は敦の事を考えていた。
 まるで如が見た事のない敦がたまに出てくるのに動揺する。
 可愛い幼馴染だと思ってたのに、もうそんな敦はどこにもいなかった。
 さっきの図書館での態度も声もそう。
 まるで如を守るように…。
 守ってたのは如のほうだったのにいつの間に入れ替わってしまったんだろう?
 面白くない、感じもする。
 けど、それだけでもない。
 朝、昇降口で別れた後敦はいつものように三浦くんと一緒にいた。
 何か話しながら。
 仲よさそうに。
 そして屈んでた三浦くんの後ろ首に触れてたのを見た時かっと怒りが湧いた。
 …だけどそれは怒りなんかじゃない。
 嫉妬だ。
 …多分!だけど…。
 自分で気付いて愕然とする。
 なんで嫉妬…。
 如は視線を敦から離して急いで自分のクラスに向かったのだ。

 敦はずっと如だけだった、…はずだ。
 毎日抱きついてきて。
 中学になってもそれは変わらなかった。
 小学校の時のように泣かされる事もなくなったし、友達もいたけど、今のようにこんな三浦くんに対するような気持ちなんて湧かなかった。
 なんで…。
 家に帰ればずっと敦は如にべったりだった。
 如の部屋にずっと入りびたりで。 
 それが高校になってからは何か変だ。
 好きだなんて言い出すし。
 
 そもそもそんな事を敦が言いだしたから変なんだ。
 キスなんてしてくるし。
 そういえば何回かされた。
 ……それに昨日は自分からしたんだ。
 かっと如は思い出して顔が熱くなってきた。
 変な風にごまかしたけど敦は分かってる。でもそれ以上敦は突っ込んでこない。
 一体なに?どういうつもりか?
 ふざけてない、といった敦だけど。
 好きだよ、とさらりと言う敦を思い出してさら身体まで熱くなってくる。
 昨日みたいに本当の熱が出てきたわけじゃないけど、動悸はしてくる。
 なんなんだ、これは!?
 敦のせいですっかり自分がおかしくなっている。
 自分の感情も行動も何もかもが狂ってる。

 それでも嫌だという感情は勿論ない。
 そんなの当然だけど。
 だって敦は敦だから。
 なんか自分でももう分からない。
 はぁ、と如は大きく息を吐き出した。


 なんで…?
 授業が終わって生徒会の役員会のために和臣と生徒会室にいたけれど、そこに敦と三浦くんが現れた。
 敦が三浦クンの腕を引っ張ってる。
 「隣が資料室だからそっちっで待ってろ」
 「ういっす」
 「やだよ!なんで生徒会室なんて!」
 和臣が敦に言って敦が頷き、三浦くんが騒いでる。
 「……何?」
 如が和臣に聞いた。他の書記二人と会計二人もぽかんとしている。
 敦は如をちらっと見てから和臣に言われた通りに三浦くんをつれて資料室に入っていった。
 なんで二人で…?
 「今日はさっさと終わらせるぞ」
 和臣がなんでもないように言ったのに如は頷いたけれど、資料室に入っていった敦と三浦くんが気になった。
 気になりながらも今日決めなければならない事を終える。
 さっさと、と公言した和臣の独壇場だったいう感じでもあったけど。

 会計と書記が帰ると和臣が資料室のドアを開けた。
 「柏木、終わったぞ」
 「やだよっ!」
 「三浦…」
 三浦くんが敦の背中にへばりついていて敦が呆れた声を出している。
 なんだよ、と如がむっとしたら如の隣に立っていた和臣の纏っていた空気が冷えた。
 「翔太?」
 顔はにっこりと微笑んでいるけど目が笑ってない。
 「カイチョー、じゃコレやる」
 敦が背中から三浦くんを剥がして和臣に渡してる。
 「ああ、ご苦労だった」
 「どういたしまして。じゃ、如、帰ろ」
 「え?あ、ああ…」
 「柏木。明日の朝も二宮と一緒に来るのか?」
 「そのつもりだけど?」
 「…じゃあ俺も翔太を連れてくる」
 「……了解っす」
 「大丈夫!だか、ら…」
 「ダメだ」
 如が口を開いたのに敦と和臣の声がダブる。
 そして和臣が頭を抱えて如と三浦くんをちろりと見てから敦に視線を向けた。
 「……………大変だよな」
 「…そっすね」
 和臣と敦が頷いている。
 如は和臣にがっしりと腕を捕まえられている三浦くんと顔を合わせた。
 「ま、仕方ないけどね。如、帰ろう?じゃ、失礼します」
 「ああ。じゃ、明日」
 和臣がひらひらと手を振っている。
 如は敦に腕を取られ、三浦くんは真っ赤な顔で和臣の腕の中に閉じ込めてられていた。 
 
 
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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