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副会長はいじっぱり 24

24  敦(ATSUSHI)


 なんか知らないけどキスの話の後に斜めった如の機嫌が直ったらしいのに敦はほっとした。
 しかし、キスもしたことなかったなんてラッキーだと思わず顔が緩む。
 ずっと如の事を見てはきてたけど、彼女いないのも知ってたけど…。
 ふざけてる発言は相変わらずするけど、嫌ではなさそうだし…。
 ふざけるな、って言うけど、ふざけてないならいいのか?
 でもきっとなにしたってふざけるな、って言いそうだけど。
 昨日は如のほうから可愛いキスしてきたしあと少し我慢すれば如の方から聞けるかもしれない。
 大人しく我慢してるに限る。

 「ほんと俺忍耐強いよなぁ」
 はぁ、と思わず如を見ながら溜息が出た。
 「ていうかさぁ…俺真面目にしてるけど?如分かってる?」
 「ん?ああ。分かってる。短距離ん時もちゃんと走ってたし」
 「……ならいいけど。テストもちゃんと受けるよ。…今回は。そしたら如は認めてくれんの?」
 「何を?」
 「……あのさ、何の為に俺真面目にしてるんだよ?如がふざけてるって言ったからだろ?真面目にしたら如から好きって言ってくれる?」
 「はぁ?何言ってんだ?なんで俺から言わなきゃないんだよ?」
 「………如」
 敦は頭を抱えた。
 「じゃ、なんで俺真面目にしなきゃねぇんだよ?如からのご褒美も何もないのにやる気無くす…」
 「………どうすりゃいいんだよ」
 「だからゆきちゃんから好き、とか抱いて、とか」
 「………ざけんなよ?」
 ぴしっと如の額に青筋が見えた。
 だめか…。
 「じゃ、俺が頑張ったらご褒美に如ちょうだい?」
 「…………頑張ったら?どん位?俺がその…す、好き、なんて言うならそんじょそこらの頑張りじゃねぇよな?」
 好き、の所で真っ赤になってどもるのは可愛いけど、そう来るか。
 「え~…じゃテストで学年一位とか」
 「…お前、それ楽勝だろ?知ってるぞ。入試の時の成績お前2位だもんよ。手抜いて2位だろうが」
 「………なんでそんな入試の成績なんて知ってんの!?」
 「和臣に教えて貰った。どうせ敦は1位なんてめんどくせぇとか思って手抜いたんだろ」
 げ!カイチョー余計な事を。
 「ふぅん……敦の真面目に頑張るってそれ位なんだ?敦だったら全教科満点位が頑張るじゃねぇの?」
 「……あの、ゆきちゃん?いくらなんでもそれは俺でも難しいと思うのですが…?」
 「ああ?だから!それ位が頑張る!だろうが」
 ふんっと如がそっぽを向く。
 全教科満点って…まじかよ。
 「ゆきちゃんのオニ。イケズ」
 「ん~?なんか言った?」
 にっこりと如が笑った。
 「………いいよ!分かったよ!取ってやるよ!じゃ、それ取ったら如から好きだ、抱いてって言えよ?」
 「はぁ?なんで思ってもない事言わなきゃねぇんだよ?」
 「うわっ!最っ低~~~!頑張ったご褒美もなし!?好きだって言ってんのにふざけてるって言われて、触りたいのもキスしたいのも我慢して、真面目にしろって言われてやって、テストで満点取れって言われて、取ったとしても褒美もなし?どんだけだよ…」
 「う……」
 如がさすがに悪いと思ったのか怯んだ。
 「ね?」
 畳み掛けようとするけれど、そこは如だ。
 「…別に俺はお前と同じ好き、じゃねぇもん…」
 多分、って小さく語尾についたのも聞き逃さない。
 あんまり追い込んでもテンバってしまうだろうからな…。
 まったくこんなに如の事ばっか考えてるのに!
 「いいよ。じゃ如からの好きと抱いてはいいから、かわりに如を俺の好きにさせて?ならいいだろ?」
 嫌ではないからコレはいいはずだ。
 「…………仕方ない」
 「じゃ、それで」
 いいけど、さすがに落ち込む。
 好きじゃねぇもん…なんて言われたら落ち込むに決まってる。
 はぁと大きく敦は溜息を吐き出した。
 「凹む…」
 「敦?」
 「分かってねぇよな……好きだって言ってんのに好きじゃねぇなんて言われたらがっくりもくるけど…?フラれたって事だろ普通」
 「あ……それ、は……違、う……」
 如が慌てた顔をしてる。
 「意味、違う」
 「違くねぇだろ…」
 「敦……違う……」
 如がそっと敦の袖口を掴んできた。だから可愛いんだって。
 コレどうしたって好きじゃない、じゃねぇだろ?
 それなのに素直に言わねぇんだから…。
 「……いいよ。分かってるし」
 素直じゃないの分かってるけど聞きたくはねぇよな…。
 それに如は好きにさせての意味ちゃんと分かってるのか…?
 あっさり頷いた如にも少しばかり不安を覚えてしまう。
 言質をとれば逃す気もないからいいけど、と敦はくすりと笑みを浮べた。
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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