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副会長はいじっぱり 36

36  如(YUKI)


 学校を終え、帰り道。
 如と敦は黙ったままだった。
 朝のあれは精神的にキタ。
 まさか自分の机であんなコトされるなんて思ってもなかった。
 そりゃ男ですから!
 自分でしないはずないけど、まさか…自分の席でされるなんて考えもしなかった。

 隣を黙って歩く敦の足を見る。
 並んで歩く足だけど、自分のよりでかい足。
 敦もあんなコトする…?
 いや、学校でじゃなくて。って、当たり前だけど…。
 何を考えたらいいのか分からなくなる。
 アレはショックだったけど。
 気持ち悪い以外の何物でもなかったけど。
 
 「如?」
 「ん?…何?」
 敦が小さく名前を呼んできた。
 朝のあの光景が目に焼きついて気持ち悪い。
 如の顔が俯いてしまうと敦がぽんぽんと頭を撫でた。
 「…………生意気」
 宥めるのは如の役目だったはずなのに、いつの間に入れ替わったのか。
 身長が追い越された時からか?
 でもその手に安心してしまう。
 敦がいなかったら朝もきっともっと動揺していただろう。
 「敦……ありがと」
 なんかここんとこ敦に礼ばっか言ってる気がする。
 「別に…俺なんもしてねぇし」
 敦が面白くなさそうな声を出したのに如が顔を上げた。
 なんで敦が面白くなさそうなんだ?
 「だって、動いてんの結局カイチョーだろ」
 ちぇっと敦が舌打ちするのに思わず笑ってしまった。
 そんな事…。
 くすっと思わず笑ったらますます敦が面白くないといわんばかりにむっとしてた。
 「バカだな…」
 あんなコトされたあとでもこうして普通なのは敦がいたからなのに。
 もしこれで敦がいなかったらきっと全部自分の中にしまい込んだ筈だ。

 「如…」
 敦が如の頭を抱えると眼鏡を取って如の目を腕で覆ってきた。
 「…無理すんな」
 敦の低い声。
 あ……。
 ほろりと涙が出てたらしい。それを敦が庇ってくれてたんだ。
 家が見えてきっと安心したんだ。
 敦は自分の家じゃなくて一緒に如の家に入ってくる。
 大丈夫だと思ってたのに、敦の腕はずっと如を抱えている。

 「如……ゆきちゃん…」
 自分の部屋に入って如は我慢出来なくなって敦に縋った。
 いつも泣いて縋ってきたのは敦でそれを抱きしめて宥めたのが自分だったのに。
 今までしてやってた分のお返しだ、と思えば自分からこうしたっておかしくないだろう。
 敦は黙って如を抱きしめてくれて背中を摩る。
 「ゆき……大丈夫だから…」
 分かってる、そんな事。
 「ゆき……」
 敦が何度も名前を呼んで……。
 「おい。何してる?」
 如が顔を上げた。
 敦がこめかみや耳や顔の触れるトコあちこちにキスしてる。
 「俺はそんな事しなかっただろ」
 「え~。だって俺は如好きなんだもん。したくなっちゃうじゃん」
 敦が手を伸ばして如の涙を拭う。
 「舐めてあげる?」
 「はぁ?何を?」
 「涙」
 「バカか!………しばらくこうしてるだけでいい」
 「……それじゃ足んねぇけど」
 今のやりとりで涙は引っ込んだ。
 けどまだ離れる気はなくて敦の胸に頭を預けると敦は静かに背中を摩ってた。

 わざとふざけたのか…?
 ほんと、コイツ読めないよな、と如は呆れる。
 「……だから信用なんねぇんだ」
 「え?何?」
 「お前がふざけてるから!」
 「ふざけて…?ふざけてないけど?」
 「今だってふざけてただろ。キスしたくなる、とか涙、舐めるとか…」
 「如こそ何言ってんの?俺、全部本気だけど?」
 「はぁ!?」
 驚いて敦を見上げた。
 眼鏡はかけてないけど近くなら見える。
 「全部本気…。如…」
 うわ…っ!
 敦の顔が近づいてきた。
 頬を敦の手が押さえてて逃げられない。
 思わず敦の胸の辺りを掴んだ。
 斜めに角度をつけて寄ってくる敦の顔。
 やばい!やばい!だめだってのに!
 「んっ……んんーーっ」
 唸っても敦は離してくれなくて挙句に口を割って舌がぬるりと如の口の中に入ってくる。
 ベロチューーー!!!
 敦が夢中になってるみたいに絡めてくるのに身体がかっと熱くなってきた。
 エロい!
 くちゅくちゅと唾液が混じる音なんてやばい!
 「んんっ!」
 離れようと胸を押すけど敦には全然きかなくて。
 しかも段々力が抜けていく。
 「ん……っ…」
 だめだ…。おかしくなっちゃいそうだ。

 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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