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副会長はいじっぱり 37

37  如(YUKI)


 浅い息が漏れてしまう。
 「…やっべ……如、声…やばいって…エロい…」
 「ばっ…!!な、何言って!!」
 如は口を押さえて敦から離れようとした。
 「ゆきっ…!」
 離れようとしたけれど敦がぐっと抱き寄せて力を入れてきた。
 「あつ……」
 「ゆきっ!ごめんっ!もうしねぇから来んなって言わないで!!」
 は?
 敦が慌ててる。
 「キスすんなって言われてんのに…我慢できねぇから…でも来るな、はなしにして?」
 別に何も言ってないけど…。
 コイツの焦ってるとこなんて、必死になってるのって久しぶりに見た。
 なんだ…。
 余裕かましてるのかと思ってたけど…。
 思わずぷっと如が笑った。
 「……言わねぇよ。敦、制服脱げよ」
 「え?ああ、……ん」
 敦が制服をすぐに脱ぎだそうとするのに如が驚く。
 「は?何してんの?着替えてこいって意味だ!!!」
 「……なんだ…。あ~びっくりした。如がすごい積極的だと思ったら…違うのね」
 「ったりめぇだろ!このばか!!つうか、着替えて来いじゃなくて俺があと行く。DVD続き見る」 
 「あ、了解~」
 びっくりした!!!
 何考えてやがるんだコイツは!
 敦が窓から自分の部屋にさっといなくなったのに如は心臓がうるさくなって顔が熱くなっていた。
 これは驚いたからだ!
 如はそう自分に言い聞かせた。

 しかし、ヤル気満々かアイツは!?
 かっと着替えの為に制服を脱ぎながらまた赤面してくる。
 そういや自分は普通に敦の前で着替えもしてたし、パンツ姿にもなってたけど…。
 うわぁ、と自分がどんだけ無防備かと今更ながら恥かしくなった。
 だってそんなまさか、敦がそんな事考えてるなんて思ってもなかったし!!
 そしてベッドにそういや押し倒されたという事も思い出してさらにその先まで想像してしまう。
 抱かれる…?
 アイツに…?
 心臓がうるさい。
 さっきのキスも…。
 思い出して如はしゃがみ込んで顔を覆った。
 前はふざけてるのか、と言ったけど、今は普通に想像出来てしまったのが恥かしくてどうしようもなくなる。
 敦の声が如を呼ぶのは普通だし、アイツが触ってくるのだって普通だ。
 さっきのキスだって別に嫌でもないし…。
 どちらかといえば…。
 「違う!嬉しくないからっ!!!」
 思わず声に出したら隣からゆき~?と呼ぶ声が聞こえた。
 そそくさと着替えを済ませて窓を開け、隣に行く。
 DVD見るからだから!

 しかし落ち着かない。
 ソファに並んで座ってるけど。
 それっていつもの事なんだけど。
 それなのになんかそわそわしてしまう。
 なんで…?
 さっきキスなんかしたからだ。
 変に身体に熱が籠もってる。
 そういや全然ここしばらく自分でシてない…。
 どこかDVDにも集中できなくて気がそぞろだ。
 でも朝あった事を考えればそんな事自分でだってしたくもない。
 コイツもするの?
 思わず如は隣にいる敦の顔を見たら敦がじっと如を見てた。
 「な、何?」
 「いや、DVD見るのやめる?如、ほとんど見てないでしょ」
 「………ん」
 如は正直に頷いた。敦はずっと如を見ていたらしい。
 「気にすんな、って言っても無理だろうけどさ…」
 敦がリモコンでDVDを止めながら言う。
 「しかしクソ野朗だな……息抜きに明日どっか行く?連休ずっと家にいるのもちょっとじゃない?」
 「…だな」
 如は頷いた。
 
 夜ご飯の時間になって如は自分の部屋に帰る。
 ご飯食べてる最中に明日からいないからよろしくね~なんて明るく親に言われて、それは別にいいけれど。風呂入ってベッドに寝転んだ。
 朝のあの光景がどうしても目に浮かぶ。
 それと敦にされたキス。
 キスを思い出してしまうと顔が身体が熱を持つ。
 でも同時に朝の事を思い出して冷える。
 ずっとその繰り返し。
 「あ゛~~~!!もう!なんだよ…」
 がりっと頭をかいた。 
 目を閉じてもとてもじゃないが寝られそうにはない。
 「敦~、起きてる?」
 電気がついてるからまだ起きてると思うけど、窓を開けてそっと声をかけた。
 すぐに敦が顔を出した。
 「どした?……寝れねぇ、か?」
 「寝らんない」
 如が頷くと敦が来いよ、と窓を開けたので如は自分の部屋の電気を消して敦の部屋に渡った。
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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