40 如(YUKI)
やっぱり敦は分かってるんだ。
如が一人でいたくない事を。
だから敦から甘えるような言い方でそんな事を言うんだ。
そしてそれがわかって如が便乗する。
敦のほうが大人だ…。
キスされても嫌じゃないし、三浦くんに嫉妬まで覚えて…。
好き、なんだろう、か…?
境界線が分からない。
好き嫌いで言ったら敦を好きなのは当然だ。
でもそれは幼馴染として?
敦の好きは恋人とか…の…。
そんな事を思ったらますます顔が熱くなってくる。
恥ずかしくてトレパンを下げられないように押さえていた手を外し、自分の顔を隠した。
「ゆき?」
「なんでもねぇ!」
敦が声をかけてくるのにどう対処していいか分からなくなる。
「顔、見せて?」
「やだよっ!」
恥ずかしいっ!
…そういえば敦はこんな時でも余裕に見える。
はっとして如は手を避けて敦の顔をじっと見た。
「何?」
「……お前、……誰かと…した、コト、あん、の…?」
「ねぇよっ!!」
即座に帰ってきた返事に思わずほっとした。
なんだ、そっか、初めてか…。でも…余裕に見えるし…。
「……………ホントか?」
嘘ついてんじゃねぇのか?と訝しげに敦の顔を観察した。
敦がガクッとしてる。
「あのさ、俺、どんだけ信用ねぇの?」
「あ、いや…別に敦を疑ってるんじゃないけど…だってお前余裕に見える、し…」
「全然余裕なんてねぇよ」
じっと如を見てた敦が如の手を取って自分の胸に当てた。
「ぁ………」
敦の心臓がすっごいどきどきしてたのに顔がまた赤くなる。
あ、なんだ…そうなんだ、と如は目の前の敦をじっと見た。
こんなにどきどきしてんのが自分だけじゃないのか、と安心する。
高い鼻に茶色の髪でモデルみたいな敦なのに、それでも小さい頃から知ってる自分にこんなにどきどきしてるなんて可愛い、と思えてくるからやっぱり敦は特別だと思う。
「…分かった?まじで緊張してっけど?余裕なんかねぇし。でも酷くなんかぜったいしねぇから……いい…?」
敦の顔が焦燥に包まれているように見える。
「いいよ」
何がいい?のか、分からなかったけどとにかく敦に頷いた。
「ゆき…っ!」
敦の手が如のTシャツの中に入ってくる。
そしてトレパンを下げられて…。
「あっ!敦っ!…それ…っ!」
「させて?」
強烈な快感。
人の手なんて初めてだから…。
「敦、は…?お前、も……」
敦もした事ないって言ってたんだから。
敦が黙って服を脱ぎだした。
そういえばここしばらく敦の裸なんて見てなかった。
「………ムカつくっ!」
「はい?」
なんだその腹の腹筋はっ!
如のへなへなの身体とは大違いだ。
思わずじっくりと敦を見てしまう。まるで知らない奴を見てるようだ。
毎日会ってたけど、小さい頃から一緒だけど、裸のこんな敦は知らない。
中学の時はもっと華奢だったはず!
「如?」
自分の上に乗っかっているオスだ。
幼馴染の知ってる敦じゃない。
でも敦だ。
「わけわかんねぇ……」
「???」
ドキドキする。
見てられなくて、見ていたくて。
触って欲しくて欲しくない。
「ゆき……」
敦の声と息が熱い。
「ゆき…」
何度も何度も呼ばれた。
敦の手が如のものに伸ばされるの如も触ろうとしたらいい、と断られた。
敦の手が如の勃ちあがったものを擦る。
「ああっ!」
「ゆき、可愛い…」
キスされて人の手の快楽を知らない如はあっという間に欲を放出してしまう。
息が乱れて体が弛緩すると後ろに違和感を覚える。
「あ、つ…し……?」
如の放ったものを手に掬って後ろに敦の指を感じる。
「なに…して……」
する、のか…?される、のか…?
「あ、……」
ひくんと身体が震えた。
男同士がそこを使うのは知ってるけど、まさか自分が、なんて思った事などなかった。
「ゆき……」
敦の息が上がっている。
身体も熱い。
それは如も同じだ。
切羽詰った敦の顔。
見てられなくて、見られたくなくて如は腕を敦の首に回してぎゅっとつかまった。
「ゆき…」
敦が何度も何度も如を呼ぶ。
今まで日に何度も呼ばれてたけど、敦の如を呼ぶ声が切ないと感じたのは初めてだ。
「敦…」
「…ゆき、力、ぬいて…?」
「あ、ああぁっ!」
痛みと熱さに敦の背中に爪を立てる。
なんでこんな事許してる?
そんなの決まってるだろ…。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学