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副会長はいじっぱり 48

48   敦(ATSUSHI)


 そのまま大人しくなった三浦を連れて会長が帰っていくと敦と如もほっと一息ついた。
 「ほんと人騒がせだ」
 敦がごちると如も頷く。
 「如?横になっとく?」
 「ああ?別にいいよ。DVD見たい」
 「そう?」
 「ん」
 如が立ち上がってさっさと二階に上っていくのに苦笑して敦は後を着いていった。

 「如、寄りかかったら?」
 「ん」
 DVDをセットして二人掛けの安いソファに座り、如の身体を抱えるようにすると如は異を唱えず当然のように敦に身体を預けてくる。
 「…でけぇな」
 「あん?」
 如が敦を見上げながら面白くなさそうに呟いた。
 「…小さい時は可愛かったのに」
 「ごめんね?」
 敦はでかくなってよかった、と腕にすっぽりと入る如を抱きしめてしみじみ思った。
 年も学年もどうしたって追い抜けなくて、小さい頃は敦は平均よりも身長も下で如は大きい方だったのに、それが逆転したのが嬉しい。
 如にしたら面白くない事だろうけど。
 「全然ごめんなんて思ってもねぇくせに」
 「うん。思ってないけど。如は面白くないだろうから」
 「面白くないけど、謝られるのもムカつく」
 敦は思わず声を出して笑ってしまう。
 「でも相変わらず守ってくれてるけどね?」
 「あ?何を?」
 「だってほら髪がこれだからさ」
 「……ああ。そりゃ当然だ。俺は敦の髪綺麗で大好きだけどな」
 如が手を伸ばして敦の髪を摘む。
 「うん…。如がそう言ってくれるから俺も嫌いじゃないし。如が好きってずっと言ってくれたからね。よかったって思ってる。……それはいいんだけど!あのさ?如が俺の事好きなの髪だけ?」
 「いいや?目の色も好きだ。薄い茶色でちょっと青みかかってんのが」
 はぁ、と敦が溜息を吐き出した。
 「あのさ…違くて」
 くすっと如が意地悪そうに笑った。分かって言ってるんだ。
 「……意地わりぃな……」
 「ほら、始まるぞ?」
 如がテレビを向いた。
 
 如を抱っこしてる手でイタズラしてやろうか、とも思ったけどさすがに昨日のがイレギュラーなのは分かってるし、如からの言葉も聞けないのでこれは我慢するか、と敦は考える。
 如は拒絶はないみたいだけどこのままだったら絶対好きなんて言ってくれそうな雰囲気ではない。
 どうしたって一回位はちゃんと聞きたいと思ったっていいだろう。
 自分が我慢出来るかが一番の問題だけど。
 昨日は本当にシたんだと改めて腕にいるずっと好きだった幼馴染をじっと見た。
 イタしたけどもう夢中になっててよく覚えてない、のが本音だ。
 もう少しちゃんとゆっくりしてちゃんと見とけばよかったと思わず後悔がよぎる。
 そう思っても如の喘ぐ声と官能に満ちた顔はちゃんと覚えてて、それを思い出してきて思わず身体が疼いてくる。
 思い出すな、と思ったって次々脳裏に昨日の如がよぎった。
 ……どうしよう、困ったな、と敦が思ってると如が耳を赤くして振り返った。
 「………何考えてんだテメー」
 如も敦の身体の変化に気付いたらしい。
 「如、口悪~い」
 「敦しかいないんだからいいんだ!それより何考えてんだ!?ああ?」
 「え?昨日の如がエロかったなぁ…と」
 「ふ、ざけるなっ!」
 腕のなかにいた如にもすっかり敦が勃ち上がってしまったのが伝わってしまったらしい。
 「仕方ないでしょ。好きな人こうしてりゃそうなっても。ちゃんと我慢するから気にしないで?」
 「気にしないでって……っ!」
 かぁっと如が真っ赤になってる。
 キスしてぇ。でも我慢するか。
 如だってどう見たって敦の事は好きなはずだ。
 ただの幼馴染じゃもうないはず。
 なにしろ三浦にまで嫉妬したって言った位なんだから。
 「うん。気にしないで?ちゃんと我慢するし。如から好きだ、してっていうまで我慢する事にするから」
 「………は?」
 如が目を大きく見開いた。
 「何言ってんだ?」
 「前にも言っただろ?如から言って?あ!テストは別な?あれはちゃんと約束したんだから!満点だったら如を好きにしていい、な?まさか忘れてないよな…?」
 かぁっとますます如が赤くなっている。
 「だから!忘れてねぇって言ってるだろ!何度も念押しするなっ」
 「え~、だって如ってば言ってないとかいつも平気で言うし」
 「言わねぇっ!」
 ほんと真っ赤になって可愛い。
 ぎゅっと敦は如を腕に閉じ込めた。
 
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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