57 如(YUKI)
中学から…?
敦の言葉に如は驚いた。
だって中学ン時なんて如は何も考えてなかった。
「………お前、その…いつから……?俺を……」
俺を幼馴染じゃなく事好きなんだ?とは口に出来なくてしどろもどろになる。
「え?」
敦はきょとんとして考えてああ、と頷く。
「好きかって?う~ん……ずっと、かなぁ?だって一番初めに会った時女の子だと思ったし」
「はぁ!?」
「だって、引っ越してきましたよろしくね。名前はゆきちゃんだよって、普通女の子って思うじゃん。すぐになんかおかしいな、って思ったけど」
くすっと敦が笑うのに、まぁ、名前はそうだな、と如も納得する。
「ずっとゆきちゃんの方が身体も大きくて悔しかったんだけど。男の子って分かってからだってゆきちゃんはゆきちゃんだったし。いっつも如に泣きついて抱っこしてほしくててよしよしされたくて」
「……だってお前ちっさくて可愛かったもん」
「うん、そう如が思ってるの知ってたし。だから余計如の前で可愛くしてたもん」
確信犯か。
「中学から背伸びて如抜かしたときはもうこれで男だ~って思ってた」
「は?」
「は?でしょ?俺も自分でも意味わかんね、なんだけど」
敦も苦笑してる。
「なんか知らないけどね。そん時にはもう如の事は幼馴染じゃなくて好きだったし。全部如を独り占めしたかったくらいにね」
「そ…?」
「うん。だからいつって分かんねぇんだな…きっと最初から如だけ別だったんだと思うけど。一番初めに会った時にお嫁さんにする!って思ったし」
「ば……っ」
「だってちょーーー可愛かったんだもん!目くりくりで!」
「……それはお前の方だろう。俺はびっくりした!ふわふわの金髪で目の色も違うし、しかも人形みたいに綺麗で可愛くて。それが動いて日本語話すのにもう全部びっくりした。今でも衝撃的だったの覚えてる」
「金髪じゃないけど」
「そん時は俺がそう思ったの!そんで名前が敦にえ?ってなったけど」
如はクスと笑いながら手を伸ばして敦の髪を触った。
「綺麗で大好き」
「……今でも好きだよね」
「うん。陽に透けるとすっげ綺麗なんだぞ?キラキラに輝いて!それ見んの好き」
「…如が気に入ってるならいいけどね」
敦が額をこつんと合わせてきた。
「……キスしていい?」
「……我慢すんだろ?」
「できねぇもん」
そのまま唇を重ねてきて啄ばまれる。
昼間は我慢出来なくて自分からしてしまったけど。
だって敦は如のモノだから。
ずっとだ。
何度も唇を敦に軽く啄ばまれるのにぎゅっと心臓が苦しくなる。
「あつ、し…」
はっ、と如の息が漏れると今度は深く口付けてくる。
だめだ…。気持ちいい…。
敦のキスは最初から勿論嫌じゃなかったけど今は酔いそうな位によくて…。
舌が如の口腔に入ってきたのに自分からもそっと舌を差し出した。
「ゆ、きっ」
敦がぐっと腕に力を込めてさらに抱きしめてくると食べられるんじゃないかと思う位に敦がキスを貪る。
「如……だめだって…」
敦が顔を赤くして唇を離した。
「う~……シたい……」
如の首筋に顔を埋めて敦が呟いた。
……なんだ、それも我慢してるだけか?
もうしたくないのか、と思ってたけど違うらしい。
好き、したいって如から言って、と言ってたけど、ソレを待っているのか…?
「……我慢する、んだろ…?」
思わず憎まれ口が出てしまう。
「しますよ!如…早く言ってね?」
「無理」
「ゆきちゃ~ん…」
敦が泣きまねする。少し如がイライラした分我慢すればいい。
キスも我慢できなくて、伺ってキスする位ならきっとそのうちそれだって我慢できなくなるだろう。
…別に我慢しなくてもいいのに、と如が思ってるなんて内緒だ。
「敦」
「んん?」
何?と敦が顔を上げたところに軽くキスする。
「ゆ、ゆきちゃん!」
「じゃ、オヤスミ」
赤くなった顔を見られたくなくてすぽっと布団の中に入ると敦が如を呼んで身体を揺さぶる。
「如~~!生殺しだよ?キスもいいけど、ほら、ちょっと言葉つけようよ?」
「うるさい。寝る。オヤスミ」
布団の中で如はくすっと笑った。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学