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会長様は俺様閣下 17

17   翔太(SHOUTA)


 早っ!
 
 体育の時間は体力測定だった。
 50m走。そこでの柏木のタイムがすっげー早かった。
 「うわ~~~!すげ~~~っ!」
 並んでいた列に戻ってきた柏木に翔太は抱きついた。
 コイツにだったら何も意識もしないし平気でこういうことが出来る。
 「だからお前抱きつく相手ちげぇだろ」
 ばーか、って言いながらも柏木が翔太のくしゃっと頭を撫でた。
 やっぱコイツって絶対もてるよな、と確信してしまう。態度が柔らかだ。
 抱きつくのなんか何でもない事だと、和臣にあんな事を言われて当てつけじゃないけど、なんかちょっとそういう感じの所もあるかもしれない。
 何でもないのに…。
 
 そのあと柏木にその後どうだ?と聞かれた。
 あんまり根掘り葉掘りと柏木はあの告白の後も聞いてくることはなくて、でもさらりと翔太が話しやすいように促してくれる。
 コイツってやる事なすこと全部がスマートだ。
 勉強も出来るみたいだし、運動神経もよくてかっこよくてスマートで、優しくて…。
 完璧な野郎じゃないか。
 こんな奴なのに相手を口説き中って…。
 一体相手はさらにどんな完璧を求めてるんだろう?
 だれだってコイツに言い寄られれば嫌な気はしないと思うけど。
 
 もし和臣が柏木みたいだったら…?
 きっと柏木は相手に甘く囁いて甘えさせてくれるだろう。
 なんでもない翔太にさえこうだったら好きな相手だったらきっともっと。
 それを和臣に頭の中で変換してみる。
 無理無理無理無理!
 パニックなってるときとかだったら分かるけど、普段からなんて考えられない。
 だっていつも和臣はそんな柔らかい表情しないし。
 口調は命令、まではいかなくてもそれに近いものだし。
 気遣うとかないし。
 だって和臣は和臣だから、やっぱり柏木とは違う。

 なんで和臣がいいのかな?
 ぼうっとして考えた。
 一条の家の離れで和装で背筋伸ばして本を読んでる姿が好きだ。
 視線は翔太を見る事ないけれど、気配は分かっているのも分かる。
 部屋を出て行こうとすれば何処に行く?と必ず声がかかるから。
 その度にどきっとする。
 そしてちゃんと翔太がいるのを分かってると安心出来た。
 確かめるためにわざわざ部屋を出て行こうとしてるのかもしれない。
 そして結局ここにいろ、と言われて何するんでもないのに和臣と一緒の部屋にいてじっと和臣を見る。
 止まったような時間。それが好きだ。
 一条の家は庭は広いしまるで時代錯誤に感じるような家だから余計にそう思ってしまうのかもしれない。
 パニックしてるときは何をしていても翔太の所に来てくれる。
 いや、元の原因を作ったのが和臣なんだから当然だ、っていえば当然だけど…。
 でも本当どうにかしないと。
 高校になったのに恐くて一人でお風呂入れません、一人で寝られません、なんて恥かしすぎる。
 単純にそういう問題だけでもないんだけど…。
 和臣がいないと過呼吸になって死にそうになってしまうんだから。
 …重症だ。
 精神的になんだろうけれど。
 だから和臣がいれば安心で大丈夫だって思ってるんだけど。
 でも和臣は嫌じゃないのかな…?
 高校生のオトコに裸でしがみつかれるのって…。
 いっつも翔太はパニクってるからそんな意識なんてしないけど、後から考えれば顔から火が出るほど恥ずかしい事だとは思うんだけど。
 そして朝起きていっつも和臣の顔が目の前にあるのにどきっとする。
 ぽーっと見惚れる時もある。
 それはもう小さい頃からずっとだけど。
 なんでこんなに造作が違うかな?
 同じ人なはずなのに、鏡で自分の顔見ればがっくりしてしまう。
 どこが好きなんだろう?
 柏木のいいとこなら言えるのに。
 だって意地悪だし、断定的に言うし、勝手にキスしたりするし。
 したいから、なんて言うだけで。
 普通なら最低だ。
 でもそれなのに翔太はそれでもいい、と思ってしまうんだから…。
 優しいのはパニックの時だけだ。
 好きなの顔か…?
 自分のでっかい目と違う切れ長の目で凛とした雰囲気。落ち着きない自分と違いすぎる。背も違うし、並ぶと大人と子供みたいだ。1こしかちがわないのに。
 そういえばこの間なんて何もしなくていいまで言われて用なし扱い。
 そうだ…。忘れてた。そう言われたんだ…。
 その後も普通に毎日変わらずに布団上げ下げとかもしてたけど、そんな事しなくていいって言われたんだった。
 
 
 
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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