23 和臣(KAZUOMI)
「和臣…」
はっはっ、と浅く息を吐き出し身体の力が抜けてもたれかかってきた翔太の顔を見れば紅色に染まって扇情的だ。
なんだ、子供かと思ったけど色香もあるじゃないか、と和臣は満足する。
「お湯…やだよぉ…」
ぼたぼたと泣き出した翔太の身体を抱き上げてやって湯船から上がった。
のぼせ気味なのか翔太の身体はくたりとしてるけど、腕は和臣の首にしがみついてきた。顔を見られたくないだけだろう。
えくえくと泣いている翔太の身体を洗面所に運んだ。
「ほら、身体拭くから手を離せ」
バスマットは大きい。翔太がパニックになった時でも大丈夫なようにだ。
「なんで…?こんな…すんの……?」
「したいから」
「だから!なんで…」
腕をなかなか離さない。
「風邪をひくぞ。離しなさい」
少し強めに言えば翔太はそろそろと腕を外す。
まだ泣いていた。
泣き顔が可愛いからついいじめたくなるんだ。
「ほら、自分で拭けるか?」
翔太の身体にタオルをかけてやればのろのろと動き出したのにほっとする。
「お湯を抜いてくる」
「あ…」
「一瞬だ」
不安そうな翔太の顔。とにかく離れるのがダメなのだ。それに思わず和臣の顔が緩む。
栓を抜いてすぐに戻ると、身体を拭いていた翔太が和臣を見て固まっていた。
「どうした…?」
すると翔太の目がぐるぐると彷徨いだす。
「?」
倒れそうというのではないけれど、さらに顔を真っ赤にさせている。
ああ…。
「コレか?」
翔太は和臣の完全に勃ちあがったものを見たんだ。それで動揺してたのか。
「や…ちが…っ………」
ふるふると大きく頭を振ってくらりとよろめいている。
「バカ。何している。いいから早く拭いて服着ろ」
「だ、だ、だって……そ、れ……」
「気にするな」
「無理っ!なんでそんなデカイのっ!?」
「は?」
そういう問題じゃない。
「いいから」
まったく理性で折角留めているのに。
「なんで…たって、るの……?」
「お前がエロい顔したんだから当たり前だろう」
「え、え、エロ……」
ふっと翔太が倒れそうになる。
まったく。
「ほら、ちゃんとしろ」
身体を押さえてやってTシャツを頭から被せてやれば後は自分で動き出したので和臣も自分の身体を拭きはじめた。
「……なんで、そんな堂々としてんの…?」
「は?今更翔太に隠したって仕方ないだろうが」
「俺は恥ずかしいっ」
「全然。じゃあ一人で風呂入れば?」
「無理っ!!!」
そこは否定すんだ?和臣はぷっと思わず笑ってしまう。
「じゃあ、気にするな」
「それも無理っ!」
「どうしろってんだ?ったく」
さっと和臣が寝巻きを着れば翔太がほっとしたような表情を見せる。
それにかちんときた。
「無理なら一緒にいられないな」
「やだやだっ!和臣っ!」
泣き止んでいた翔太がまたぶわっと涙を溜めている。
「…嘘だ。ほら」
手を出してやればあんなコトをしたにも関わらず躊躇せず翔太は和臣の手を取った。
またぼたぼたとまた泣き出したのでタオルで顔を拭ってやる。
まったくどこの子供だ?
でもさっきのイった時とその後の翔太の顔はよかった。思わずそのまま貫こうかと一瞬不埒な思いがよぎってしまったほどだ。
まぁこれはこれで和臣しかいらないと言っているようなものだからいいのだが。
「翔太、輪姦すの意味は分かったか?」
「…え?」
「だから阿部が言った事。おまえのアソコに自分のモノをぶっさすって言ってるんだ。しかも輪姦すんだから一人じゃない、って事だ」
「か、か…和臣…」
また翔太が涙を溜めて、そして激しく頭を横に振っていた。
「死んだってやだ…」
「そうだろう。だから俺から離れるな」
「だって…学校じゃ…無理、だもん…」
確かに学年も違うしいつでも翔太を見ているのは難しい事だ。
さてどうしたらいいか…。
翔太が和臣の腕にぶら下がるようにしがみついてきた。普通の時だったらない事でよほど怖いのだろう。
翔太の柔らかな髪を撫でてやる。
和臣が拭いてやった髪の毛はもうすでに半渇きしていた。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学