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会長様は俺様閣下 27

27   翔太(SHOUTA)


 授業が終わるとおい、と柏木が話しかけてきた。
 「ん?何?」
 「行くぞ」
 「え?何処に?」
 柏木に腕を掴まれた。
 「何?何処行くの?」
 「生徒会室」
 「はぁ!?なんでよ!?俺行かねぇ!」
 「ダメ~~~~!」
 柏木ががっちり腕を掴んでて離さない。
 トントンと柏木が生徒会室のドアをノックしてドアを開ける。
 「隣が資料室だからそっちで待ってろ」
 「ういっす」
 和臣の言葉に柏木が頷いた。
 「やだよ!なんで生徒会室なんて!」
 「……何?」
 副会長も知らないらしい。怪訝な顔で和臣に問いただしている。
 でも柏木は全然気にしないで翔太の腕を引っ張って資料室に入った。
 
 「なんなの!?」
 仕方なく資料室の椅子に座った。
 「会長から聞いた。お前狙われてるって?」
 「………」
 思わず黙って俯いた。
 「…なんで、和臣が…」
 「いや、昼休みに図書館で如は3年のヤツに睨まれるはめになって会長んとこ行ったら、三浦もだって。ほんと三浦も如も大変」
 「別に俺は大丈夫だ」
 「大丈夫じゃないだろ。現に会長は心配してんだろ」
 知ってる。
 だから朝も一緒にって言ったんだ。
 「だから素直になれば?って言ってんだろ?」
 「だって!」
 「意地悪で優しくないって言ってるけど、そんなヤツがお前の心配するかよ?」
 そうだけど!
 「だって…」
 「お前、だって、ばっか。言い訳~~~」
 うっと言葉に詰まる。
 「……ムカツク」
 ふんと柏木が鼻で笑った。
 「だって…和臣は一条の後継者なんだ」
 「だから?別にそんなの言い訳。互いが好きならいいだろ。とりあえず今は。そんなの後の問題だ。後からどうなるかなんて誰も分かりゃしねぇだろうが。今好きだって何年後かには嫌いになってるかもしれねぇだろ?ま、俺はないけど」
 「俺だってない!」
 「じゃいいだろ。そんなの後の問題。つうかそれ三浦が考えても仕方ねぇだろ?どっちかって言ったら会長の問題だろうが」
 「ええと…」
 ああ、そういえば和臣の家にずっと一緒にいるって言ってなかったんだった。
 「いや、あのさ、実は俺和臣の家にいるんだよね」
 「は?」
 「前にいっただろ?お化けの話。そこからずっと和臣と一緒にいるんだ」
 「へぇ…そうなんだ?」
 「うん…。だからもう10年?だし。ずっと好きだし。でも一条の家の事も分かるから…」
 「なるほどね。でもやっぱそれ三浦が考える事じゃなくね?お前より会長の方がずっと頭いいし、切れるし」
 「そうだけどっ!!!分かってるけど!!柏木に言われるのムカツク!それに俺は好きだけど和臣はどうか知らねぇもんっ!」
 はぁ、と柏木が頭を抱えた。
 「お前、ほんとバカ。ちょっと会長に同情したくなっちゃった」
 「なんだよソレ!」
 「素直になれって言ってんのに!バーカ」
 「なんだよ~~~!」
 
 
 「柏木、終わったぞ」
 和臣がドアを開けて入ってきた。
 「やだよっ!」
 「三浦…」
 翔太は柏木の背中に張り付いた。その柏木の声が呆れてる。
 だって素直なんて無理だ!どうせバカです!!!
 その翔太がはっとした。
 和臣の周りの空気の温度がまた下がった。なんで?
 「翔太?」
 和臣がにっこりと笑って翔太を呼んだけど目が笑ってない。
 これはヤバイパターンな気がする。
 「カイチョー、じゃコレやる」
 柏木が翔太を無理やり離すとそのまま和臣に渡された。
 なんだよ!モノじゃねぇし!
 「ああ、ご苦労だった」
 当然の様に和臣が翔太の身体を捕まえた。
 「どういたしまして。じゃ、如、帰ろ」
 「え?あ、ああ…」
 二宮副会長は不思議そうだ。
 「柏木。明日の朝も二宮と一緒に来るのか?」
 「そのつもりだけど?」
 「…じゃあ俺も翔太を連れてくる」
 「……了解っす」
 「大丈夫!だか、ら…」
 「ダメだ」
 副会長が言ったのに二人が否定していた。
 そして和臣が頭を抱えて副会長と翔太を見た。
 「……………大変だよな」
 「…そっすね」
 和臣と柏木が頷いている。
 翔太は和臣の腕の中から副会長と視線を合わせた。
 大変?何が?
 「ま、仕方ないけどね。如、帰ろう?じゃ、失礼します」
 「ああ。じゃ、明日」
 和臣がひらひらと手を振っている。
 翔太は和臣の腕に抱かれるようにされて顔が真っ赤になっていた。 
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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