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会長様は俺様閣下 32

32   翔太(SHOUTA)


 今日は和臣に捕まって車に乗せられた。
 昨日柏木に一緒に行くって言ってたからさすがに今日は逃す気はなかったみたいで、翔太も大人しく車に乗るしかなかった。
 学校に着くと生徒の姿はまだないのでそこはほっとする。
 和臣は翔太が逃げるとでも思っているのか制服の衿を掴んでいた。
 いくら背も違うといったってそれってひどいと思うんだけど…。
 「和臣、離せよ」
 「柏木来るまでだめだ」
 なんでかしらないけど、柏木はよほど和臣に信頼されたらしい。
 珍しい事だ。
 会計と書記のヤツらが姿を見せ、和臣に挨拶すると、その和臣に捕まっている翔太を怪訝そうに見ている。
 きっとこいつらは和臣の信者みたいなものだから翔太の事をなんだコイツ位にしか思ってないだろう。
 その点副会長は和臣の信者というのとちょっと違う。
 「はよっす」
 柏木が副会長と来た。
 「柏木、じゃあコレを頼む」
 「コレってなんだよ!」
 俺は物か!昨日は優しかったと思ったらまた同じかよ!
 翔太は顔を真っ赤にして叫んだけど和臣も柏木も全然気にしない。
 その柏木は翔太の腕を掴んで副会長と耳打ちしながら何かを話している。
 その二人の雰囲気は和臣と翔太のものより雰囲気が柔らかな感じだ。
 なんか違う…。
 そんな翔太を柏木が見てその後和臣を見る。
 「昼休みどうしたら?」
 「生徒会室開けるからコレ連れて来て欲しい」
 「了解っす。じゃ如もカイチョーと一緒に生徒会室いて?」
 「……分かった」
 翔太の意思など関係なく物事が決められる。なんだよそれ?
 別に生徒会室行かなくていいだろうに!

 自分らの教室に行って窓際から下を眺めて柏木と話しながら時間を潰した。
 今日でこの朝の生徒会の服装チェックは終わりらしい。
 来週からは和臣も普通登校…。
 つう事は朝もしかして一緒…の可能性が高い。
 しかも今日みたいに早いならいいけどそうじゃないのにか。
 でもきっと翔太が逃げたって和臣に逃す気がなければ掴まるに決まっている。
 そういえばもうすぐゴールデンウィークだ。和臣は何も言ってなかったけどなにか用事あんのかな?
 窓から副会長の小さく手を振るカワイイ姿にああいう態度をすれば和臣も違うのかな?とちょっと反省する。
 でも翔太にはあんなカワイク出来そうにないとも思ってしまう。
 でも昨日は何となく和臣との間が違った感じがした。
 嬉しいが多かった。
 いつもああだといいのに。

 「なぁ!ケー番教えて?聞いてなかった!」
 休み時間に柏木に言うとそうだったな、と柏木も携帯を取り出してメアドも交換する。
 これで何かあったら柏木に相談すりゃいい!
 柏木に嬉しいって言えとか言われてその通りにしたら和臣が優しかったしコイツのいう事きいたらいいかも!と頼りにしてしまう。

 「おい、生徒会室行くぞ」
 昼休みに弁当を食べ終わったら柏木が翔太の腕を掴まえた。
 「別に俺行かなくていい」
 「ダメ。連れて来いって言われてるし」
 「なんで行かなきゃないんだ!?別にいいじゃんっ!」
 「よくない。だって俺は如と会いたいから」
 「はぁっ!?じゃ柏木だけ行けばいいだろ」
 「だからそれじゃお前一人になるからダメなんだろ。それに、お前って会長と会いたくないの?それで好き~?普通会いたいって思わねぇ?俺なんかずっと如といたいけど」
 だって別に帰れば一緒だし。
 そりゃちょっとは顔見たいとは思うけど、でもなんか素直になんてなかなかなれない。
 思わず大人しくなってしまう。
 柏木は翔太の腕を掴んだまま有無を言わせず生徒会室に連れて行った。
 生徒会室のドアをノックして柏木がドアを開ければすでに和臣と副会長がいた。
 「俺は別に来なくていいっていってるのにっ!」
 「ほんっときゃんきゃんうるせぇなっ」
 「ご苦労」
 和臣が笑って答えてるのにかちんときた。なんだよ!別に俺は和臣の物でもなんでもねぇのに!和臣にムカついて柏木の腹にしがみついた。
 「翔太?」 
 にっり笑ってる和臣の顔が怖い。
 あれ?またなんか怒らせた?
 「三浦?離れろ。離さねぇとばらすぞ?」
 柏木がそんな事を言うのに慌てて翔太は離れた。
 さんざん柏木には相手が和臣と知られないと思って色々な事を言っていたのでそれはかなり、ひじょーにマズイ事だ。
 弱みを柏木に握られているかもしれない…。
  
  

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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