53 翔太(SHOUTA)
和臣がキスしてきた。
待ちきれないと言っているような性急で貪られるようなそれにちょっと安心してしまう。
どれだけ自分は不安なんだろう…?
とにかくもう、ちょっとでも離れたら不安になるかもしれない。
言葉を貰って満足感、充足感も半端ないけど、その反対の事を考えると今まで以上に恐ろしく感じてしまうのはどうしてだろう?
今だって別に和臣は意地悪をしたんでもなんでもないのに。
むしろ翔太の言ったことを優先してくれたのにそれが不安って…。
それなのにこうしてキスしてれば抱きついていれば、肌や体温を感じられればもうそれで満足する。
ぎゅうっと思い切り和臣にしがみつく。
「和臣……あっ!な、…っ!」
乳首をつままれて思わず声が出た。
するとくすっと意地悪そうに和臣が笑う。
「声はいくらでも出していいからな?」
「こ、声!?」
「そう。聞いているのは俺だけだし」
和臣が楽しそうに翔太の首にキスしてきゅっと強く吸い上げた。
「ぁっ…」
ぞくっと背中に何かが走る。
元々着崩れてる寝巻きの裾を割って和臣の手が翔太に触れた。
和臣が用意してたのは寝巻きだけでパンツがないのに心許なかったけど!やっぱり自分の部屋行って穿いてくりゃよかったと後悔する。
「…感じてるんだ?お前はエロくないんじゃないのか?」
「そ、そんな事言ったって!」
触られたら感じるの当たり前だ!
「べ、別に俺、エロくないって、言ってない…!」
「男同士のも知らなかった位だ。ま、エロくはないな。……自分でした事あんのか?」
「そ、そ、そん、な…!」
聞くか!?普通!
アワアワと翔太は口をぱくぱくさせた。
「一応はあるけど、そんなに、って位か」
和臣は翔太の答えを正確に判断する。
「一緒に風呂入ってもお前は全然勃たないし全然俺の事なんかただのお守り代わりみたいなもんかと思ってるんだと思ってたが…」
くすと笑いながらキスされればびくんと翔太の身体が震える。
「だって……そん時、俺普通じゃない、時だもん…」
「まぁ、そうだけど…。朝だってぴったりくっ付いててもなんて事ないから」
そんな意識はした事はなかった。
だって、好きは好きだけど、子供の頃から一緒だったから…。
「まぁ、こうして感じてるのが分かれば安心したが」
そう、なの…?じゃあ和臣は…?
翔太は和臣の首から片腕を外してそっと寝巻きの上から和臣に触ってみる。だって!きっと!和臣もパンツ穿いてない!…多分。
寝巻きの上からでも和臣のそれにびっくりして思わず翔太はすぐ手を退けた。
「か、ず……っ!」
大きいし熱い!もうすっかり大きくなってる!
「ん?なんだ?触ってくれるんじゃないのか?」
にやりと笑う顔がちょっと怖い。
「ま、今日はいいけど。そのうちな?」
今日はいいけど?そのうち?
和臣の言葉に頭の中がぐるぐるしてくる。
「み、水…ほし…」
「後で持ってきてやる」
ぴしゃりと言われて逃げようがなくなった。
「ひゃっ…」
和臣の手が翔太自身を捕らえて和臣の手に包まれればもうどうしようもない。
どうしたらいいの…?
「…つかまってろ」
和臣の声に翔太は首にもう一度腕を伸ばしてぎゅっとしがみついた。
される、んだ…?
和臣にしがみついてると和臣が耳や首あたりにキスしてくるのにぞくぞくとまた身体が悶えそうになる。
そして和臣の手が翔太の前も後ろも弄ってくるのに神経がどこに集中していいか分からなくなる。
いいけど!
「和臣…のあんなの……入るはずねぇ…」
アレは無理だろ!絶対!
後ろに入れるって…どうやって!?入るとこじゃねぇもん!
「大丈夫だ」
くっと笑って和臣が言い切る。だからその自信はどっからくんだ?
「あっ!」
和臣の指が中に入ってくるのにさらにしがみつく。
「和臣ぃ」
「大丈夫だから。……多分」
多分~~~~!?ホントかよ~~…
でももう何も言えない。
時間をかけて和臣に弄られるのに気がおかしくなりそうだった。もういいからと何度も訴えて。でも和臣は離してくれなくて。それでもいいんだからやっぱり好きなんだと思う。
何度も和臣に吐精させられて何も考えられなくなった頃に和臣がゆっくり翔太の中に入ってきた。
絶対無理だと思ったけど!
実際身体が裂かれたんじゃないかと思う位だったけど!それでも拒絶はなかった。
だって和臣だったから。
テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学