54 和臣(KAZUOMI)
長い時間をかけ翔太のいいように何度もイかせて。
自分の手の中で身体を震わせて達く翔太に心が乱舞した。
子供な翔太だけど、寝巻きをはだけて体を震わせ肌を上気させながら達く姿にもう我慢はとうに超えていた。
見てるだけでもイイが、もう自身ははやく中に入れろと訴えている。
翔太の浅い息遣いもさらに官能を刺激する。
押し殺した声もいい。
とにかくどこもかしこもイイ。
こんなに自分が他人を思うなんて本当に自分で驚きだ。
舌足らずな口調で名前を呼ばれればもうどうしようもない焦燥感にかられる。
計算してるのか?と思わず思ってしまう位にどれもが和臣の琴線に触れてくるが翔太は無意識だ。
自分の腕の中にいる。やっと掴まえた。
今までだってずっと翔太は和臣のものだったけれど、これで本当に手に入れる事が出来る。
昨日は泣かれてそんなに嫌なのかと愕然としたけれどそうではなかった。
好きだと言われて今まで味わった事のない幸福感に包まれた。
和臣の感情を揺さぶるのは全部翔太だけ。
…どうして?
そんなの知らない。翔太だからだ。
翔太の中に埋めるべく滾った自身を当てた。
「あっ……や……っ!」
ひくっと翔太の身体が跳ねる。
ゆっくりと身体を進めていくと翔太がぎゅうぎゅうとしがみついてくる。
それにまた心が歓喜するんだ。
「翔太…お前だけだぞ?俺を動揺させるのは」
心が動くのは翔太にだけだ。
「和臣ぃ…」
翔太のまなじりにつっと涙が伝うのを舌で掬う。
「好き…だよ?…あ、ぅ……」
小さく囁かれた声にぐっとまた自分がはち切れそうに膨張すると翔太が嬌声をあげた。
煽ってるのか?まったく翻弄される。
「お前にこうしていいのは俺だけだ」
「んっ!つうか!…そんなの…和臣、以外…死んだってやだ、もん…」
「当然だ。それから柏木に抱きつくのもダメだぞ?二宮だって面白くないだろう?」
「え…?」
「俺が他の誰かに抱きつかれてもお前はいいのか?」
「…や…だ……!ぁ…っ」
ゆっくり翔太の中に押し進んでいく。
「…力抜け」
「無理ぃ!いたいっ!」
…と言われてももう限界は越えてるから戻すことなんて出来ない。
少しでも楽になればと翔太の腰を持ち上げた。
「やっ!」
翔太が腕で自分の顔を隠した。
「…もう止められないぞ…?」
「やめ、なくて…いい、もんっ!」
浅く息を繰り返しながらも訴える翔太にぐっと中にさらに熱を穿っていく。
「あ、ああぁっ!」
翔太が声を大きく上げるがもう和臣自身が保てそうにない。
ゆっくりと翔太の身体を揺すり始める。
思い切り腰を動かしたいところだが…さすがにそれは可愛そうだ。
しかし中に納まっただけでもう和臣の限界は近い。とはいっても一度だけで済ませる気はないが。
「かず、おみぃ…」
翔太が手を伸ばしてきたのに身体を倒して背を抱きしめれば翔太も和臣の背中に腕を回してきた。
ぎっと背にわずかな痛みが走る。
翔太が苦しくて痛くて爪を立てたのか。
そんなのいくらでもしていい。
「動いていいか?」
聞けば翔太がこくこくと小さく何度も頷く。
小さな律動を加えながら翔太にキスすると口の中に翔太の声が漏れてくる。
声をあげさせているのは自分。
それに満足し、そして大きく腰を打ち付けるように動くと翔太の腰が跳ね上がる。
翔太の全部は和臣のものだ。
こんなに自己顕示欲が湧くのも翔太にだけ。
自分で自分がおかしいのではないかと思えてくる位の焦燥感に満足感、充足感、それでも足りないと感じる反対の思い。
その思いを受け止めるのも翔太だけだ。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学