59 翔太(SHOUTA)
そのまま帰って、その間に家政婦さんが急遽用意してくれたご飯を食べて和臣と離れに戻ってくる。
「和臣」
それにほっとして。
ずっといてくれる一臣に安心して。
助けてくれた和臣に感謝とそして申し訳ないという思いとが入り混じる。
「来い」
和臣が翔太を抱えるように抱き自分の部屋に連れて行った。
「風呂はあとだ。なんでついていった!?俺はお前にも怒っているぞ」
「だって!和臣の事ばらすって言うし!そうだ!ここ、こんなとこに…」
和臣の手が翔太の上着を脱がせ、ネクタイを外し、シャツのボタンを外していくその首を指差した。
「あ?キスマークがなに?」
「なに!じゃねぇよっ!恥ずかしいからつけるな!」
「……いつも見えるところには一箇所にしかつけてないだろ」
「一箇所もつけるな!」
そういや、いつやら項にもつけられてて柏木にも言われたっけ。
「恥ずかしいっ!それにこれで…」
「ああ…ばらすって?別にいいのに。そんなの」
「そんなのじゃないだろ」
和臣のシャツのボタンを外す手は止まらないし、続いてズボンにも手がかかる。
「そんなの、だ。ばれたとしたって誰も俺に面と向かって問うてくるようなヤツはいない」
傲然と言い放つ和臣に翔太は呆れる。
「お前が嫌だろうと思ってるから表に出さないだけだ。学校でだってどこだって俺は別に気にしない」
「俺は気にするっ」
「だから、表には出してないだろ」
そうだろうか…?翔太は首を捻った。
「え、と…和臣?なんで全部脱がして…」
着替えかと思ったらそのまま敷かれた布団に寝かせられ、キスされた。
その間に今度は和臣が脱いでいる。
「阿部に腕掴まれた消毒」
だってそんなの!肌触られたわけでもないのに!
そう思ったって和臣に触られれば身体は溶けそうになってくる。
「ほら、もう感じてきてるし?」
勃ちあがってきた翔太を触られて翔太は顔を真っ赤にした。
だってそんなの当たり前だ。
こうなったら和臣は止められなくて、そして翔太だって和臣と離れたくはないので首に手をまわした。
「和臣…ありがと…」
耳元に小さく囁いてちゅっとキスする。
助けてくれるのはやっぱり和臣だ。
「当然だな。…当然だけど、あの場でどれだけ焦ったと思ってる?まったく、そっちのほうがよほど醜聞だ」
…そうなの…?
「ごめん」
「自覚しろ。お前に何かあった時の方がよほど俺はおかしくなるんだから」
和臣の手がすぐに翔太の後ろに伸ばされる。
もう何度もされていて、すでにそこは和臣を待っているように思えてくる。
痛いだけだったのがここ最近はそれだけじゃなくなっている。
「っ…!」
「…最近はいいようだな?」
「言うなっ!よ…っ!」
しっかり和臣も分かっているらしいのが恥ずかしい。
「なんで?いいことだろ。お前も感じるならそれにこしたことない。ここらへんがイイんだよな?」
「あ、ああっ!」
和臣の指が翔太の中の一箇所を引っかくように刺激するとびくんと翔太の身体が跳ねた。
強烈な疼きが身体を包む。
「柔らかくなってきてるし…すぐ入れてもいい感じだ…」
和臣の指が動くのを身体で受け止める。
「ん?どうした…?」
翔太の気持ちイイ感じる所をわざと避けるように刺激を繰り返す和臣を赤く染まった眦で翔太は睨んだ。
「意地悪ぃっ!」
「なにが?」
和臣の顔がにやにやと笑っている。
絶対確信してやってるのは分かってる。
「弄って欲しいのか?ココ?」
「ああっ!」
びくんと翔太の背中が反った。
「……イイ、だろ?」
和臣が楽しそうに笑った。
「ちゃんと言え?分からないぞ?」
そ、んな…の!
「入れて欲しくなったら入れてって言えよ?」
だから、そんな事!
散々焦らされて焦らされて、イくのもいい所で止められて身体がおかしくなりそうになる。
「まだ入れなくていいのか…?」
「や…!い、れ……て…」
「いいとも」
満足そうな和臣の声。本当に意地悪ぃ!
「あ、ああ……っっ!」
和臣が中に入ってくる時はいつでも違和感があるけど、でも繋がっていると安心もしてしまう。
「…すぐ出そうだ……」
和臣の声にも余裕がない。それが嬉しく思った。
身体を何度も揺さぶられる。汗ばんだ和臣の身体、熱い息、どれも恥ずかしいけれど嬉しくて。
奥に穿たれ和臣が精を吐き出すのに翔太もやっと欲を放つことが出来た。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学