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熱視線 狂詩曲~ラプソディ~7

 「お邪魔します」
 タイトル付けに思わず間がかかったけどそれを終えて、夜ご飯用意を手伝って、食べて、シャワーして、ベッドに登った。
 なんか照れる。
 そう思ってるのは明羅だけだろうけど。
 「明日早くに生方が来る予定だからもう寝るぞ」
 「ん…」

 楽しみってなんだろう?
 怜さんの腕が明羅の身体に回ってきたのにどきりとした。
 どうしてこういうことするのかな…。
 変だと思わないのかな…。
 明羅は嬉しいだけだけど。でももっとして欲しい。
 怜の体温にもっとくっ付きたくて。
 明羅はぎゅっと怜のTシャツを掴んだ。
 怜さんの香りだ。
 でもやっぱりそれだけで…。
 物足りない、と思ってしまって明羅は自分で慌てる。
 こうしていられるだけでも十分…。
 キスは試しただけだった、のかな…?
 違和感がない、とか言ってたし。
 怜さん、と明羅は呼びたかったけど呼べなくて、怜も何も喋らないで、明羅はそのまま温もりに安心して眠ってしまった。



 寒い… 
 ふる、と身体が震えて明羅は目が覚めた。すでに外は明るくなっていて朝なんだと気付く。もう真夏は過ぎて昨夜はクーラーが利きすぎたらしい。
 ベッドに明羅は一人だった。
 怜さんがいない…。
 はっとして起き上がると怜が部屋に入ってきた。
 「お、はよ…」
 「目覚めてたか?」
 朝シャワーしてきたらしく上半身裸で髪が濡れている。
 どう、したのかな…?
 「着替えて来い」
 怜の言葉に明羅は頷いてベッドを降りた。

 明羅は役に立たないのに一緒にキッチンに立つ。
 怜は明羅の出来そうな事をさせてくれるんだ。
 一緒にご飯を食べて、すぐ目の前に怜がいるのに明羅の顔はどうしても緩んでしまう。
 「コーヒーいれるね」
 「ああ。もうすぐ生方もくるだろうからヤツの分もいれとけ」
 「うん」

 「おはよう!明羅くん」
 「…はようございます」
 テンション高く生方が登場したのに明羅はなんとなく敬遠したくなる。
 「明羅、コーヒー」
 明羅は頷いてキッチンにいってコーヒーを入れてくる。
 「ブラック、でいいのかな…?」
 「いい。コイツもてなす必要ないから」
 コーヒーをテーブルに置いて明羅は普通に怜の隣に座る。生方は向かい側だ。
 何だろう?

 「で?どっちを先にする?」
 生方が怜に向かって口を開いた。
 「CDだな」
 ん?んん…?

 明羅は怜と生方を見比べた。
 生方は怜の同級生でお父さんの会社が企画会社らしく、それでずっと怜のサポートをやっているらしい。
 「何月?」
 「それは任せる。ただ、早めに、だな」
 「了解。じゃそれに合わせてコンサートも」
 「ああ」
 明羅は怜のTシャツをぐいっと引っ張った。

 「れ、怜さん……!?」
 「何?」
 にやりと怜が笑った。
 「…CD?…コンサート??」
 「そ」
 「れ、怜さん…が…?」
 「おま、今ここで他に誰がいる?」
 呆れたように怜が言った。
 「だって、……」
 いつも、年1回で…。
 「CDはオール桐生 明羅だ」

 「……………は?」
 「だからもうちょい曲作れ」
 「ちょ、ちょ、ちょ、…っと……何言ってるの???」
 「何って?」
 「じょ、冗談…でしょ?」
 「真面目だけど?ソナタ発表していいってお前言っただろ?俺の自由でいいって」
 「言ったよ!言ったけど……」
 「テレビのCMに使われてたのも入れる。いいか?」
 「いいけど…。じゃなくて!」

 いったいナニを言ってるんだろう??
 明羅の頭の中はかなりパニックを起こしていた。
 放心してしまった明羅をよそに怜と生方が録音をいつするかとか色々決めていくのにも明羅は参加できない。
 「お前学校でなんか行事とかはないのか?」
 「別にない、と思うけど…。あったって出なくていいし…」
 「適当に日程決めてもいいのか?」
 「いいよ…」
 何も考えられない。
 真っ白だ。
 CD?
 コンサート?
 オール桐生 明羅??

 一体怜さんに何事が起きてしまったのだろう?
 明羅は呆然として怜を見て、生方を見た。
 「お前は曲作り。それと全部俺に付き合え」
 「は、はい??」
 「音の収録から全部だ。お前のOKが出なけりゃ話はなし」
 「な、なんで!?」
 「当たり前だ。お前が作曲家様だから。それに俺の音を全部分かってるのもお前だから」
 明羅はパニックのままただこくこくと頷いた。
 

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