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熱視線 狂詩曲~ラプソディ~9

 怜がいなかった時間はあんなに長かったのに、一緒にいると怜との時間は短すぎて。
 あっという間に時間が去っていってしまう。
 また夜。
 怜の腕は明羅の身体にあるけど、明日の夜は家に帰らなきゃいけないだろうから明日の夜には隣に怜がいない。
 怜は明羅をただの抱き枕にしてるのかもしれないけれど…。

 ただ一緒にいられるだけでいい。
 キスしてほしいなんて我儘言わないから…。
 
 前は音が欲しくて欲しくて仕方なかったのに今は違う。
 どうしよう…。
 怜の明羅の身体に回っている手がそろりと動いたのに明羅はびくっと身体が反応した。
 「明羅?」
 怜の手が明羅から離れようとした。
 「寝られないか?」
 もう電気は消していた。
 手を離さないで欲しくて明羅は思わず怜の腕に抱きついた。
 「…なんだ?」
 くっと怜の笑った雰囲気が届いて、そして怜が明羅の身体を抱き寄せてくれた。
 「寝ろ」
 「ん…」
 どうしよう、だめだ。
 離れたくなくて、もっと欲しくて。
 怜の片手が明羅を抱きしめて、片手が頭を撫でてくれるのにあやされて明羅の瞼は閉じていった。



 はっと目を覚ましたら朝で、今日帰らなくちゃいけないんだと思ったら起きたくなくなった。
 明羅は怜に背を向けているが怜の身体が明羅に張り付いて、腕がやっぱり明羅のお腹を抱えていた。
 もぞ、と明羅が身体を動かしたら怜の腕に力が入ってさらにぎゅっと抱きしめられた。
 「あ…」
 それに明羅はかっと反応して熱が下半身に集まった。
 やばい…。
 どうしよう…。
 違うから。朝だから。気付かないで。
 明羅は元々そんなに自慰もしない。なんとなく罪悪感に苛まれるような気がして滅多にそんな気分にはならない。
 けど…。
 怜の腕が明羅を捕らえてるし、怜の顔が明羅の首の後ろ辺りにあって息がかかっているのに、さらに神経が集中してしまう。
 やだ、どうしよう…。
 もぞ、と落ち着かなげに身じろぎした。

 「…ん…明羅…?」
 怜の声が聞こえてさらに動揺してしまう。
 どうしよう、寝た振りする…?
 でも怜の声に思わずひくんと身体が震えてしまった。
 だって低い声が掠れて耳元に聞こえて…耳まで熱くなった。
 「起きてんだろ…?どうした?」
 「やぁ…」
 さらにぎゅっと怜の腕に引き寄せられたのに恐くなる。
 「な……?ああ……」 
 怜が気付いたらしくて納得してるのが恥かしい。明羅は身体を丸めた。
 怜の手が明羅のハーフパンツに手をかけた。
 「や、怜さんっ…なに…」

 「ん?出してやるから」
 出、出し……っ!
 後ろから怜の手が明羅のハーフパンツの中に滑り込んできた。
 「怜さんっ…や…だめ…」
 「いいよ」
 よくないっ!
 「あ、っ…」
 怜の手が珍しく熱くなっている明羅のそれに触れた。
 「お前性欲うすい?夏休み中全然だったよな」
 「そ、そんな……」
 なに、言って…!?
 「あ……」
 怜の大きい手がそこを包んでゆっくりと動かし始めた。
 嘘だ!
 「や、だ…よ……」
 「なんで?俺に触られるのがやだ?」
 明羅はふるふると首を振った。
 「じゃ、いいじゃん」
 自分では味わうことのない快感が明羅の身体を襲う。

 そんな事されたら。
 だって怜さんの手が自分の…。
 「あ、ん……や……だ……」
 「いいって」
 「やだ…すぐ、出ちゃうからっ…」
 だってあまりにも気持ちよすぎる。
 「出していいから」
 そしたら怜さんの手を汚しちゃうよ。
 でも言えなくて。
 激しく上下に扱かれて、自分でも滅多にしない明羅には刺激が強すぎて…。
 しかもそれを与えているのは怜の手なのだ。
 「や…出ちゃうから…出ちゃう…よ…」
 「出して?…明羅」
 怜が明羅の耳元で囁いて、そして明羅の耳を食んだ。

 「ああっ……!」
 その瞬間にどくどくと怜の手に熱い熱が放たれてしまった。
 「やだぁ……」
 泣きたくなってくる。なんで…こんな…。
 最後まで搾り出すようにしてから怜の手が明羅のそれを離れる。
 「…可愛すぎる…」
 怜が明羅の耳元に囁いたのに思わず明羅は後ろを振り向いた。
 「やっ!!れ、怜さんっ…な、な…」
 怜が手についた明羅の出したものを舌で舐めてた。
 「だめっ!!き、汚いっ…よっ…」
 慌てて怜の手を押さえた。
 「汚くないけど?」
 明羅は起き上がって急いでティッシュを手に怜の手を拭く。
 「ごめんなさい…うぅ…」
 「なんでお前が謝る?」
 「だって怜さん、の手…に…」
 信じられない。
 「俺からしたのに」
 くすと怜が笑って、そして明羅にちょんとキスした。
 「やっぱ可愛いな、お前」
 明羅は真っ白になって固まった。
 
 

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