「莉、央…」
何度も名前を呼んだ。
「綾世さん…綾世……」
呼び捨てにされてぞくんとまた綾世の身体が反応した。名前で呼ばれるなんてしばらくなかった事だ。それなのに莉央は普通に名前で呼ぶ。
莉央の何も着ていない肌に手を触れればそれだけで気持ちいい。
人肌が温かい。
「あっ……」
莉央の手が綾世のすでにイきたがって勃ちあがっているものに触れた。
「莉央……ヤ、じゃない…か…?」
女の身体じゃない。莉央の片方の手の指が柔らかい感触もない綾世の胸の上を弄っている。
「全然。嫌なんてないですよ。いい事してあげます」
「…え?」
いい事?
莉央が身体をずらしていくと綾世のものを口に含んだ。
「や!ダメ…だっ!」
「ダメじゃないです。綾世さんのいいようにしてやりたい…。全部。……いいとこ言って下さい。全部飲み込んでるもの出していいから」
強烈な快感が綾世を襲った。
「あ、ぁ……っ!」
莉央の口と擦る手が動く。
びくと身体が跳ねて背が仰け反る。
「だ、め……離、せ…」
「これはダメじゃないでしょ?イイって言うんですよ?…それともほんとによくない、ですか…?」
よすぎるからダメなんだ…っ!
「じゃいいんですよ…」
声に出していないはずなのに莉央には綾世の声が聞こえるらしい。
喘ぎ声しか出ていないのに莉央はちゃんと綾世のイイところを攻めてくる。
「裏筋舐められるのいいでしょ?」
「…言う、なっ……は、ぁ……んッ!や、ダメだ…出、る…っ!」
「いいですよ?出して?いっぱい感じていいから…」
強く握られ擦られ舐められればもつはずなどない。
さらに莉央の指は後孔にも伸ばされ指を穿たれている。
「感じてるんですよね?ぎゅうぎゅうに指しめつけてきますよ…?」
そんな事言うなっ!
「だって綾世さんが感じてるの嬉しいですもん…」
「だめだっ!出る…はな……あ、あぁぁっ!」
さらに莉央の舌が先を刺激して手を動かされれば、びくびくっと綾世は身体を震わせて欲望を吐き出してしまった。
「莉央っ!」
荒い息のまま綾世は慌てて頭を上げると莉央と目が合う。
「うん?なんです?」
その莉央が口端を拭ってる。
「…………なん、……?」
イくとき莉央は綾世を口に……って事は…?
だらだらと綾世は冷や汗が流れる。
「ひ、ぁっ!」
綾世の中に入ったままだった莉央の指がくいと曲がって刺激されたのに声が漏れた。
「あっ……莉、央っ……や……」
さらに指が増えたのを感じた。
「や、じゃないでしょ。綾世さん…」
そう、嫌なんかじゃない。待っているんだ。
莉央が欲しい…。
「っ…!」
莉央は黙って指を引き抜くと自分の猛った所を綾世にあてがってきて、ゆっくりと中に押し入ってくる。
「は……っ…!」
「…綾世さん…力抜いて…?」
「んっ!……」
分かってる…けど…。
「綾世さん…」
莉央がキスしてきたのに綾世も夢中でそれに応えた。
莉央の腕が綾世の身体を抱きしめてくれている。肌が合わされているのが気持ちいい。
「あ…ぅん……莉、央…」
「うん……綾世さん…俺、入ってるの、分かります…?」
分かるに、決まってるっ!
「あ、あ…動く、な…」
「無理ですよぉ…。気持ちいいから…」
莉央の声が耳に響く。どれも夢の様な感じだ。
そういえば最初にされた時も夢だと思ったんだった。
ゆるやかに莉央が腰を動かすのに綾世の身体も揺れてしまう。
ああ、もっと……。
「…分かってますよ…?ココでしょ?綾世さんのいいトコ…」
「ああッ!」
ぐいと莉央に衝かれて綾世は顎を仰け反らせた。
「いっぱいこれから愛してあげます…いくらでも…。夜もずっと一緒にいますから…」
本当、だろうか…?
だって綾世はなりは昔から女っぽいとか言われ続けていたけれどそれでも女ではない。
莉央だって元々男が好きなんじゃない。
それなのに…?
思い出してみろ。ダメだろう…?
やっぱりいつか自分は捨てられるはず。
でも、今…莉央が欲しい、と思ってしまっている。
バカだ…。
始めから警鐘が鳴っていたのに、それでも止められなかった自分が悪いんだ。
もう、遅い…。
「綾世さん…」
莉央が激しく腰を打ちつけてくるのに綾世のあげる甘い声はもう留められない。
ぎゅうっと綾世は莉央の首にしがみついた。
離したくない…この腕を…。
「綾世さん、イきますよ…?」
「んっ!……イく……っ!!」
ぎゅうっと中を締め付けると莉央が短い声を上げて汗ばんだ身体を震わせた。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学