莉央はいつだって丁寧にしてくれる。
乱暴にも無理にも一つもない。
綾世のいいようにとしてくれているのが分かる。
手も優しい。キスも。
言葉も。
でもたまに意地悪く恥ずかしい事も聞いてきたりするけど。
セックスするのだってこんなに気持ちいいなんて知らなかった。
いつも莉央が入ってくると満たされる、と感じる。
次の日だって身体がだるくて重いくらいで別にそこまでひどいってほどでもない。
…普通だったらだけど。
土曜日の夜はいつも何回も何回もされてしまって日曜はそれこそ動くのも辛い位だけど。
自分から、なんて。こんなに浅ましいのに莉央は嬉しいと言うんだ。
もう莉央がいない事を考えられない。
それでいいのか…?
自分はいいけど、莉央が、だ。
だって彼女と本当は住む事を考えてた、という位なんだから。
それでもそんな事言えない。
自分がこの腕を離したくないから。
「莉、央…」
「…欲しい?言って下さい。もっと…。俺、俺だけ欲しがってるのかと…。綾世さんから積極的にがなかったから…」
「そんな、……」
「うん…。何でも言って?俺も言うから…。それでいいときはいい、ダメなときはダメ。それもちゃんと言いましょ?エッチに限らず全部。後なんか我慢してるとかないですか…?」
莉央の指が綾世の後ろを執拗に弄っている。
「や……!もう…」
疼く。
早く欲しい。
感じたい。
「だめ。ちゃんとほぐした方綾世さんの負担少ないでしょ?ゆっくりしますから…。いっつも俺、綾世さん欲しくてがっついてるから」
「……いい、のに…」
そんなに丁寧に扱わなくてもいいのに。
「ダメ。大事だって言ったでしょう?なんかね…ほんと、自分が信じられない位綾世さんの事大事なんです…」
莉央がキスしながら囁く。その声にもぞくぞくと肌が粟立つ。
「僕も……。莉央が…いないの、もう…考えられ、ない…。いつも迷惑、かけてるけど…」
「迷惑なんかないです…。そういう事考えるのは禁止。俺がしたいからするんです。それに綾世さんだって俺の弁当とか。いっつも昼楽しみですもん。自分で作ってってなんか虚しかったけど、それだけで幸せですから…。分かんないんだろうなぁ……」
「分かる…。僕だって…莉央の…楽しみにしてるし…美味しいから…」
自分で作ったのは美味しい、とあんまり感じないけれど、莉央のだったらそう感じる。
「うん…人においしいって言ってもらえるのって嬉しいすよね。だから綾世さんがお店楽しいの分かります。ただ俺は続けられなかったけど、でもその分綾世さんが言ってくれるからそれで満足。…綾世さん、も、いい?」
イヤラシイ声が上がるのを必死に我慢してた綾世はこくこくと頷く。
「声、出していいですよ?綾世さんのイイ声聞きたい……綾世…」
「ぁっ…」
莉央はたまに呼び捨てにしてくる。
それに綾世はぞくっと感じて思わず声が漏れてしまう。
莉央が入ってくると圧迫感と一緒に充足感が綾世を包む。
精神的に満足しているとこう感じるのか?
いや、きっと莉央だからだ。
莉央の腕が綾世の身体をぐっと抱きしめている。
体温が、キスが、どれもが綾世を夢中にさせてしまう。
自分がこんな風になるなんて思ってもなかった。
穿たれて嬉しいなんて思った事もなかったし、自分から望んでしたいなんて思った事もなかったのが嘘のようだ。
「莉央、だけ…だ……こんな、の…あ、ぅ…っ」
莉央の怒張したそれがぐっと奥まで入ってくると声が上がった。
「俺もですよ…。こんなに欲しい、なんて…」
「あ、ああっ」
ぐっと莉央の腰が引けて内壁が擦られると背が反ってしまう。
「…こんなにイイのも…綾世さんだけ…です。綾世さんの中入るといつも満たされてるって…感じる…なんでですかね…?」
莉央も同じ…?
それが嬉しい。
「莉央…」
莉央の汗ばんできた身体に綾世は腕を回した。
莉央とは共有の思いが多い。
綾世が思った事をそのまま莉央が口に出す事も多々あるのだ。
もしかして綾世が莉央を欲しいと思ってる時、莉央もそう思っているのだろうか…?
そうだといいのだけれど…。
聞いてみたかったけれど莉央に穿たれ、出る声は全部喘ぎ声になってしまって結局聞けなかった。
でもいい…。いつでも聞ける…。きっと…。
テーマ : BL小説
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