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熱視線 夜想曲~ノクターン~1

 言っちゃったよ!
 明羅はばたばたと家に駆け込んだ。
 「明羅くん?」
 「あ、ただいま」
 木田さんに挨拶して自分の部屋に駆け上がってベッドにダイブした。
 怜さん引かない?大丈夫?
 だってキスするから。
 昨日までは全然だったのに、今朝、アレがあってから…。
 アレを思い出すとかぁっと明羅に熱が籠もってしまう。
 「うわ…」 
 だめだめ…。

 今までそんなにそんなに性の事など考えた事なかった。
 だって快感に似た戦慄をくれるのは怜さんの演奏で、自分で自慰をするよりよっぽど精神的によかったから。
 その人にあんな事されて、可愛い言われて、キスされて。


 怜さんがいつでも来ていいって言うから。
 明日でもいい、なんて。
 電話も遠慮するなって。
 だってもう怜さんが隣にいないと声聞きたいって思うんだよ?
 もう会いたいって思うんだよ?
 ……そんなのいくらなんだって早すぎるでしょ。


 好きの気持ちが溢れて溢れて、自分でも昇華しきれなかった。
 本当はそんな簡単じゃない。
 好きなんて軽すぎる、から。
 でも愛してる、なんてとてもじゃないけど恥かしくて口に出来ない。
 それにそれもちょっと違うし。
 ふぅ、とやっと落ち着いてきて明羅は息を吐き出した。

 怜さん、なんて思ってるかな…?
 自分の気持ちだけが溢れて言い逃げしてしまったから、今度は怜の反応がどうなのか気になって気になって仕方なくなる。
 どうしよう…。
 ばかだ、せめて怜さんの反応見ればよかった。
 でも、キスしてくれたし…。
 ぐるぐるとまた頭の中が回転する。

 すると電話が鳴った。
 「は、はいっ」
 『言い逃げするな』
 「う……」
 『ばか。…返事は今度、な。…覚悟して来いよ?』
 うわぁ…。怜さんの声が、声がエロい。
 『…返事は?』
 どきどきして息が出来ないような感じで声が詰まっていた。
 「怜さん……が、エロい…よ…」
 ぷっと電話の向こうで吹き出しているのが聞こえた。
 『…当たり前だ。明羅』
 「やぁ…声……ヤバイ、から…」
 そんな甘い低い声で名前呼ばないで欲しい。耳に聞こえる声が朝の事を連想させてまた反応してくる。
 『なんだ?お前までエロくなってたのか?』
 だから、なんで分かってしまうの!?
 『今度、ゆっくりな…。仕方ないから、特別自分でするのは許してやる』
 「な、何、それ?」
 『特別だぞ?お前を啼かせるのは本当は俺の役目だから』
 「やだぁ……怜さんが別人になってるぅ…」
 昨日までは何もなかったのに…。
 『我慢しても無理って悟ったから』
 「何、それ?」
 『こっちの話。じゃ、おやすみ』
 「ん…。おやすみなさい」
 電話が切れてどっと疲れが増した。
 怜さんが、……怖い…。
 だらだらと冷や汗が流れた。 



 翌日、月曜日で普通に家を出て学校に行く。
 電車を降りればやはり二階堂 宗が姿を見せた。
 「…兄貴のとこにずっといたのか?」
 「…そうだとしても、なんでそれを報告しなくちゃいけなわけ?」
 明羅はつっけんどんに突っぱねた。
 会いたいのは怜さんで宗じゃない。
 でも今週は怜さんがいつでも来ていいって言ってくれたから気が楽だ。
 ふ、と思わず表情が緩んでしまう。
 宗が驚いたように明羅を見ていたのに明羅は眉間に皺がよった。
 「…何?」
 「いや…」
 一体なんなのか。
 それ以上口を開かない宗に歩を合わせる必要はなく、明羅は急ぎ足で学校に向かった。
 教室で携帯をチェックする。
 やはり全滅。
 だけど、先週とは比べ物にならない。
 昨夜の電話だってエロいのはアレだけど、嬉しかったし。

 そういえば覚悟、って言ってた。
 覚悟って…。
 明羅は密かに動揺した。
 覚悟、ってそういう事!?
 つまり…。
 男と女がするような?
 怜さんと!?
 うわぁ…どうしよう…。
 昨日の朝のあれよりもっと絶対濃厚なはず、で…。
 恥かしすぎるから無理っ。
 かぁっと身体が熱くなってきて明羅は一人でうろたえた。

 「桐生…?どうかしたのか?」
 「え?あ、ああ…なんでも、ない」
 「具合悪いのか?熱?顔赤いけど?」
 ほっといてくれ。親切心だろうクラスメートにあたりたくなる。
 「いや、大丈夫」
 ふっと息を吐き出して気持ちを落ち着かせる。
 怜さんの事は考えないようにしないとだめかもしれない。
 ちょっとげんなりしてしまった。
 
 

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