「ねぇ、綾世さん…?今日俺が会うの前から知ってたんでしょ?」
「…知ってた」
莉央が体勢を変えて綾世の身体を組み敷いた。
「じゃ、昨日のおねだりは…」
綾世は慌てて莉央の口に手で蓋をした。
「………」
わざわざ確認するな。
すると莉央がくすくすと笑い出す。
「キスマークつけとく?」
「は?」
莉央が自分の首を指差したのに綾世は顔を莉央の首に埋めそしてきゅっと吸い上げた。
「俺もつけていい?」
「…つけて…」
所有の印…か?
痛い位吸われた。それがあちこちに広がっていく。
「綾世さん…俺も言わなくてごめんね?ちゃんと言おうかと思ったけど、聞かされて綾世さんが気持ちいいわけないと思って。俺もちゃんと言えばよかったんだな…」
綾世は首を振った。
「いい、んだ…。昨日ので…信じられた、から…」
「うん。だから賃貸情報捨てたんだよね?」
「ん……だって僕はもう莉央しか…考えられないから」
「俺もですよ。俺は過去の馬鹿な自分をどうにかしたい位です。………ねぇ、綾世さん、ちゃんと話しましょう?今回のも隠すんじゃなくて良かれと思って俺は話さなかったんですけど、綾世さんも同じでしょ?でも話していれば綾世さんは辛い思いをする事なかった。ですよね?毎日毎日ため息ばっかりで心ここにあらずで、気になって、でしょ?」
「…ん」
「それに俺もやきもきして、……綾世さんが嫌がってるのかと思いました。賃貸情報見つけた時も綾世さんは出て行くつもりかって目の前が真っ赤になった」
「………」
「でも捨ててあったし…おかしいな、って考えて…それで真紀がもしや、と思い当たって…。そうしたら全部が当てはまるし。午後からずっと色々そればっか考えてましたよ」
「…うん……ごめん……。言えばよかった、んだ…な。でも、僕も怖かったんだ。もし言って…彼女が別れたつもりがないって言ってるから、それで…僕が言ってよりがも……」
「ないです!」
「そん時はそう思ったんだ。だったら言わないほうがいいかと思って。言わなかったら僕は莉央の所にいられる、と思って…」
「何言ったってしたって俺んとこいてください」
綾世は莉央の首に腕を巻きつけた。
「ん…莉央…あ、ぁっ……」
「喧嘩したって言い争ったって、絶対出て行かないでくださいね?ほら、俺、綾世さんの特別なんでしょう?虹一緒に見たし」
「んっ!そ…う……ぁ…」
莉央の指が綾世の後孔に入ってくる。唇は身体を這って、片方の指はない胸の突起を弄っている。
「よかった。俺で…」
「ん…莉央、は店の名前も…知ってた…。僕の料理も美味しそうに食べてくれて…すごく嬉しかった…。莉央が幸せそうな顔して食べてたから、僕は…よかった、と思えた、んだ…」
「…そう、なんです、か?」
「ん。…幸せな気持ちも初めて…。この腕が温かいのも…。毎日の朝ごはんと弁当も…いってらっしゃいも…全部…」
「それは同じ事綾世さんに返しますよ。俺もです。…入れますよ」
「ん、んんぅ…っ……ぁあっ…」
すでに怒張している莉央が綾世の中に入ってくる。
「きも、ち、…いい……埋まってる……」
莉央が入ってくると、心の?身体の?どこかの隙間が埋まっているといつも思う。ぴったりと満たされた感じがする。
「綾世さん…」
ぐっと奥にまで衝かれると綾世の背が仰け反る。
「うん…いつも綾世さんの中に入るとこう…充足感が満ちます。足りなかった何かが埋まってる感じで…」
「ん!僕も、同じ…だ……あ、ああっ!」
莉央の腰が引けて再び穿たれると身体がざわついた。
「綾世さん…」
段々と激しくなっていく律動に身体が揺さぶられる。
内壁を擦られれば快感が走り、声が漏れる。
気持ちと身体が連動している。
前はただ早く終われとしか思っていなかった行為が莉央とだと全然違う。
もっと、もっと…。貪欲な欲が、熱が生まれてしまう。
キスももっと。抱きしめるのももっと。
「莉央…っ!」
名前を呼ぶのも。
「綾世さん…イきそう…綾世さんは…?」
「んっ!イく…っ」
さらに奥を衝かれて綾世が莉央にしがみついて身体を震わせて白濁を吐き出せば最奥に莉央の熱い飛沫が弾けたのを感じた。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学